ArayZ No.128 2022年8月発行その資産、どこに行く? 日タイ相続 超入門
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カテゴリー: 会計・法務
公開日 2022.08.10
橋本 裕輝|グローバルトランザクション営業部 バンコック駐在 調査役
各銀行間で送金データを送受信する際、決済システムは独自の通信フォーマットを設定していましたが、現在これらのフォーマットの標準化に向けた取り組みが世界各国で始まっています。特にタイではその取り組みが進み、一部の決済システムは2022年8月15日に世界共通フォーマットISO20022へ移行する予定です。本稿では、タイにおける取り組みとビジネスへの影響を解説します。
メコン5各国にとってもその重要度は同様だが、ESGマネーを取り込むためには政府・監督機関の体制整備や、自国内企業および投資家のESGに対する認知度向上が不可欠である。
本稿では、ASEANにおける環境整備状況を俯瞰し、メコン5域内で最も取り組みが進んでいるタイにフォーカスして見ていきたい。
各銀行は、送金銀行と受取銀行が異なる銀行であってもスムーズにデータの授受を行うため、決済システム毎に定められた金融通信フォーマットを用いて送金データの授受を行います。送金データの中には送金依頼人・受取人・送金金額・付帯情報(請求書情報等)等が含まれ、送金の受取人は受取銀行を通して入金情報だけでなく、請求書情報等も通知されるという仕組みです。
使用する主なシステムとしては、国際送金であればSWIFT(スウィフト)、タイ国内送金であればBAHTNET(バーツネット)やMEDIA CLEARING(メディア・クリアリング)、日本であれば全銀システム等が挙げられます。これらのシステムは導入開始から数十年経っていることが多いためデータが活用しづらく、入力可能なデータの容量不足といった課題がありました。
それらを克服するため、国際標準機構(ISO)は金融通信メッセージの世界標準規格ISO20022を制定しました。データ項目を自由に設定できるXMLを採用し、従来の金融通信フォーマットと比べて優れた柔軟性と拡張性が特徴です。現在、各国は従来のフォーマットからISO20022フォーマット(以下、新フォーマット)への移行を進めており、将来的に各国の金融サービス向上に繋がることが期待されています。
SWIFT(国際送金)は22年11月から新フォーマットへ移行し、加盟金融機関に対して25年までの移行完了を案内しています。
タイでは主に3つの国内決済システムが用いられています。下図にある通り、既に小口送金用の決済システムであるMEDIA CLEARINGは新フォーマットへの移行を済ませており、本年8月にBAHTNETも同様に移行予定です。
一方ベトナムでも、すでに小口送金用の決済システムであるNAPASは新フォーマットへの移行が済んでおり、ベトナム中銀によれば大口の即時送金システムであるIBPS(別名CITAD)は24〜25年での移行を計画しています(図表1)。
⑴ 消込業務の効率化
従来は、送金データに反映されるデータが限定的なため、受取人は入金された内容が自社のどの売掛金に対応するものか担当者による個別の確認が必要でした。新フォーマットへの移行により、銀行が請求書明細データをお客さまに提供できるようになれば、自社の売掛金データの消込を効率的に行うことが可能となります。たとえば大量の請求書の支払いを1回の送金で行う場合、全ての請求書の明細を送金データに反映し、受取人に通信することができるようになるのです。
⑵ 銀行サービスの向上
タイでは新フォーマットを利用し、銀行が電子源泉税納付サービス・通称e-WHTを提供しています(図表2)。
これは、お客さまが送金データと一緒にインボイス毎の源泉税情報を銀行へ送ることで、銀行がお客さまに代わってタイ歳入局に源泉税を納税するサービスです。このように、新フォーマットへの移行により誕生する新たな銀行サービスが期待されています。
⑶ 送金処理事務の自動化
近年、注目が高まっている送金データのコンプライアンスチェックというプロセスにおいて、銀行では送金内容がマネー・ローンダリングや犯罪収益の移転に該当しないか、各データ項目をチェックしてきました。新フォーマットでは、データ入力箇所が細分化されるためシステムによるデータの把握が容易になり、銀行の送金処理事務の自動化を高めることが可能になります(図表3)。
新フォーマットへの移行により、皆さまはより多くの情報を送金データに追加し、それらのデータを活用することで、業務効率化に繋げることが可能になります。今後、各銀行でも電子源泉税納付サービス等、新フォーマットへの移行を踏まえた決済サービスの拡充が予想されます。お気軽に当行の営業担当者へご相談ください。
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みずほ銀行メコン5課
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