カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2015.06.13
2014年におけるタイとCLM諸国(カンボジア、ラオス、ミャンマー)との貿易額は、合計187億1400万ドルで、うち輸出額が127億9700万ドル、輸入額が59億1700万ドルでした。
CLM諸国との貿易額は、2014年におけるタイとCLM諸国(カンボジア、ラオス、ミャンマー)との貿易額は、合計187億1400万ドルで、うち輸出額が127億9700万ドル、輸入額が59億1700ドルでした。
CLM諸国との貿易額は、2014年におけるタイの貿易総額の約4.1%に過ぎませんでした。しかしながら、タイの貿易総額が収縮している中にあっても、対CLM貿易は堅実な成長を続けています。
CLM諸国との貿易の順調な拡大を支援しているのは、海外からの直接投資の増大、これら諸国の政府当局の国家開発に向けた努力、さらにはASEAN経済共同体(AEC)の発足によるタイと隣接国との連結性の強化です。こうした進展がタイとCLM諸国の貿易の形態、さらには他国からメコン川流域内への直接投資の形態に大きな影響を及ぼしています。
タイとCLM諸国の貿易の拡大は、CLM諸国の経済成長によるところが大きく、物品の構成を見ると、国境を越えたサプライチェーンの発展状況が反映されています。元来、タイはCLM諸国から果物、野菜、鉱物、エネルギーなど主に一次産品を輸入していましたが、現在は中間財の輸入が増える傾向にあります。
メコン川流域内で拡大するサプライチェーンにおいて、タイを高度な労働技能を必要とする製品の組立拠点、および地域の研究開発拠点として利用する一方で、労働集約型で複雑でない技術しか必要としない部品の生産拠点は、近隣諸国に移転し、近隣諸国で製造された部品をタイに輸入して、完成品に組み立てる形態になっています。
既に隣接国にまたがるサプライチェーンの構築に着手し始めた産業として、電子産業と自動車産業があります。この2業種は、使用する部品の数が多く、それぞれの製造工程で多様な労働者のスキルを必要とするため、国際分業に適しています。その具体例は、下記の通りです。
タイ・ラオス両国にまたがるサプライチェーン
東西経済回廊沿いの経済開発エリアを連結するサプライチェーンで、デジタル・カメラ工業がAV信号送受信装置の生産でサプライチェーン構築の先駆となっています。ラオスのサバナケート県内の特別経済区(Special Economic Zone:SEZ)で部品を製造し、それをタイのアユタヤ県内のロジャナ工業団地で組み立てています。
タイ・カンボジア両国にまたがるサプライチェーン
南部経済回廊沿いの経済開発エリアを連結するサプライチェーンで、大手自動車部品製造業者がカンボジアのココンSEZに自動車用電線の生産拠点を設置し、タイにその製品を供給するようになっています。この他に、コンピュータ・同部品工業もタイ・カンボジア両国にまたがるサプライチェーンの構築を進めており、カンボジアのバンテアイメンチェイSEZでハードディスク駆動装置用のモーターを製造して、タイ国内でハードディスク駆動装置を組み立てるようになっています。
タイとミャンマーの貿易構造は、まだラオスとカンボジアで生じているような、計画的なタイとの分業体制を志向してはいないものの、ミャンマーは大量の労働資源の存在という点で興味深い国である上に、大規模な国内市場を有しています。このため、近い将来には、貿易・投資両面の課題が克服され、このメコン川流域内のサプライチェーンがより完成に近づくものと考えられます。
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■タイ経済最新情報 5月号 2015/5/28 (No.111)
監修:カシコンリサーチセンター
マクロ経済・投資調査部取締役副社長
Dr. ピモンワン マハッチャリヤウォン
マクロ経済調査主任研究者
ルチパン アッサラット
ハタイワン トュンカティラクン
THAIBIZ編集部
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