ArayZ No.139 2023年7月発行BCG経済モデルで豊かな社会へ
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カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2023.07.09
2023年6月27日、チュラロンコン大学サシン経営大学院にて「日タイのファミリービジネスの展望」セミナーがJETRO共催のもと開催され、在タイ日本人ビジネスマンや明治大学ビジネススクール生など約270名が参加した。SCGグループの最高経営責任者やサシン経営大学院の学長、タイ国国家経済社会開発委員会(NESDB)など多数の企業や政府組織で要職を歴任したパロン・イスラセナ・ナ・アユタヤ氏をスペシャルゲストに迎え、著名なスピーカーたちがタイのファミリービジネスと日本企業の連携をテーマに講演した。
主催者であるイアン・フェンウィック学長は、日本がタイにとっての重要な投資パートナーであり、両国間の持続的な関係を築いてきたことに言及し、「両国のビジネス交流を促進する機会を提供できることを嬉しく思う」と述べた。
JETROバンコク事務所黒田淳一郎所長は、日本企業のタイ進出支援にも尽力してきたパロン氏からタイと日本の協力の歴史について伺える機会に感謝するとともに、日本ではあまり馴染みのないファミリービジネスを知ることで、「日本企業がタイに根ざし、日タイの企業の発展になることを願う」と期待を示した。
サシン日本センター所長・明治大学ビジネススクール教授の藤岡資正教授によれば、北米の上場企業の約2割がファミリービジネスなのに対し、日本は約5割、タイは約7割にのぼり、北米に比べファミリービジネスの比率が高い。彼らの特徴として、第一優先が事業承継であり、タスキを繋いでいくことが高次の目標だと駅伝に喩えて解説した。
その後、タイのファミリービジネス企業との付き合い方についても実務家から講演が行われた。バンコク銀行の執行副頭取である小澤仁氏は、日本側もタイ側もお互いにビジネスパートナーとの意思疎通に課題を感じている現状を伝え、タイ社会では役職などにとらわれず人と人とのつながりが重要であると強調した。
日本に約80人、インドに約220人、タイに約1,000人の従業員を抱えるThai Kikuwa Industriesの代表取締役社長菊池英之氏は、アジアに複数拠点を持つ企業の経営戦略や人材について語り、日系ではなくアジアの会社となるため変化に強い企業を目指すとした。
パーソネルコンサルタント代表取締役社長小田原靖氏は、日系企業におけるタイ人採用の歴史について紹介した。1990年代はマネジメント層は日本人だけで、働き手としてのタイ人採用だったものが、2000年代以降はタイ人のマネージャーや幹部の登用が進み、さらにコロナの影響で、タイ人が社長職を務めるなどの変化が起きている。その一方で、中国企業の進出に伴い、日系企業の人材確保が難しくなっていることにも言及した。
小田原氏は、日本企業がタイで成功するためには、企業理念などよりも良好な関係構築や意思疎通が重要だと語った。
セミナーは盛況のうちに終了し、日タイのファミリービジネスの連携が今後ますます強まることが期待される。
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チュラロンコン大学
サシン経営大学院日本センター所長
明治大学専門職大学院教授
藤岡 資正 氏
英オックスフォード大学より経営哲学博士・経営学修士(会計学優等)。チュラロンコン大学サシン経営大学院エグゼクティブ・ディレクター兼MBA専攻長、ケロッグ経営大学院客員研究員などを経て現職。NUCBビジネススクール、早稲田ビジネススクール客員教授。神姫バス(株)社外取締役、アジア市場経済学会会長、富山文化財団監事などを兼任。
チュラロンコン大学サシン経営大学院
1982年設立。提供される学位の多くがケロッグ経営大学院とのジョイントディグリーである点が特徴的で、特にマーケティングとファイナンスの分野に強みを持っている。MBA、EMBA、HRM、HRMディプロマ、PhDなどの学位プログラムを有しており、正規生として毎年約700名が在籍している。
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