カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2022.10.11
東北部ノンブアランプー県の保育所で元警官の男が銃を乱射し、子供24人を含む36人が殺害された惨劇がタイ社会に大きな衝撃を与えている。男が薬物を違法所持した疑いで逮捕され、警察を免職処分となっていたことが分かり、当初は事件当日も薬物の影響下にあったことも疑われた。しかし、警察は1回目の検視では男の体内から薬物は検出されなかったと発表。一方で、男が犯行前に妻と口論していたことから、妻とのいさかいが犯行につながった可能性が指摘されている。
地元メディアによると、男が警察を免職される原因となった違法所持していた薬物は覚せい剤の一種メタンフェタミン(methamphetamine)で、日本での俗称は「シャブ」、英語ではクリスタル・メス(crystal meth)と呼ばれ、タイでは大量の密輸・売買事件がよく報じられている。今回の犯行が薬物と関係がなかったとしても、タイでは改めて薬物をめぐる議論が高まりそうで、大麻の栽培解禁論議にどのような影響を与えるかも注視する必要がありそうだ。
8日付バンコク・ポスト紙(3面)は、元タクシン首相派のタイ貢献党が今回の事件を受けて「麻薬一掃作戦(war on drug)」を復活させることを公約したと伝えている。同作戦は2003年にタクシン元首相のイニシアチブで始まったが、作戦中に2500人が処刑され、世界的に人権活動家から批判を浴びたという。同党のチョンナラン党首は、大量のドラッグが押収されているにもかかわらず、予防措置がなく、薬物依存者のリハビリが十分ではないと現政権の政策を批判した。また、9日付バンコク・ポスト紙(1面)によると、ソムサック法務相は、タイの北側国境の主にミャンマー側の工場で日量2億8000万錠ものメタンフェタミンが作られていることを明らかにした。
国営タイ石油会社(PTT)の事業多様化、非石油事業拡大に関するニュースが続いている。5日付バンコク・ポスト紙(ビジネス3面)によると、PTTのアタポン最高経営責任者(CEO)は4日に行われたフォーラムで、同社のグループは引き続き高付加価値製品を開発し、新規事業を育成すると強調。新規事業には電気自動車(EV)、バッテリー、再生可能エネルギー、水素燃料、そして医療製品が含まれるとした。7日付同紙(ビジネス3面)は、PTTが物流事業に参入すると報じた。完全子会社サイアム・マネジメント・ホールディングを通じてグローバル・マルチモダル・ロジスティクスを設立することを取締役会が承認したという。さらに8日付同紙(ビジネス3面)によると、PTTの医療子会社イノビックと化学大手IRPCの合弁会社イノポリメッドは、東部ラヨーン県にあるIRPCの石油化学工場で医療用マスクなどに使用される不織布の生産を開始した。
英誌エコノミスト10月1日号はLeadersの1本の「All talk, no trouser」で、環境・社会・ガバナンス(ESG)について鋭く切り込んでいる。副題は「ESGの本質的な矛盾があからさまになった」だ。同記事はまず「利益を追求する企業が本当に地球を救えるのか」と問題提起。持続可能性を重視するESG運用資産は2016年以来55%増の35兆ドルに達し、大企業のトップは今や四半期決算報告で平均9回もESGという言葉を発するという。2017年にはたった1回だったという。
しかし、「焦点が言葉から行動に移る中でESGの矛盾が容赦なく明らかになった。企業の使命は投資家に長期的価値をもたらすことだが、不幸なことに、企業にとっては汚染のようなコストを直接負担するより、捨てる方がより利益が上がる。気候変動に関するコンセンサスがない場合には、グリーン経済に関与すると規制当局、投資家の両方と衝突する可能性がある。政府がこのジレンマを解決しなければESGは行動までいたらない結末になる」と警鐘を鳴らした。
TJRI編集部
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