カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2025.09.10
日本人からのタイビジネスに関する問いの一つに「タイ人が働く場として、日系企業はどう思われているのか」があります。この問いへの理解の一助のため、日本で働くタイ人が日本企業をどう思っているのか、という検証をした論文1に記載されていたタイ人の声を紹介します。
【仕事内容】
就活のときに聞いていた仕事内容と、実際にやらされた仕事が全然違いました。「やりがいのある仕事です」と言っておきながら、入ってみたら単純作業ばかり。ブルーカラー的な仕事をやらされて、「話が違うな」と感じました。
仕事内容に対する期待と現実のギャップが、タイ人従業員の日系企業への信頼の失墜を引き起こしている様子がわかります。採用段階で求職者に恰好をつけたいのもあるのかもしれませんが、その説明や入社後の配置において、誠実さと透明性を心がける必要があります。
【年功序列文化】
日本の職場では、一番年下の社員が先輩たちの嫌がる仕事、たとえばゴミ捨てや雑務を全部やらなければならない雰囲気があって、自分の能力を発揮する場面がありませんでした。ただ、先輩に従うしかありませんでした。
個人の能力よりも序列を優先する慣習は、年功序列や長期雇用が前提である従業員に対しては成立しえますが、それを必ずしも前提にしない若手外国人社員にとっては不可解であり、モチベーションの低下、ひいては組織としての人材活用の機会損失にもつながりかねません。
【職能と配属】
日系企業は、タレントマネジメントが全然できてないと思います。新卒は適当に部署に配属されて、数年ごとに部署が変わります。営業部長が突然本社に異動するなど、意味が分からないローテーションが普通にあります。
ジョブローテーションは 日系企業ではよく見られる人事制度ですが、海外では必ずしも一般的ではありません。個人の適性や専門性を勘案していないように見える配置転換は、キャリア形成に対する当事者意識を削ぎ、外国人社員にとっては特に“不透明でコントロールできない職業人生”と映りやすいことに留意しましょう。
いかがでしょうか。これらは全て日本で働くタイ人の声であり、在タイ日系企業で働くタイ人の声ではありません。
一方、われわれ日本人がタイでマネジメントを行う上で、知らないうちに日系企業の企業風土を持ち込んでしまっているという可能性は否定できません。これらのタイ人の生の声を参考に、マネジメントにおける行動がどのように見られうるか、ということを再確認するきっかけになればと思います。
小さな工夫、例えば「説明の透明性を意識する」「雑務の分担を見直す」「配属理由を丁寧に伝える」などの行動からでも、現地スタッフとの信頼関係づくりは始められるかもしれません。
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Biz Wings
CEO & Founder
倉地 準之輔 氏
監査法人、外資系企業勤務を経て2013年来タイ。2015年にBizWings (Thailand)Co., Ltd.を設立。在タイの複数公的機関でアドバイザーを務める。公認会計士(日本)。経営学博士(DBA)。
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