カテゴリー: 会計・法務
公開日 2025.09.10
2025年6月23日、タイ保健省は「大麻に関する規制薬草告示(Controlled Herbs Notification B.E. 2568)」(以下、「新告示」)を公布し、2022年11月11日付の告示(以下、「旧告示」)を廃止した。これにより、今後はこの新告示に基づいて大麻関連事業が運営されることになる。
新告示も「タイ伝統医療知識の保護および振興法 B.E. 2542(1999年)」4条、44条、45条に基づいて発出されたものである。新告示により規制の明確化や詳細化が進んだ形であるが、販売対象が非常に限定された点が大きな改正点といえる。以下、新告示における主な変更点を紹介する。
旧告示の規定では「Cannabis sativa L.(アサ科の一種)の花穂」と学名で特定されていたが、新告示では「Cannabis属・アサ科の植物の花芽」という形で記載された。範囲の定義が学術的な名称から一般名称へと移行し、規制対象をより包括的に示す形となった。これにより法解釈上、より広く大麻を規制する意図が伺える。
旧告示では「未成年、妊婦、授乳婦、学生への販売禁止」というようなネガティブリスト形式であったが、新告示では「販売できる相手を限定」するポジティブリスト形式へと転換された。
すなわち、販売者(ライセンス保持者)は同じく第46条に基づくライセンス保持者にのみ販売可能とされ、その例外としては医師、伝統医師、漢方医、歯科医、薬剤師の“処方”に基づく患者への販売が認められる形になった。
ただしその“処方”に基づく場合でも、使用量を限定する必要がありその量は30日分を超えてはならないとされている。この新告示の規定により大麻使用が「医療用目的に限られている」ことをより強調し、その実効性を持たせる形になったといえる。
新たに「販売・輸出可能な大麻は、タイ伝統医療・代替医療局(DTAM)が認証した適正栽培・収穫基準を満たす必要がある」ことが明文化された。従来はこの点について特に規定がなく、流通する大麻の管理に課題があったが、新告示によりこの点について一定の規制が設けられることになった。
DTAMは、新告示に基づき今後販売可能なカンナビスの花は、政府機関による良好な栽培および収穫基準に適合していると認証された品質と安全基準を満たす必要があるとした。もしくは民間機関による認証を行う場合には、その認証機関はISO 17025基準に準拠している機関であることが必要である。
適正農業および採取規範(GACP)基準はカンナビス栽培場の認証における主要基準として設定されているが、EU GMP、GLOBAL GAP、IFOAM、GAPなど、同等の基準も認められている。
TNY国際法律事務所
日本国弁護士
藤原 杯花 氏
2017年1月よりタイのTNY国際法律事務所にて執務。TNY国際法律事務所は、日本人弁護士2名が共同代表を務める法律事務所であり、会社設立から規制調査、契約書のリーガルチェック、商標登録申請、相続手続きなどのサービスを提供している。
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