カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2016.10.31
(トップ画像)YAMAMORI TRADING MANAGING DIRECTOR 長縄光和 氏
目次
日本食に欠かせない調味料といえば〝醤油〟。そのタイにおけるマーケットシェアを握るのが、1889年に三重県桑名市で創業、総合食品メーカーとして醤油、つゆ、たれ、レトルト食品などの開発と製造を行うヤマモリだ。
ヤマモリは1995年、日本食市場の広がりに事業性を見出しタイへ進出、醤油の醸造をスタートした。醤油の仕込みには最低でも半年ほど掛かる。タイで醸造した醤油の販売を始めた97年から5年間、営業としてタイに駐在していた長縄光和氏は、「日本食の冷凍・加工食品の原料用醤油を、日系企業に卸すところから事業を広げていきました」と当時を振り返る。
現在でも同社の売上に占める業務用醤油の割合は高く、飲食店の顧客も順調に伸びている。進出当時すでに約300店舗あった日本食レストランは、2016年度時点で2700店舗を超えるまでに増加(※)。健康志向が高まるタイでは、ヘルシーな日本食の普及が富裕層と中間層を中心に順調に続いており、タイ国内で小売販売されているリテール商品の売上も2桁成長を記録しているという。
健康を気遣うヘルスコンシャスな層の増加は、サラダの消費を後押しし、『ごまドレッシング』という売れ筋商品を生み出した。今後もこの層は購買欲の伸びが期待できることから、日本人とタイ人から成る同社の商品開発チームでは、低カロリーや減塩タイプの商品化も見据えている。
長縄氏は、「進出から21年目を迎え、シェアを守ってこられたのは120余年の醤油醸造技術に基づいた品質規格があってこそ」だと話す。
「タイ工場では日本のヤマモリと同じ生産設備と製造技術、品質管理の規格を守ってきました。醤油の売上の大半は業務用であることからも、タイ用に味を変えることはしていません。当社ではタイの食文化を日本へ広めようと、2000年よりグリーンカレーやトムヤムクンといったタイ料理のレトルト商品を日本での販売用に生産しています。これらに関しても伝統的なレシピにこだわり、敢えて日本人の舌に合う味付けに変えることはしていません。オーセンティックな味を貫くことが、当社の強みになっていると考えています」。
タイ工場で生産された醤油などのリテール商品は、周辺国でも代理店を通じて販売されている。04年の設立から調味料やレトルト食品を製造するサイアムヤマモリでは、15年にタイ国ハラール認証を取得。さらに15年より最新鋭の醤油工場として操業を開始したヤマモリタイランドでもハラール認証を申請しており、イスラム教徒を含むASEANの6億人市場での展開を広げていく考えだ。
※日本食レストラン海外普及推進機構(JRO)タイ国支部と日本貿易振興機構(JETRO)バンコク事務所の調査・発表に基づく
ヤマモリ株式会社
三重県桑名市陽だまりの丘6-103
+81-(0)594-33-3860
YAMAMORI TRADING CO., LTD.
17th(P)Fl., Maneeya Bldg., 518/5 Ploenchit Road,
Lumpini, Pathumwan, Bangkok 10330
02-652-0561~2
www.yamamoritrading.com
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