ArayZ No.139 2023年7月発行BCG経済モデルで豊かな社会へ
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カテゴリー: ASEAN・中国・インド, 会計・法務
連載: ONE ASIA LAWYERS - ASIAビジネス法務
公開日 2023.07.09
目次
2022年3月に改正会社法の草案(以下「草案」)に対してパブリックコメントを募集していましたが、22年12月29日付で「改正会社法(No.33)(以下「改正法」)」が公布され(官報掲載日:23年4月5日)、23年3月30日から施行されています。
19年に企業登録にかかるプロセスが簡素化されたため、それを反映させた点が主な変更といえます。会社法は、一般的な会社の形態である有限責任会社(以下「株式会社(Company Limited)」)のほか、公開会社、国営企業、パートナーシップ等に関する規定も含まれていますが、今回は、株式会社に関する改正点を中心に解説します。
企業登録に関しては、19年2月1日施行「企業登録に関する合意(No.0023)」を基礎に改正されています。これまで経済特区(SEZ)の中に会社を設立する場合は、計画投資省からERCが発行されていましたが、改正法は、商工省/局から発行されると変更されています※1(改正法第15条)。また、企業登録に必要な書類として、改正後は、定款が不要となりました(改正法第97条)。
※1 2023年6月時点では、いまだ業務は移行されておらず、これまでどおり、計画投資省よりERCが発行されているとのこと(SEZ管理当局ヒアリングより)
これまで、企業印に関する規定はありましたが、企業看板についても新たに規定が追加されました。会社登録後、60日以内に企業名を記した看板を会社事務所の正面に設置する必要があります(改正法第29条)。企業看板については、18年発行の「看板法」及び商工省発行の「企業印と看板に関する通知(第20823号)」で詳細に規定されていますので、表示内容、文字の大きさ、看板のサイズ、色等は、これらの関連法令に従うことになります(改正法第29条)。
草案では、登録資本金は、現物でも現金でも、企業登録後1年以内に払い込むことが提案されていましたが、改正法では、登録資本金の払込期限は「株主総会で合意した期日までに払い込む」こととなりました(改正法第101条)。これまで、資本金の支払いが運用不可能な規定になっていたため、改正後は、明確になることが期待されましたが、改正は実現せず、改正後も投資奨励法の規定(投資奨励法第53条)と整合性がとれていない状態のままとなっています。 なお、今回の改正では、資本金の未払いに対する措置に重きを置いた改正となりました。
草案では、取締役の任期に関する規定は変更されていませんでしたが、改正法では、取締役の任期が「株主総会の合意する期間」となりました(改正法第123条)。またこれまで、取締役は、株主登記リストの写しを企業登録管理当局へ提出する義務がありましたが、提出の義務はなくなり、会社の内部資料として保管するのみと改正されています(改正法第110条)。
これまで、合併の規定はありましたが、会社分割の規定が追加されました(改正法第160条)。
これまでは、各違反事項に対する罰金の額が記載されていましたが、改正法は、一般禁止事項、企業登録管理当局の公務員に対する禁止事項、投資家(個人、法人)に対する禁止事項が別個に規定され、罰金の記載は削除されました(改正法第207条から第209条)。
内野里美
One Asia Lawyersラオス事務所に駐在。ラオス国内で10年以上の実務経験を有する。ネイティブレベルのラオス語を駆使し、現地弁護士と協働して各種法律調査や進出日系企業に対して各種法的なサポートを行う。
E-mail:[email protected]
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THAIBIZ編集部
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