タイ国外への支払いにかかる源泉所得税・前編

ArayZ No.126 2022年6月発行

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タイ国外への支払いにかかる源泉所得税・前編

公開日 2022.06.10

タイ国内法人同士がサービス料等の対象取引の支払いを行う際に発生する源泉所得税(以下「源泉税」)ですが、タイ国内で事業運営を行っていない外国法人へサービス料等の対象取引の支払いを行う際もタイの歳入法典に基づいた源泉徴収が必要です。

タイ現地法人が親会社などの外国法人へ支払いを行う借入利息、ロイヤリティ、役務提供等は15%、配当は10%の源泉税が課されます。租税条約等により減免される場合もありますが、タイ税務当局の間で見解の不一致となることが多く、税務調査等で延滞税が課せられるなど問題が発生しやすい税金でもあります。本テーマは2回に渡り、国外へ支払いを行う際に発生する源泉税について解説していきます。

源泉税の手続きの流れ

日本法人がタイ法人向けにサービス役務の提供を100バーツで行った場合、タイ法人は日本法人へ15%の源泉税を差し引いた85バーツを支払い、その翌月に税務申告書(PND54)にて源泉税を歳入局に申告・納付します。

タイ国内取引の場合、PND3や同53といった申告書に合計の源泉税を記載して歳入局に申告しますが、PND54の場合は国外法人の社名や住所、支払い内容等の詳細を記載する必要があるため、取り引きごとに申告書を作成しなければいけません。

タイ側で源泉税を天引きされた日本法人は手元への入金額が請求額より減ってしまいますが、日本側の法人税申告書にて一定のルールに基づいて処理を行えば、外国税額控除により日本の所得税額から差し引くことが可能です。その際、タイの歳入局が発行する英文の納税証明書の取得等を求められることもあるため、外国税額控除の適用を受けるためにどのような書類が必要か事前に確認しておきましょう。

では、具体的にどういった取り引きに対して源泉税が発生するのか。これについては実務手続き上の判断が難しく、税務当局側と見解の相違が生まれやすい内容のため8月号の本コラムで詳しく解説していきます。

寄稿者プロフィール
  • 坂田 竜一 プロフィール写真
  • J Glocal Accounting Co., Ltd.
    Managing Director坂田 竜一

    大学卒業後、証券化に特化した会計事務所勤務を経て2009年来タイ。大手日系会計事務所で5年間勤務し、日系金融機関ほか多くの日系企業の会計・税務・監査業務に従事する。2013年12月、J Glocal Accounting Co.,Ltd.を設立、タイと日本の会計・税務の専門家として日系企業へのサポートを行う。

  • JGA ロゴマーク
  • URL : www.jga.asia

    言葉、文化を超えてグローバル日系企業が本業に専念できる環境を提供します。

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J Glocal Accounting Co., Ltd. Managing Director

坂田 竜一 氏

バンコク在住。2007年大学卒業と同時に、東京の流動化・証券化に特化した会計事務所に就職。その後、バンコクの大手日系会計事務所で5年間、日系金融機関ほか日系企業の会計・税務、監査業務に従事。税務当局との折衝やDD業務を現地スタッフを介さずにタイ語で対応。2013年12月 J Glocal Accounting 設立。タイにおける会計・税務の専門家として、日系企業へのサポートを行っている。

J Glocal Accounting Co., Ltd.

Website : http://jga.asia/

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