取引競争法(2)

THAIBIZ No.169 2026年1月発行

THAIBIZ No.169 2026年1月発行米中対立の今、タイが選ばれる理由 〜WHAの新・共創戦略〜

この記事の掲載号をPDFでダウンロード

最新記事やイベント情報はメールマガジンで毎日配信中

取引競争法(2)

公開日 2026.01.09

2024年11月号「取引競争法(1)」に続き、タイの取引競争法(Trade Competition Act B.E. 2560 以下、「法」という)について説明する。取引競争法では主に、①支配的地位の濫用、②企業結合、③競争制限的行為、④不公正な取引方法—の4つについて規制しており、今回は③、④について解説していく。

競争制限的行為

これは複数の事業者が商品やサービスの価格、数量、取引条件等を共同で合意するような行為(カルテル)を規制するものである。相互に競合する事業者間の行為であるかどうかにより、以下のAおよびBの二種類の規定がなされている。

A. 同一市場で相互に競合する事業者は、以下のいずれかの方法で、当該市場の競争を独占、縮小する、または制限する行為を共同で行ってはならない(法第54条1項)。

(a)直接的か間接的かを問わず、仕入れ価格、販売価格、または商品やサービスの価格に影響を与える取引条件を固定すること

(b)各事業者が生産、購入、販売、提供する商品やサービスの量を合意に基づいて制限すること

(c)一方の事業者が競売や商品・サービスの入札に勝つために、または他方の事業者が競売や商品・サービスの入札に参加しないために、故意に合意や条件を設定すること

(d)各事業者が商品やサービスの販売、販売縮小、購入を行う地域を分配すること、または、他事業者が購入や販売を行わないことを条件として各事業者が商品やサービスの販売、購入を行う購入者や販売者を分配すること

上記の規定は、取引競争委員会の定める、相互に関連する事業者の行為には適用しないものとされている(同条2項)。

B. 事業者は、以下のいずれかの方法で、市場における競争を独占、縮小する、または制限する行為を共同で行ってはならない(法第55条)。

(a)同一市場の競争相手ではない事業者間で、上記A.(a)、(b)または(d)に規定する条件を設定すること

(b)商品またはサービスの品質を、以前に生産、販売、または提供されたものよりも低い状態にすること

(c)同一または同種の商品やサービスを独占的に販売、提供する者を指名したり、委託したりすること

(d)合意された内容を実行するために、商品またはサービスの購入または生産に関する条件または行為を設定すること

(e)取引競争委員会の通達に規定されているその他の方法で共同契約を結ぶこと

不公正な取引方法

事業者は、以下のいずれかの方法で、他の事業者に損害を与える行為をしてはならない旨が規定されている(法第57条)。

(a)他の事業者の事業活動を不当に阻害すること

(b)市場支配力や優越的交渉力を不当に利用すること

(c)不当に取引条件を設定し、他の事業者の事業活動を制限または阻止すること

(d)その他、取引競争委員会の通達に定める行為を行うこと

上記の行為については、取引競争委員会のガイドライン(Guidelines for the Assessment of Harmful Practices B.E.2561(2018))によりその詳細内容が示されている。

「市場支配力」について、市場占有率が10%以上の事業者は市場支配力を有するものと推定し、市場の事業者数、資本金額、流通経路などの他の追加的要因をあわせて考慮するとされている。

「優越的交渉力」について、ある事業者が、他の事業者からの商品またはサービスの購入に依拠せざるを得ない状況で、当該事業者にとって、その取引額が、当該商品またはサービスの販売から得られる収入の30%以上である場合等に優越的交渉力を有するものと評価される(30%未満の場合でも、代替可能な取引先を見つけることができない場合等には優越的交渉力を有すると評価される)。

>>本連載「タイビジネス法務」の記事一覧はこちら

TNY国際法律事務所
日本国弁護士・弁理士

永田 貴久 氏

京都工芸繊維大学物質工学科卒業、2006年より弁理士として永田国際特許事務所を共同経営。その後、大阪、東京にて弁護士法人プログレ・TNY国際法律事務所を設立し代表社員に就任。2016年にタイにてTNY Legal Co., Ltd.を共同代表として設立。TNYグループのマレーシア、ベトナム、メキシコ等の各オフィスの共同代表も務める。

TNY国際法律事務所

当事務所には、タイ・日本の法務に精通している日本人の弁護士がおり、事業に際しタイにおける規制や困難な側面を理解していますので安心してご相談いただけます。当事務所の経験豊富なタイ人弁護士と日本人弁護士が、手ごろな価格で、迅速かつ正確なサービスを提供致します。

[バンコク]
Tel: 095-948-7236 (日本語対応)
02-127-0742 (英語対応)
E-mail:info@tny-legal.com

Website : http://www.tny-legal.com/

THAIBIZ No.169 2026年1月発行

THAIBIZ No.169 2026年1月発行米中対立の今、タイが選ばれる理由 〜WHAの新・共創戦略〜

この記事の掲載号をPDFでダウンロード

最新記事やイベント情報はメールマガジンで毎日配信中

Recommend オススメ記事

Recent 新着記事

Ranking ランキング

TOP

SHARE