日産がタイで1000人リストラ、BOIはPCB投資の「大波」に確信

日産がタイで1000人リストラ、BOIはPCB投資の「大波」に確信

公開日 2024.11.25

ロイター通信が11月22日、関係筋の話として報じたところによると、日産自動車は東南アジア最大の生産・輸出拠点であるタイの従業員について、2025年秋までに約1000人の人員削減と配置転換を実施する方針を固めた。2つある完成車工場のうち第1工場(年間生産能力22万台)での生産を一部取りやめ、第2工場(同15万台)に一部集約する。日産は世界全体で約9000人の人員削減計画を発表しており、タイでの人員体制見直しもその一環という。


11月23日付バンコク・ポスト(3面)によると、タクシン元首相は21日、バンコク市内のホテルで開催された「フォーブス・グローバルCEO会議」で講演し、世界の地政学的な変化にタイが備えるための経済改革案を提示した。タクシン氏は過去10年間、タイ中央銀行が国内の経済課題を過度に懸念していたため、同中銀監督下の商業銀行は中小企業に融資ができず、国内のキャシュフロー不足をもたらしていたと指摘。「中央銀行は独立組織だが、時には産業界の懸念に耳を傾ける必要がある。中銀にはタイのキャッシュフローを増やす現実的なソリューションが求められている」と訴えた。

一方、産業界がビジネスモデルを再考し、経済競争が激化する中で活用するような新たなアイデアが必要だとし、中国の格安電子商取引(EC)サイトTEMU(テム)を例に挙げた。また、アンダマン海とタイ湾を結ぶ運河構想に関する質問に対しては、タイが運河を掘ることはないだろうが、代わりにランドブリッジを建設すべきだとし、「その建設には民間部門がかかわる必要がある。商業化する場合の採算性やタイにとってのメリットを考慮すべきだ」との認識を示した。


11月23日付バンコク・ポストはビジネス2面で、プリント回路基板(PCB)産業に関する解説記事を掲載した。「PCBの投資誘致」と題する同記事はまず、「タイのPCB産業の急成長により、タイ投資委員会(BOI)は、外資系PCBメーカーのタイ投資の『ビッグウエーブ』に確信を持つようになった。外国企業、特に中国、台湾、日本、香港企業がこの分野で太宗を占め、その製品を電気自動車(EV)から医療機器までの主要産業に供給している」と概観。「もしBOIによる促進策があれば、PCB産業は経済の大きなけん引役になれる。PCB事業の拡大は勢いを失うことはなく、東南アジア最大で、世界でも5番目のPCB生産拠点としてのタイの地位を強化することになる」と強調した。BOIのナリット長官は過去21カ月間の新規投資の大半はPCBやスマート電子、EV、データセンター、クラウドサービスだったと報告。特にPCBは来年も成長し続けると予想されるEV産業の発展を支援できるとアピールした。


11月22日付バンコク・ポスト(ビジネス1面)がタイ信用情報共有団体ナショナル・クレジット・ビューロー(NCB)のデータとして報じたところによると、今年第3四半期のタイの家計部門の不良債権(NPL)額は前年同期比14%増、前期比では3.4%増の1兆2000億バーツに達した。一方、小規模事業者部門の今年第3四半期のNPLは前年同期比20.1%増、前期比では5.2%増の793億バーツだった。NCBのスラポン最高経営責任者(CEO)は「小規模事業者のNPLの大幅増は深刻な懸念だ」と訴えた。

11月21日付バンコク・ポスト(1面)によると、タイ財務省は家計債務の削減対策として3グループの債務者の金利支払い猶予の政府計画を明らかにした。ペートンタン首相が議長を務める経済対策委員会は20日、最長1年間、返済を遅延している債務者に対する救済措置を承認した。財務省のパオプーム副大臣によると、住宅ローンの返済遅延者は300万バーツを上限、自動車ローンは80万バーツを上限、中小企業向けローンは300万バーツを上限に、それぞれ3年間、利払いが猶予される。この猶予措置の対象となる融資総額は1兆3100億バーツで、内訳は住宅ローンが4800億バーツ、自動車ローンが3700億バーツ、中小企業向けローンが4540億バーツという。


会計事務所系大手コンサルタント会社デロイトが公表したリポートによると、2024年11月15日までのタイの新規株式公開(IPO)件数は29件、資金調達額では7億5600億ドルに達し、東南アジア全域のIPO資金調達額(122件、約30億ドル)の26%を占め、域内で3位となった。11月20日付バンコク・ポスト(ビジネス2面)が伝えた。デロイト・タイランドの幹部は「2024年のタイの株式市場とIPO市場の状況は景気回復と小幅成長を反映している」とした上で、今後、消費財、ライフサイエンス、ヘルスケア、不動産部門でIPOが予定されていることを明らかにした。

THAIBIZ編集部

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