タイの税還付申請による税務調査で必ず調べられる資料

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タイの税還付申請による税務調査で必ず調べられる資料

公開日 2025.11.10

タイで事業を行っていると、税務調査への対応を求められることがあります。税務調査の対象となるケースは図表1の通りです。

出所:J Glocal Accounting作成

特に、法人税(源泉税)・VATにかかわらず税還付申請を行うと、ほぼ必ず税務調査を受けることになります。歳入局としても実際の還付金額を減らすために細かい書類ミスなどを探す傾向があるため、税務調査には非常に長い時間がかかります。

一方で、タイ主要メディアによればタイ政府財務相は今年10月、歳入局に対し企業の事業活動をサポートするためにも税還付をより速やかに進めるよう指示を出しており、将来的にはより効率的に税還付が受けられるようになる可能性があります。

税務調査の内容、期間、個別の論点は各社の財務状況や歳入局担当官によって異なりますが「少なくとも必ずチェックされるため厳格に管理、保管すべき」書類をご紹介します。

(1)法人税申告書(PND50)およびVAT申告書(PP30)

 法人税申告書上の売上およびVAT申告書上の売上額の突合せが行われ齟齬がないか確認されます。また、VAT申告書には付随するInput VATリストとOutput VATリストが添付されている必要があります。

(2)監査済財務諸表およびその試算表、総勘定元帳など

法人税申告書の大元となる会計書類についても提出を要求されます。これらの財務諸表上の売上額とVAT申告書上の売上額を会社側で突合せして示すよう要求されることが多いため、エクセルデータで保管することも重要です。

(3)源泉徴収証明書(50TW)の原本

売上の支払いを顧客から受けるに当たり源泉控除された部分については、源泉徴収証明書(50TW)の原本を顧客から入手することとなっています。この原本は税務調査において特に法人税を調査する際に真っ先に確認される書類になります。必ず原本を保管することが重要です。

(4)サプライヤーからのTax Invoiceの原本

VATが発生する支払い取引については、サプライヤー側よりTax Invoiceの原本を入手し、保管する必要があります。また、併せて各Tax Invoiceは記載すべき情報が定められているため、それらの要件を確実に満たしていることが必要です。

以上の書類は少なくとも申請した還付年度の書類が必要になる他、それより前の年度についても遡って提出を要求される可能性があります。そのため、税務関連書類は必ず5年以上保管することが求められます。

J Glocal Accounting Co., Ltd. Managing Director

坂田 竜一 氏

バンコク在住。2007年大学卒業と同時に、東京の流動化・証券化に特化した会計事務所に就職。その後、バンコクの大手日系会計事務所で5年間、日系金融機関ほか日系企業の会計・税務、監査業務に従事。税務当局との折衝やDD業務を現地スタッフを介さずにタイ語で対応。2013年12月 J Glocal Accounting 設立。タイにおける会計・税務の専門家として、日系企業へのサポートを行っている。

J Glocal Accounting Co., Ltd.

Website : http://jga.asia/

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