カテゴリー: DX・AI
公開日 2023.09.10
目次
取引先や金融機関、顧客などからの強い要請もあり、今後多くの企業が生き残り戦略として脱炭素化を推し進める必要がある。これは東南アジアにおいても例外ではなく、例えば、ASEANに一部サプライチェーンを移しつつあるアップル社は、取引先に対し、2030年までに同社に納める製品については、全世界的に全て再エネ電力で製造するように要請をし、日系企業を含む各社が対応に追われている。
こうした脱炭素圧力は年々増大することが予想されるものの、東南アジアは先進国ほど脱炭素化に向けた政府支援が手厚くないため、より費用対効果の高い取り組みである、①CO2の可視化、②省エネの推進によるエネルギー使用量の削減、③再エネ電力等の調達による電力部門の脱炭素化に注力することが重要である。特にCO2可視化は、自社事業を俯瞰し、日本が得意とする、生産プロセスやエネルギー供給に潜む無駄を無くすカイゼン活動など、効率的なCO2削減に向けて着手すべきことを明確にする上で非常に重要なステップである。
東南アジアにおける脱炭素への対応は、危機でもありチャンスでもある。日本は長年に渡る投資の結果、タイなどに製造業などで分厚い産業集積を形成してきた。この産業アセットの脱炭素化を進めることは、日系サプライチェーンの競争力の維持・強化に繋がるだけでなく、立地国での脱炭素化への貢献にも繋がる。例えば、タイに立地する約2,500の日系工場が屋根置き太陽光を設置した場合、その容量は約5GWになると推計され、タイの再エネ導入に向けて少なくないインパクトがあるが、こうした日系企業等のグリーン投資は、まさに日本政府が掲げる、東南アジアの脱炭素化を支援するプラットフォーム、アジア・ゼロエミッション共同体構想(AZEC)を具体化するものである。
今年、日本とASEANは友好50周年を迎えたが、8月22日にインドネシアのスマランで実施された日ASEAN経済大臣会合において合意された、日ASEAN未来デザイン・行動計画の中でも、今後、立地企業等の脱炭素化支援を強化していくことが謳われた。既に多くの取り組みが動いている中ではあるが、日ASEAN経済産業協力委員会(AMEICC)も、CO2可視化や省エネ、再エネといった分野における投資を促進するための、人材及びファイナンスの提供、再エネ電力調達円滑化等に向けた制度整備などに関する取り組みを、日本の経済産業省及びASEAN各国の政府機関等と連携しながら、今後強化し、一体的に推進していく予定だ。
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日ASEAN経済産業協力委員会(AMEICC)
Web:https://ameicc.org/
タイでカーボンニュートラルを実現するにあたって、第一歩となるのが電力使用量の削減。それを動機付ける電力使用量の適切な把握。どこで、どのように、どの程度使われたかが明らかになって、初めてその対応も進むという考え方からだ。
同社では、工場や現場、各種施設にくまなくセンサーを設置。通信会社ならではの高品質通信網で情報を一元管理する。得られたデータは、インターネット回線を経由してクラウド上のサーバーに。エネルギー消費量可視化プラットフォームに乗せられ、工事設備棟や管理部門へフィードバックされる。結果、工場が稼働していない深夜時間帯に膨大な待機電力のロスが生じているなどの実態が判明する。無駄な経費も一目瞭然となる。
こうした中で見過ごされがちなのが、生産ラインや物流施設など様々な場所から漏れ出る空気(エア)だと大森氏は指摘する。工作機械の動力源として、工具の脱着に切り屑のエアブロー、さらには機械類の清掃やネジ締め・梱包などに欠かせないコンプレッサー。ここから多大な電力が浪費されていることは意外と知られていない。例えば、送管の結合部や老朽化したホースのわずかな裂け目などからエア漏れは発生する。しかもその量は微量で、音は人の耳には聞こえない。臭いもなく色もなく、人間が気づくことは通常ではありえない。
同社によれば、工場全体のコンプレッサーが消費する電力量は一般的に18~25%で、最大時には全消費量の4分の1にも上る。このコンプレッサー自体の稼働の最適化・効率化を図る上で、実際のエア流量の可視化・定期モニタリングを行う必要があり、想定以上のエア流量が見られた場合、先述の通り配管からのエア漏れなどの可能性が考えられるという訳だ。
工場全体の電力利用量最適化と効率化が進むことで、トータルコストの削減にもつながっていく。2022年後半からの本格営業にも関わらず、タイでの引き合いはすでに10数社に上っているのも、本取り組みが企業におけるカーボンニュートラルの実現に直接的に繋がっているものだからとしている。
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