カテゴリー: 会計・法務
連載: J Glocal Accounting - タイの税金事情
公開日 2025.09.10
タイで会社を経営する上で、多かれ少なかれ固定資産を保有することが一般的です。減価償却費を計上する必要がありますが、税務上のルールで細かい点が日本と異なるため、今回はその基本とよくあるご質問について説明します。税務上の減価償却期間は図表1の通り定められています。
日本に比べ大まかな分類のみであるため、実務上は「その他資産」に多くの固定資産が該当することになります。一方、減価償却の計算は日割りで行うため、月割りで行う日本より細かいと言えます。
目次
タイ税制上、1年以上使用するものは全て固定資産とされており、日本のように金額基準は定められていません。そのため本来であれば1バーツ以上で1年間以上使用するものは固定資産とする必要があります。
しかしそうすると、固定資産の数が膨大となり固定資産台帳の管理が難しくなってしまうため、実務上は、例えば取得価格が5,000バーツ以上のもののみを固定資産とするなど社内ルールを設けることが一般的です。ただし、少額のものを固定資産にせず損金算入することは、税務上リスクがある点に留意が必要です。
税法上具体的な定義は決まっていないものの、実際に建物から外して使用できないものは建物・構築物の一部と見做すことが実務的です。例えば内装工事費用は建物の一部、エアコン設備で取り外して別の場所で使用できる場合にはその他資産と考えられます。
税法上、当該固定資産取得時から減価償却を開始することになります。機械などで据付工事が必要な場合などは実務上使用可能な状態になってから減価償却を開始します。
そのため、例えば予備として購入した固定資産であっても、使用可能なものは購入時より減価償却を開始することになります。また、一旦減価償却を開始した固定資産について途中で減価償却を一時停止することも出来ません。
問題ありませんが、税務申告書上で調整を行う必要があります。
タイの税制を知らなかったばかりに損金不算入などの指摘を税務当局から受けると思わぬ損失となるため、細心の注意が必要です。
J Glocal Accounting Co., Ltd. Managing Director
坂田 竜一 氏
バンコク在住。2007年大学卒業と同時に、東京の流動化・証券化に特化した会計事務所に就職。その後、バンコクの大手日系会計事務所で5年間、日系金融機関ほか日系企業の会計・税務、監査業務に従事。税務当局との折衝やDD業務を現地スタッフを介さずにタイ語で対応。2013年12月 J Glocal Accounting 設立。タイにおける会計・税務の専門家として、日系企業へのサポートを行っている。
J Glocal Accounting Co., Ltd.
Website : http://jga.asia/
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