ArayZ No.122 2022年2月発行タイのモビリティ/ MaaS – 現在地と将来像
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カテゴリー: ASEAN・中国・インド, バイオ・BCG・農業
公開日 2022.02.02
みずほ銀行バンコック支店メコン5課が発行する企業向け会報誌 『Mekong 5 Journal』よりメコン川周辺国の最新情報を一部抜粋して紹介
Pornparn Wongphattanangkura | MHCB Consulting (Thailand) Co., Ltd.
メコン5各国は歴史的に農業が産業の中心となってきたが、第二次、第三次産業への投資促進により、農業分野のシェアの低下が進んでいる。干ばつ、洪水、台風などの自然災害の原因となる気候変動は天候に依存した農業の脆弱性を増大させ、不作など農業の生産性低下を引き起こしている。 そこで、メコン5各国では低生産性農業から付加価値の高い農業へ転換を図るため、スマート農業が奨励されるようになった。また最近の新型コロナウイルスの感染拡大も農業のデジタル化を後押しすることになった。
本特集の前編では、タイ・ベトナム・ミャンマーの農業の状況について説明する。後編ではカンボジア・ラオスについて説明するとともに、メコン5における地場企業のスマート農業への取組みなどについても触れていきたい。
タイは世界で主要な農業生産国、輸出国として知られており、主要輸出品目は米、天然ゴム、砂糖、キャッサバなどが挙げられる。タイの農業従事者の割合は全労働人口の31.43%(2019年)を占めるが、国内総生産(以下、GDP)における農業の割合はわずか8.14%(19年)となっている。
これは経済の中心が工業やサービスに移っているからであり、農業従事者一人当たりの所得が依然として低いことも表している。
近年ほとんどの農家は、農産物価格の低下や自然災害などにより収入減に直面、より高収入な仕事を求める若年労働者が集まらなくなるなど人手不足に悩まされている。このことによる農業規模の縮小、高齢化は生産性に影響を及ぼし、規模の経済を追求できなくなっている。
タイは、ベトナムやカンボジアと比較して、国際機関との共同開発や資金援助、技術支援など農業を対象とした研究開発投資を拡大してきているが、多収品種に関する研究の遅れから収穫量や品質の面におけるコメの競争力が低下してきている。
一方で若年農業従事者は、最新の農機を導入するなど革新的な農業技術を積極的に利用し、生産性向上や高付加価値化に向けて動き始めている。 タイの農業が持続可能な成長をしていくためには、高齢化に直面している状況下での労働生産性の向上、貧困の撲滅、政府予算配分の見直しが必要である。さらに、伝統的な農業(慣行農業)からスマート農業への転換も必要になると考えられる。
タイ政府は20年国家戦略計画(2017~36年)に基づきスマート農業の推進に取り組んでいる。農業の効率性、生産性の向上に繋がっているが、残念ながら資金の問題や農業従事者の知識不足などによりスマート農業への転換が期待したほど進んでいないことも事実である。
スマート農業の技術は比較的大規模な農家に導入されることが多い。そこで、タイ政府などが小規模農家を対象とした実証実験を通じた支援プロジェクトを開始し、裾野拡大を進めている。
ベトナムのGDPにおける農業の割合は38.74%(1990年)から14.85%(2020年)と、ここ30年で大幅に低下している。
1980年代半ばから開始されたドイモイ(刷新)政策は、農業分野において目覚ましい成果を上げたが、90年代に入ると経済政策の失敗により食料不足に陥った。この結果、ベトナム政府は農業と食料安全保障に重点を置き、さらに近年では量より質と付加価値を重視した生産へと移行している。
ベトナムは世界的に見ても主要な農業生産国になりつつある。同国で栽培されている農作物にはコメ、キャッサバ、トウモロコシ、サツマイモ、コーヒー、ココナッツ、茶、コショウ、カシューナッツ、サトウキビ、ピーナッツ、大豆、タバコ、ゴマなどがある。農産物輸出はここ数年で急増し、2020年には412億米ドルに達した。主な輸出品は米、コーヒー、コショウ、野菜などで、主な輸出先は米国、中国、ASEAN、EUである。
同国の農業は、18年に3.76%と過去7年間で最も高い成長率を記録したが、その技術水準は依然低いままである。20年時点で全労働人口の36.2%が農業部門に従事しており、農作業は手作業か旧式の農機を使用している。
これまで、政府や国際支援機関からの援助で技術革新が進められてきたが、現在のところスマート農業は資金力のある大規模農場にのみ導入されている。小規模農家への導入が課題として残されている。
ミャンマーでは農業は国の重要な産業基盤である。農業は国民の大多数にとって主要な収入源であり、GDPの22.82%(20年)、全労働人口の50%弱(19年)を占めている。
主な農作物は米、豆類、ゴマ、サトウキビ、トウモロコシ、綿花などであるが、近年では茶、コーヒー、ゴム、油糧種子、ココア、果物といった付加価値(換金性)の高い作物も栽培されている。これらの農作物のうち、米、豆類、トウモロコシなどは主に中国や他のアセアン諸国に輸出されており、輸出総額の25~30%を占めるまでに至っている。
ただし、昨今の同国における混乱や新型コロナウイルスの拡大により、農業分野におけるサプライチェーン、労働力確保、物流への影響が出ている。
ミャンマーの農業は極めて労働集約的であり、様々な要因が絡み合って低生産性と機能不全が長期間続いている。同国の慣行農業は技術水準が低く、土壌侵食など環境に悪影響をもたらしてきた。広大な土地はあるものの、その多くは肥沃さに欠ける高地に位置し、低地が中心の周辺国と比べると稲作には不向きである。
また公共の灌漑システムが脆弱なことから収穫は降雨量に左右され、近年の気候変動による天候不順にも大きく影響を受けている。さらに、他のメコン5各国と比較すると同国の農業従事者の教育水準が低く、適切な農業経営の知識が不足している。
これまでミャンマーでは小規模農家の生産性を高めるため、主に国際協力の枠組みを通してスマート農業の普及を目的とした研究、実証実験などが行われてきた。実際にスマートフォンなどの新たな技術を用いた農業に取り組む農業従事者が増加してきている。
今後スマート農業をさらに拡大させるには、天気予報の精度、産学連携の推進、農産品価格情報の共有、肥料・農薬の使用状況の監視、金融機関からの融資といった多くの課題を乗り越える必要がある。イノベーション開発のコスト、農業従事者の知識・能力、情報通信技術の普及などの現状を考慮すると、さらに時間を要すると思われる。
タイ
底堅い展開を予想。FRB(連邦準備理事会)がより早いピッチで利上げする可能性が意識される環境だが、現状の米株式は大崩れとならず。しかも、利上げに伴う株価の変動はFRBの監督外というスタンスも見れることから、若干の株価調整程度では米金利への影響が限定され金利が一段高になる可能性。そうなるとドル買いが入り易く、ドルバーツはしっかりと推移するか。
ベトナム
引き続き狭いレンジでの推移を予想。1月にはベトナム中銀が改めてVND高を許容するスタンスを表明。これは米国による為替操作国認定の回避を意識した運営と思われることから、相場がVND安に進んだ場合には、中銀が一定の歯止めを掛けることになりそうだ。USDVNDは当面狭いレンジで推移しつつ、徐々にVND高を許容する展開となる可能性が高いだろう。
ミャンマー
ミャンマー中銀が主導する官制相場の下、1700台後半を中心に狭い範囲内でのトレーディングバンド設定に留まるであろう。
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みずほ銀行メコン5課
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