ArayZ No.110 2021年2月発行FA(ファクトリーオートメーション)によるタイ製造業高度化
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カテゴリー: ASEAN・中国・インド, 会計・法務
連載: ONE ASIA LAWYERS - ASIAビジネス法務
公開日 2021.01.31
前回は各国で異なる「商行為」の規定に関して紹介した。今回は税務上のリスクや外資規制について解説する。
1月号で触れた商行為に関する問題を解決したとしても、税務上のリスクの検討も十分に行う必要がある。
例えばカンボジアの場合、海外からサービス提供者への支払いに対する法人税の源泉徴収課税は、14%という高額の税率が設定されている。サービス受領者側で総サービス費用の14%分を控除した上で、サービス提供者に報酬を支払うことになる。
この源泉徴収課税制度を十分に考慮せず契約やサービス提供が進んでしまうケースが頻発しており、オフショアからのサービス提供者と受領者との間で源泉徴収税の負担を巡って紛争化するケースがある。
ラオスでは、国内でのサービス受領者は3%(みなし利益率15%)の源泉徴収課税を納付する必要がある。カンボジアと比較すると税額は低廉ではあるが、オフショアからサービスを提供する場合はこのような源泉徴収税に関する税務リスクについて十分に検討・留意した上で、予めその処理方法や負担について契約書で明示することが推奨される。
これらオフショアからサービスを提供する場合のリスクを踏まえると、コンプライアンス上の観点から現地に拠点を持つオンショアでサービス提供を行うという判断をする企業も多い。
オンショアの場合、プロジェクト実施国内において様々な規制を受けることになる。例えば、建設事業や物流事業等では外国企業の出資持分の上限や最低資本金額が設定されている場合が多く、十分な調査と検討が必要となる。
具体的にはラオスにおいて建設業を行う場合には当局の許可が必要となっており、他方カンボジアでは外資規制や資本金規制等は存在しない。ただ、建設事業者の許認可取得の際に、カンボジア国内のエンジニア資格を有する専門家の雇用や建設設備の一定以上の配備などが求められている。他にも、外国企業の参入や事業展開を妨げる所々の規制や運用が存在しており、留意が必要である。
日本からインフラプロジェクト実施国に対して、現地に拠点を持たないオフショアモデルでサービスを提供する際、外国人専門家を派遣するためにどのような要件を満たす必要があるかが問題となる。
例えばカンボジアにおいては、現地に支店や現地法人等がないとワークパーミット(労働許可証)が取得できない仕組みとなっており、オフショアからのサービス提供となると不法就労リスクが生じる仕組みとなっている。運用上、当局の調査や取締が厳格ではないとはいえ、現地のパートナーやサブコントラクター等との関係が悪化した際に、不法就労リスクが顕在化するようなケースもある。
対応策として、現地パートナー企業に出向する形式を取り、現地パートナー企業からワークパーミットの発行を受ける等で対応しているケースが散見される。
他方、タイやラオスにおいては一時出張者向けの例外措置があり、そのような制度を活用して外国人専門家を一時的に派遣するようなアレンジも一案である。ただ、ラオスでは実務的にはほとんど利用されていない。
藪本 雄登
One Asia Lawyersの前身となるJBL Mekongグループを2011年に設立、メコン地域流域諸国を統括。カンボジア、ラオス、タイ、ミャンマー、ベトナムで延べ10年間に亘る駐在・実務経験を有し、各国の現地弁護士と協働して各種法律調査や進出日系企業に対する各種法的なサポートを行う。インフラプロジェクトについては、タイ、カンボジア、ミャンマーにおける道路敷設や鉄道、上下水道、高速道路のメンテナンスなどの開発プロジェクト、ラオスでの電力開発案件等も支援。
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THAIBIZ編集部
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