

カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2020.01.01

勝田隆仁●かつた たかひと
「これまで日本とタイの人々との出会いがもたらしてくれた『ご縁』に感謝を込めて社名をGOENタイランドにしました」――と語る勝田隆仁氏。慶応義塾大学を卒業後に三菱商事に入社し、主にアジアで自動車やメディア関連の事業を担当した。40歳の時に、急成長するアジアで自分がやりたいことを求めて独立を決心。
当初はタイよりもコネがあった中国での事業展開を検討していたが、日本と中国の関係が悪化したこともあり、活躍の場を東南アジアに求めた。その中で、タイを選んだのは、三菱時代に出張で頻繁に訪れていたほか、存在感が薄かった日本の音楽やドラマなどのコンテンツをなんとか紹介したかったからだ。
ただ、現実は厳しかった。「それまで一流企業の肩書を活用して仕事をしてきましたが、独立して実績のない私が事業計画を提示しても、実らない試行錯誤が続きました」と辛酸をなめた。
2013年にはタイ人パートナーとメディア・コンシューマー事業を展開する合弁企業を設立。日本人とタイ人のモデル4人からなるグループ「Hipster」結成の裏方を務めるなど、事業は軌道に乗り始めた。
その中で、日本のアイドルグループ「AKB48」の事務所がタイで提携先を探しているとの情報を入手した。創意に富んだプレゼンと、他の企業に負けない熱意で同事務所の信頼を獲得。版権を買い取り、泰日混成の姉妹グループ「BNK48」を立ち上げた。
「タイ人が日本式の厳しい稽古に耐えられるだろうか」といった懸念はあったが、AKB48が厳しい指導を乗り越えて成功していった過程を知っている女性が強いリーダーシップを発揮したため、杞憂に終わった。「デビュー曲はヒットしなかったですが、2曲目の『恋のフォーチュンクッキー』が爆発的にヒット。ユーチューブの再生回数は1・8億回を超え、テレビ番組やイベントなどに引っ張りだこになりました」と振り返る。
現在は第2期生が活躍中だが、第1期生で18年2月にグループから卒業したジャン・チャンさんの売り込み攻勢をかけている。長野県で全編撮影した音楽ビデオが18年公開。「ほっかいどうスマイルアンバサダー」を務めるほか、旭川市と近郊の観光地の魅力をタイ人にPRする応援大使にも任命された。また、SNSでの情報発信などにとどまらない連携を模索しており、日本のファッション雑誌「ラルム(Larme)」のコンテストをバンコクで開催。大分県湯布院産スイーツ「ミルヒ」の専門店の事業立ち上げなどにも携わっている。
今後は日本の地方の良さをタイ人に紹介すると同時に、アジアでの日本の存在感を高めることを目標にしている。趣味は仕事で、「仕事と思っていないので、苦ではありません」と語る。「大企業社員」の肩書きを捨て、数多くの試練を乗り越えた勝田氏。「個人的な信頼関係から生まれたご縁が、一番の財産になりました」とこれまで支えてくれた人々への感謝の気持ちを忘れない。
GOEN(Thailand)Co., LTD.
GMM Grammy Place Bldg., 23rd Fl., Room No.18, 50, Sukhumvit 21 Rd., Klongtoey Nua Watthana, Bangkok 10110
Email: marcmarc0606@gmail.com


THAIBIZ編集部





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