COVID-19の蔓延を機に考える 事業継続マネジメント(BCM)

ArayZ No.101 2020年5月発行

ArayZ No.101 2020年5月発行タイ 2020年最新版 インフラ計画進捗状況

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COVID-19の蔓延を機に考える 事業継続マネジメント(BCM)

公開日 2020.05.10

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行は、世界保健機関(WHO)によって「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(パンデミック)」であると宣言されており、日常生活に大きな影響を与えています。

被害は世界規模で広がり、各企業は現地政府や公共機関と連携し、その事業活動において従業員の安全に配慮しつつ迅速かつ柔軟な対応をすることが求められており、まさに、各企業が「備え」の成熟度を問われている状況と言えます。

過去の事業継続への脅威とCOVID-19による被害の相違点

タイでは、2011年の大規模な洪水被害に代表されるように、過去に事業継続を脅かす複数の出来事を経験しており、それらは主に設備やインフラの物的な損傷による事業への影響でした。

今回のCOVID-19の特徴として、政府主導で経済活動を停滞させることにより、企業活動にとって以下のような直接・間接被害に晒されています。

 

 

これらによる各リスクへの対策を網羅的に想定し、機能させる事業継続マネジメント(以下BCM:Business Continuity Management)の考え方は、企業の競争力維持のために一定の効果をもたらします。

パンデミック・自然災害等による企業の想定被害

BCMの意義と導入効果

BCMとは、災害時の企業活動の早期回復と維持を目指す視点からのアプローチです。自社の業務や事業の継続のみならず、顧客や調達先などの重要業務を中断させない、または中断しても短期間で再開させることを目的としています。

過去の危機発生時にもBCM策定済み企業は一定数ありましたが、必ずしも有効に機能しなかったとの声も多く聞きます。つまりBCMとは、計画の策定がゴールではなく、実効性の検証までを含めた継続的な活動なのです。

事業継続マネジメント(BCM)策定の意義

BCMを永続的に運用・管理できる体制づくりの必要性

今回のCOVID-19のパンデミックにより改めて浮き彫りとなった従来のリスク、および新たに判明したリスクを踏まえ、一過性ではなく、いざという時に機能するBCMの構築には、経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)に焦点を当てたアプローチが重要です。更に、定期的に点検・更新し、継続運用できるような組織・体制を構築します。

経営資源にフォーカスしたBCM策定のアプローチ

自社の「備え」のレベルは?

最後に、自社の「備え」が十分であるかを確認するためのチェックリストを左頁に纏めましたので参照ください。

冒頭で触れたように、今回のインシデントでは、新たに人・物の流れが制限される事による労働力・サプライチェーンの継続性への脅威が明らかとなり、「安全なリモートワークと潜在的ニーズへの対応」や「テクノロジーを活用した柔軟な勤務体制を設定」等で課題を持たれている企業が多いと考えられます。

皆様の「備え」と共に進化への一助になれば幸いです。

COVID-19感染拡大後のBCM確認ポイント

森 厚之
森 厚之
PwC Thailand Japanese Business Desk
コンサルティング部門 マネジャー

日系損害保険会社(企業商品開発部門)、総合コンサルティングファーム(保険部門)を経て現職。これまで、保険・自動車業界、官公庁を中心にテレマティクス・MaaS等のデジタル、モビリティ、ファイナンス周辺の経営戦略・M&A、サイバーセキュリティ等のテーマおよび東南アジアにおけるクロスボーダー案件を数多く経験。また、企業の包括的なリスクマネジメントの観点で、自然災害等のリスク・事業継続性評価等の案件も多数経験。2020年6月よりPwC Thailandに赴任。

E-mail : [email protected]

pwc
PricewaterhouseCoopers
Consulting (Thailand) Ltd.

15th Floor Bangkok City Tower, 179/74-80 South Sathorn Road, Bangkok 10120, Thailand
Tel : 0 2344 1000

免責事項:本稿は、一般的な情報の提供を目的としたもので、専門コンサルティング・アドバイスとしてご利用頂くことを目的としたものではありません。情報の内容は法令・経済情勢等の変化により変更されることがありますのでご了承下さい。


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THAIBIZ編集部

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