ArayZ No.76 2018年4月発行知的財産 最新情報(前編)
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カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2018.04.20
目次
伊原 誠 いはら まこと
タイの工業省産業振興局 (DIP)で働く日本人がいる。中小機構から出向中の伊原氏だ。伊原氏は「本気で頑張ろうという中小企業であれば、そのチャレンジを全力で応援したい」と笑顔で語る。実家は大田区の中小企業だ。
伊原氏は1995年、当時の中小企業事業団に入団して以来、20年以上中小企業の支援に携わる。「入団は阪神淡路大震災の年で、被災された神戸の中小企業を支援する形で復興に力を尽くしました」。それからは、中小企業が共同で利用する工業団地を建設するための融資を行ったり、創業資金を提供する助成金制度を新設したり、空き店舗が増えた商店街を活性化させるプロジェクトに参加したりと、多彩な中小企業の現場のお悩みに向き合ってきた。「商店街に人を呼びこむため子育て層に来てもらえるよう、厚労省にかけあって、空いている店舗に保育所ができないかと思案しました。
しかしこれがなかなか前に進みません。結局NPOなどが運営する一次預かり施設に対して資金援助する制度をつくりましたが、補助が1年で終わってしまうとその後の継続的な運営が難しいなど、現実と制度の板挟みに、感じることは多々ありました」。全国の中小企業の現状を把握した頃、海外の中小企業を調査することとなった。デンマーク、スウェーデンと北欧の創業支援の実態を調査し、ニューヨーク派遣に手を挙げアメリカの中小企業を見て回った。それらの経験を生かし、日本から海外展開を検討する中小企業が活動しやすくなるよう、各国の中小企業を支援する機関とMOU(覚書)を締結していった。
日本とタイ、もはや両国は切っても切れない関係で、方々で強固な関係を築いている。当時の中小企業事業団は1991年、職員をジェトロバンコクに派遣して以来、工業省と20年以上の信頼関係を築いてきた。そして20年の節目を超え、関係をより一層強固にしたいと中小機構とタイ工業省は包括的な中小企業支援協力や人事交流などのMOUを締結した。
伊原氏自ら人材交流のMOU案を策定し、気付けば自分がタイにやってきた。会社の創設から任された一人駐在員のように、ビザ取得から現地活動費の手当まで自ら調整してようやく赴任に至った。そんな伊原氏の当面の課題は、中小機構が運営する日本の中小企業と世界の信頼できる企業をつなぐウェブマッチングサイトJ-GoodTech(ジェグテック)を参考にした「T-GoodTech(テグテック)」の創設だ。これはタイ工業省の重点政策の一つであり、タイ企業の登録、マッチング成功事例を生み出すことを目指している。そして、タイと日本の中小企業連携促進のため双方の情報を連携させていく予定だ。
「今までの海外販路開拓支援は、展示会・商談会などを中心に行い一定の成果はあったと思いますが、事前の準備とその後のフォローがあまりできていないと感じていました。T-GoodTechの創設を皮切りに、そうした課題を克服していきたいです」。信頼できるタイ企業が集まるT-GoodTechを早急に稼働させるべく、伊原氏は今日もタイ企業の情報収集に余念がない。
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THAIBIZ編集部
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