
カテゴリー: 会計・法務
連載: 聞きたくても聞けなかった、タイの税金事情 - J Glocal Accounting
公開日 2024.09.10
会計上費用とされているものが税務上は損金として認められず、法人税の納付額が多くなってしまうことがあります。これは、タイは日本と比べて税務上の損金算入要件が厳しく、損金不算入経費が多く発生してしまうことが原因です。
一部の損金不算入経費は税法上の書類要件を満たすことにより回避が可能なケースもありますので、今回は書類要件を中心に注意点を解説します。
タイの税法上、損金不算入経費となる主なケースは下記の通りです。
| 支払先が特定できない費用 |
| 他の会計期間に計上すべき費用(期ずれ) |
| タイ国内の事業目的以外に支払われた費用 |
| 退職給付引当金、貸倒引当金など見積計上されている費用 |
| 市場価格との比較で税法上合理的でないと判断される額 |
| 3万6,000バーツ/月を超える乗用車の賃借料 |
| 100万バーツを超える乗用車の減価償却費 |
| 交際費の限度額超過(課税所得を構成する総収益または払込済資本金0.3%のいずれかの大きい方、上限1,000万バーツ) |
このうち「支払先が特定できない費用」は主に支払先が発行する領収書の不備(紛失または情報が不十分な場合)で発生するため、支払先から領収書を受け取る際には下記情報が正しく記載されているかを確認することが大切です。
| 領収書の発行年月日 |
| 受領者の正式名称、Tax ID、住所 |
| 支払者の正式名称、Tax ID、住所 |
| 販売された物品またはサービスの内容、数量、金額 |
| 通し番号 |
なおタクシー、BTS、MRTなど領収書が発行されない一部の交通機関の交通費については、社内精算資料を作成することで実務上損金算入が認められているものもあります。
タイの経理実務では、「Nondeductible Expense」「Add-back Expense」などの勘定科目を設定して記帳時から損金不算入経費を他の経費と分けて計上する方法が一般的です。これは、法人税申告時に永久差異となる加算計算を簡便的に行う事を目的としています。
一方、タイ人経理担当者は、歳入局からの指摘(税務リスク)を避けることを意識する余り、過剰に損金不算入経費を計上してしまうことがあります。不明瞭なものの確認を行う、社内ルールの制定等工夫次第では避けることが出来る場合もありますので、一度自社の損金不算入経費の金額、理由が何なのかご確認されることをお奨めします。

J Glocal Accounting Co., Ltd. Managing Director
坂田 竜一 氏
バンコク在住。2007年大学卒業と同時に、東京の流動化・証券化に特化した会計事務所に就職。その後、バンコクの大手日系会計事務所で5年間、日系金融機関ほか日系企業の会計・税務、監査業務に従事。税務当局との折衝やDD業務を現地スタッフを介さずにタイ語で対応。2013年12月 J Glocal Accounting 設立。タイにおける会計・税務の専門家として、日系企業へのサポートを行っている。
J Glocal Accounting Co., Ltd.
Website : http://jga.asia/


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