カテゴリー: 組織・人事
公開日 2019.08.12
タイ市場の成熟化や現法機能の高度化という流れ、また現地社員の世代交代が進む中で、多くの企業が現法のあり方の変革時期を迎えています。同時に、経営の現地化を志向されている企業も多く、次世代を任せる人材確保は将来を左右する経営課題です。
業界特性や本社の経営方針によって違いはありますが、下記図1のように、現地社員に現在のオペレーションを回す実務(領域1)に加えて、より高度な役割を期待する企業は多いのではないでしょうか。
人材の流動性の高さに悩みつつも、日本企業の伝統的な強みであるOJTによって、領域2を任せる人材の育成は進んでいます。しかし今、現法の経営陣や日本本社が必要としているのは、領域3.4を任せられる現地人材の育成・確保でしょう。
複雑さを増すタイ・アジア地域の中でも、事業を成長させながら、それを動かす現地人材の輩出に成功している企業はあります。そのような企業では、人材が伸びる経験を得られる仕組みを、社内に持っています。
人材を伸ばす経験とは、
1.経営幹部としての役割と期待を自覚し、覚悟を醸成する
2.経営課題を自ら設定する
3.自分で意思決定し、実際にやってみることで、失敗と成功体験を積む
これらはオペレーション実務を担うだけでは、機会がありません。人材が育つのを待つのでなく、開発していくために、自社としての強い信念が必要です。
起点となるのはトップの問題意識の共有です。経営課題を日本人幹部では議論していても、タイ人はまだ参画できていないという企業も多いのが現状です。仮に全ての情報を開示できないとしても大事なのは全社の課題を、まずは自分たちで考えてもらうことです。
ある素材メーカーでは事業構造の転換点を迎え、タイ国内拠点からミドルマネージャーを選抜して未来の勝ち筋を考えるワークショップを実施しています。中長期の経営課題を設定し、培ってきた強みをもとに解決策を提言する取り組みです。トップから自社の歴史と理念、問題意識、ミドル層への期待を直接伝え、自分事として徹底的に考え抜くことを求めます。その経験が、幹部としての自覚を醸成していくことにつながります。また、各拠点に所属する経営候補人材を把握する機会ともなっています。そしてこのワークショップの参加者はその後、検討したプランの検証・実行に取り組み、実経験を積んでいきます。
人材育成は経験70%、薫陶20%、研修10%と言われます。ワークショップで知識習得、薫陶、ネットワーク、そして経営の疑似体験を経て、適切な人材にチャレンジの機会を与え、継続的にフォローして自社の理念に沿った判断基準を浸透させていくこと。これを本社任せでなく、タイからも段階的に積み重ねていくことが経営現地化への近道となります。
CELM ASIA Pte. Ltd.
(人事制度・人材組織開発コンサルティング)
タイカントリーマネージャー 佐藤陽介
[email protected]
THAIBIZ編集部
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