カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2016.06.29
目次
CrossRoad Capital Co., Ltd.
CEO 辻 佳子 つじ よしこ
インドとミャンマーに国境を面するバングラデシュ。貧困や政情不安、洪水といったネガティブなイメージが先行しがちな同国だが、堅調な内需と輸出に支えられ、6%台後半〜7%の高い経済成長率を記録している。
世界的なアパレルブランドが、安価かつ豊富な労働力による「労働集約型産業」拠点として進出する中、クロスロード・キャピタルCEOの辻 佳子氏がバングラデシュで注目したのは、IT人材による「知的集約型産業」だ。
同氏はシステムエンジニアを経て、アクセンチュア、デロイトトーマツコンサルティングで日系企業の中国+アジア新興国進出・撤退支援コンサルティングやマーケティング/プロモーション戦略などを手がけてきた経験を持つ。デロイトのコンサルタント時代に1ヵ月の休暇を取り、市場分析を目的にアジア各国を巡った中で、バングラデシュも訪れた。
「2008年、『ユニクロ』のファーストリテイリング社がバングラデシュに拠点を設立したことをきっかけに、日本からのソーシャルビジネスやBOPビジネス(※)の投資が急 激に増えました。しかし中・長期的な企業戦略で見て、社会貢献を入口に、当時の流れとして大きかった〝チャイナプラスワン(中国に次ぐ生産拠点あるいは消費市場を求める動き)〞 の対象として進出しても、賃金の上昇や人口、国土で中国を超えることはできないという考えに行き着いたのです。むしろ、人口1億6000万人の約1〜2%を占める富裕層の購買力の高さや、物品の流通、英語が堪能で真面目な国民性など、通常のビジネス目線で見たバングラデシュにポテンシャルを感じました」。
その後、バングラデシュでトップ3に入るIT企業(Cross Road BJ Limited)と共に会社を設立。デロイト時代に中小企業基盤整備機構の海外販路開拓専門家を兼務、タイや周辺国を行き来していた縁から、現在も日本とメコン地域の民間と行政をつなぐコーディネート業務や進出支援コンサルタントなどを務めるが、バングラデシュではコンサルタントの立場から離れ、バングラデシュ人エンジニアの活躍の場を広げ、 バングラデシュと日本を含むそのほかの国々との新たな関係を築くことを考えているという。
「オフショア開発もご案内していますが、バングラデシュの優秀なIT人材が海外企業に 就く際に、その基礎となる研修やビザ取得の支援なども行っています。また、日本を含む海外のエンジニアをバングラデシュに招き、IT研修や語学研修も実施しています。日本IT企業の若手社員研修をダッカで行うプログラムもあり、バングラデシュ人のシステムエンジニアから英語で技術を学ぶことで、語学とダイバーシティの感覚も身に付きます。市場やショッピングモールへも視察に行きますよ。私がマーケティングの視点で、比較・分析の仕方についてあれこれ話しながら案内します」。
外国でビジネスをする時に重要なのは、相互互恵関係だと話す辻氏。今のところ人件費はインドの半額程度というバングラデシュIT人材が、世界の「知的集約型産業」の場で活躍する日は近そうだ。
※途上国におけるBOP層(Base of the Economic Pyramid層=低所得層)を対象に、社会的課題の解決に貢献するビジネス
約3週間ダッカに滞在しながら行われた、 日本のIT企業による日本人社員研修の様子
クロスロード・キャピタル株式会社
東京都港区西新橋3-17-7 愛宕山タワー1302
www.crossroad-capital.jp
CrossRoad Capital Co., Ltd.
House-7, Roaed-2/C, Block-J,
Baridara, Dhaka-1212, Bangladesh
THAIBIZ編集部
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