カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2022.06.21
日本産農水産物・食品輸出は昨年、当初の目標だった1兆円超えを達成した。日本政府は2030年に5兆円を目指すというさらなる目標に向けて米国、欧州連合(EU)、タイなど8カ国地域で輸出支援プラットフォームを設置することを決め、米国のニューヨーク、ロサンゼルスに続いて5月5日にはタイ・バンコクで金子原二郎農林水産相を迎え同プラットフォーム立ち上げ式を開催した。
この日あいさつに登壇した金子農水相は「昨年の日本からタイへの輸出額は441億円と世界で7番目。特に牛肉が伸びており、今後はイチゴなどの青果物の輸出が期待されている。今後、5兆円の達成には(タイは)不可欠な国だ」と強調した。
また梨田和也駐タイ大使は、新型コロナウィルス禍でもタイ国内の特に地方を中心に日本食レストラン数が増加し続けていると指摘。一方で、「課題としては食品安全にかかわる規則が欧米並みの基準へ急速に移行しており、タイで食品輸入にかかわる事業者が厳しくなる規制に苦労している」とし、今回の輸出支援プラットフォーム設置の背景を紹介した。
この後、在タイ日本大使館の松尾紘子一等書記官が同プラットフォームについて具体的に説明。輸出拡大に向けた支援体制の現状と課題では、「在外公館アタッシェなどは3年程度で交代してしまい、継続性の確保が困難」などとの現状があり、「継続性」「専門性」「組織間連携」「地域の主体性の強化」が課題だと報告した。
輸出先各国の体制として、在外公館、日本貿易振興機構(ジェトロ)海外事務所、日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO)海外代表をローカルスタッフが継続的・専門的に支える公的プラットフォームを構築し、輸出・食品事業者、現地レストランなどを支援した上で、タイでは、「輸入規制目安箱機能」「新規制情報収集・周知機能」「調査・レポート作成機能」を整備していくという。
続いてタイで日本産農産物食品輸入を実際に手掛ける民間代表として、ダイショー・タイランドの加藤秀樹社長が登壇。在タイ29年の経験を踏まえ、タイでの日本食普及の歴史を紹介し、カンボジア、ミャンマー、ラオス、中東などの日本食レストランがタイに調達に来るなど「タイは日本食の供給にとって欠かせない拠点だ」と強調した。
その上で、「タイは世界に食品輸出をしている国で、衛生規格、植物検疫など欧米のルールをカバーし、タイが海外に求める規格も国際基準だ」とし、一方で、「日本はいまだに国内産業の延長で、ルールが国際基準になっておらずこの溝を埋めることが根本的にできていない。日本の食品産業も世界に売って出るために国際基準にしてほしい」と訴えた。
最後にタイの農業・食品産業に詳しいカセサート大学のウィーラシット・サンパモンコンチャイ准教授が、タイの食品安全システムについて講演。食品流通の川上から川下に関わる保健省・食品医薬品局(FDA)、農業・協同組合省の農業局(DOA)、水産局(DOF)、畜産局(DLD)など政府機関の役割分担、規制体系を解説した。
TJRI編集部
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