ArayZ No.118 2021年10月発行SDGsのうねり-サステナビリティに進む世界
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カテゴリー: ASEAN・中国・インド
公開日 2021.10.09
みずほ銀行バンコック支店メコン5課が発行する企業向け会報誌 『Mekong 5 Journal』よりメコン川周辺国の最新情報を一部抜粋して紹介
村井 亜也子|台北支店 ビジネスソリューション課 調査役
目次
台湾企業はメコン5地域で長年の事業経験があり、同地域の日本企業にとって実は身近な存在だ。近年もコロナ禍にも関わらずベトナム等への投資意欲は旺盛で、日本企業にとっても現地パートナーとして台湾企業と協業する機会は増えている。
今回は、台湾企業の対メコン5地域の投資動向やその背景、日本・台湾企業の連携事例について触れていきたい。
台湾の実質GDP成長率は、過去3年間約3%を維持している。今年の5月以降コロナ感染が急拡大し、一時消費の落ち込みが見られたものの、2021年通年では6%近い成長率が予想されている。
その原動力となるのは、半導体輸出の拡大である。
台湾では、10年以上にわたり輸出が経済をけん引してきた。足元では輸出全体の35%を半導体が占め、その比率は上昇が続いている。半導体輸出増加の背景には、台灣積體電路製造(TSMC)等の半導体受託製造企業(ファウンドリー)の技術的な優位性と半導体需要の急速な高まりがある。
TSMCは巨額のR&Dや設備投資によりファブレス企業顧客からの信頼を獲得し、世界の6割もの半導体受託生産が台湾に集中している。AI・5G等のテクノロジー進展による半導体需要拡大の恩恵を受け、半導体生産・輸出の拡大が台湾経済を支えている。
輸出に限らず、台湾企業のアジアへの直接投資も増加傾向にある。中でもメコン5地域向けの直接投資を見ると、国別ではベトナム向けが圧倒的に多い。合成樹脂・繊維・食品等を中心に20年以上ベトナムで事業実績のある会社もあり、地場企業とのつながりも深い。
ただし、直近3年間の台湾企業のベトナム投資の産業構造には変化が見られる。従来化学・紡織・金属等の伝統産業による投資が中心であったが、19年以降は、米中貿易摩擦を背景に、エレクトロニクス産業の投資増加が目立つ。
世界のスマホ・PC生産の大半は、鴻海精密工業等の台湾製造受託メーカー(EMS)の中国現地法人にて製造されてきた。生産委託企業の意向もあり、この中国一極集中を回避するためにEMSの生産移管先としてベトナムやタイが選択されるケースが増加している。
このように、台湾経済は半導体輸出に支えられてコロナ禍でも好調が続き、サプライチェーン分散を目的としたエレクトロニクス企業等によるメコン5地域向け投資増加が予想される。
これは日本企業にとっても無関係ではない。JETROのアンケート調査によると、生産拠点シフトを実施済・検討中の企業の生産移管先上位1位・2位はベトナムとタイであり、メコン5地域に新規進出・事業拡大する日台企業が現地で提携する機会は増加する見込みである。
日本企業A社はネジを製造しており、19年にベトナムに進出したものの、日本企業以外の販売先発掘に苦労していた。一方、台湾企業B社は機械部品を製造して現地企業に販売していたが、外資系企業への販路拡大が課題であった。
A社とB社は協働してネジと機械部品を販売することで合意し、協働した結果、A社はベトナム企業への販路拡大に成功し、B社はA社を通じて日本企業の取引先を開拓することに成功した。
この事例は、台湾の対外貿易・進出をサポートする台湾貿易センター(TAITRA)とJETRO共催の商談会にて、日台企業のWIN-WINの提携に結び付いた事例である。日本企業がメコン地域における事業拡大にあたり、台湾企業との提携を選択肢の一つとして検討いただく機会が増えることを期待し、本稿を執筆させていただいた。
これまでの下落から切り返して年初来高値を更新。32.30台からスタートし、8月米雇用統計も無事通過すると、米金利の上昇を横目にドルバーツは32バーツ後半へ。中旬以降、FOMC(連邦公開市場委員会)を前に発表された米小売売上高は7ヵ月ぶりの弱い伸びに留まり、FRB(連邦準備理事会)の政策が読みにくくなることを嫌気した株安がバーツ売りを誘った。また、タイ国内の新規感染者数が一時増加に転じたことや、中国の大手不動産会社である中国恒大集団の社債デフォルト懸念が燻る中、ドルバーツは再び33バーツを上抜け、33バーツ半ばと年初来高値を更新。11月以降にテーパリングを開始すると考えられるFRBのタカ派スタンスも材料視され、月末付近にドルバーツは33バーツ後半へと値を切り上げた。
中国恒大集団の利払いが10月も控えており、中国政府の支援策も不明確な中でドルバーツは引き続きボラタイルな展開を予想。しかし、34バーツ抜けにはレジスタンスも多いと考えられ、上昇と共に上値は重くなり、タイの新規感染者数減少や不透明感の払拭でバーツ高方向への動きが優勢か。
8月にベトナム中央銀行が為替介入方法を変更し、VND高を許容するスタンスを示したことでUSDVNDも23,000割れ水準となり、9月は22,700台でスタート。新型コロナウイルスの感染拡大により国内の生産活動が大きく低下、貿易赤字も継続する状況下、介入レベルとなる22,750を突破する動きは限られ、動意薄の展開が継続。月を通して22,700台での推移が継続し、結局、同レベルでクローズとなった。
10月も動意の薄い展開を予想する。ベトナムでは新型コロナウイルス感染拡大により打撃を受けた経済立て直しのため、社会隔離政策の転換点を迎えているが、輸出活動の正常化、貿易収支の黒字転には時間を要するものと思われ、介入レベルである22,750を突破するようなVND高水準となる可能性は低いだろう。
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みずほ銀行メコン5課
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