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カテゴリー: イベント, 自動車・製造業, バイオ・BCG・農業
公開日 2025.06.20
タイビズは5月14日、日タイ企業間の協業・新規事業の機会を探る「ビジネスミッション」で、ラヨーン県ワンチャンバレーにある東部経済回廊イノベーション(Eastern Economic Corridor of Innovation : EECi)を訪問した。EECiは、タイにおける新産業の開発・創出を目的とした技術・イノベーションの促進プロジェクトだ。
まず、産業連携部門のディレクターであるラウィパット・プットポーン博士が開会挨拶で登壇。「EECiはタイ国立科学技術開発庁(NSTDA)が主導するプロジェクトで、チャチューンサオ、チョンブリー、ラヨーンの3県にまたがるEEC域内に位置している。対象産業の実証実験だけでなく、商品化につなげるための支援も行っている。ここではパイロットプラントやテストベッド、レギュラトリー・サンドボックスなど、規制にとらわれず研究を試験的に実施できる、さまざまな施設を提供している」と紹介。
対象産業は、①近代農業、②バイオリファイナリー、③インダストリー4.0、④バッテリーと先端輸送、⑤航空、⑥医療機器-の6産業となっている。
EECiは、さまざまな産業向けのプラットフォームで構成されている。例えば、自動化、ロボティクス、インテリジェントエレクトロニクスのプラットフォーム「ARIPOLIS」には、近代製造促進センターや自動運転車のテストフィールド、リチウム以外の新素材を使用した電池製造を研究・実証する代替電池パイロットプラントがある。
また、バイオイノベーション分野では「BIOPOLIS」があり、近代農業を支援するスマートグリーンハウスや植物工場などの施設も整備されている。さらに、民間企業がオフィス用に賃貸できるスペースもある。
次にラウィパット博士は、EECi内の施設であるサステナブル・マニュファクチャリング・センター(SMC)について、「SMCは、近代製造技術の開発・研究拠点として、人材と生産能力を高め、工場をインダストリー4.0に向上させることを目指している。われわれは、競争力を強化するための工場評価、人材育成、専門家によるコンサルティング、生産支援のハードウェア・ソフトウェアシステムの導入・テストなど、さまざまなサービスを提供している」と紹介した。ここでは、日本企業も参加できる会員向けのネットワーキング活動が行われている。
また、バイオリファイナリーパイロットプラントもあり、農産物や農業廃棄物を使用し、化粧品や食品などの原料として高付加価値のバイオベース製品の実証実験を行うことができる。
続いて、革新農業イノベーショングループのディレクターであるクリアンクライ・モサリーヤーノン博士が環境制御型農業(Control Environment Agriculture:CEA)を支える次の3つの施設を紹介した。
①プラント・フェノミクス施設:環境の変化に対する植物の反応を測定するツール。植物ごとの適切な生育環境の研究に貢献する
②植物工場:一年中植物を栽培できる屋内の植物生産施設。現在はハーブやメディカルグレードの植物など、価値の高い植物を中心に栽培している
③植物細胞技術・組織培養研究所: 植物の育種と繁殖の研究所
「現在、キャッサバやゴム、米などの農作物や経済植物の研究に興味を持っている。さらに、バジルなどの植物の育種にも注目している。国内市場での販売価格はあまり高くないものの、輸出価値が高いためだ。一方で、化学物質による汚染が課題となっており、その解決策として近代農業システムの導入が有効だと考えている」とクリアンクライ博士は語った。
EECiは、イノベーション開発の拠点となることを目指す「イノベーション・シティ」と位置付けられ、さまざまな施設にアクセスすることで開発を促進する環境が整備されている。ネットワーク内の知識や人材の交流の場として、今後の事業やイノベーションの成長につながっていくことが期待される。
本ミッションでは、SMCセンターと植物細胞技術・組織培養研究所、SUMITOMO HEAVY INDUSTRIES (THAILAND) LTD.の研究所を見学した後、参加者同士の名刺交換や交流会が行われた。
THAIBIZ編集部
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