オンライン販売事業の登録義務

ArayZ No.141 2023年9月発行

ArayZ No.141 2023年9月発行東南アジアにおける 脱炭素トレンドと脱炭素に向けたアプローチ

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オンライン販売事業の登録義務

公開日 2023.09.09

1.はじめに

連邦政府は、オンライン販売事業を必須物資・サービス法(Essential Supplies and Services Law)第4条(c)に規定される必須サービスであると発表し、当該サービスに関連する事項について、禁止命令、規制命令、監督命令、保護命令を発する権限、および必要に応じて命令を発する権利を商業省に委譲する旨の2023年5号通知を23年7月4日付で発布した。  その後、商業省は23年7月21日付で23年50号通知を発布し、オンライン販売事業者は登録証の交付を受けなければならないこと、及び登録証を取得せずにオンライン販売事業を営む者は、本通知の発布日から6ヵ月経過した日から、必須物資・サービス法第5条に基づき処分を受ける旨を規定した。

また、商業省は同日(7月21日)付けで23年51号通知(以下「51号通知」という)を発布し、当該通知においてオンライン販売事業の登録に関する詳細を規定した。  以下、51号通知の主な内容を紹介する。

2.51号通知の内容

1.定義

a. 「オンライン販売事業」とは、オンラインで商品を販売し、またはサービスを提供する事業をいう。

b. 「登録証」とは、本規則に基づき本局が発行するオンライン販売事業登録証をいう。

c. 「登録証明書保有者」とは、登録証明書を保有し、オンライン販売事業に従事する会社、法人または個人を意味する。

d. 「本省」とは、ミャンマー連邦共和国政府の商業省を指す。

e. 「本局」とは、商業省貿易局を指す。

2.登録証保有者の義務

登録証保有者は以下の義務を有する。

a. 販売された商品またはサービスに関して責任を負い、問題を解決しなければならない。

b. 販売した商品またはサービスの領収書を提供しなければならない。

c. 販売された商品またはサービスに関して、理解しやすく正しい情報および保証を提供しなければならない。

d. 販売した商品またはサービスが、販売した商品またはサービスの価格に見合った品質であることを保証する責任と説明責任を負わなければならない。

e. 消費者が、提供された情報や保証に適合しないことを理由に、販売された商品の返品を希望する場合、返品できる条件や期間を決定し、決定された内容を実施しなければならない。

f. 登録証の申請時に提出した販売する商品またはサービスのリストにない商品またはサービスを販売してはならない。

g. 商品またはサービスの販売に際し、消費者を誹謗中傷し、もしくは消費者の信用を毀損する行為を行ってはならない。

h. 消費者が販売する商品またはサービスの代金を支払う方法について、理解しやすく正しい情報を提供しなければならない。

i. 販売に先立ち、商品の引渡しの方法および条件をあらかじめ消費者に知らせ、消費者に選択させ、それに従って販売した商品を引き渡さなければならない。

j. 法令に基づく場合、政府部門または政府機関の指示に基づく場合を除き、消費者の個人情報および消費者が開示を希望しない情報を秘密にしなければならない。

k. オンライン販売事業を通じて、政治的または公共の平和および安全を損なうような扇動、演説、組織化を奨励および結集する行為を行ってはならない。

l. 登録証を直接または間接に他人に譲渡してはならない。

m. 透明性のある方法で販売を行わなければならない。

n. 食品、医薬品、医療機器、化粧品などに関して、関係政府部門または政府機関が定めた規定および規格を厳守しなければならない。

3.第51号通知の影響

これまでミャンマーにおいてはオンライン販売事業に関する登録義務について規定した法令は存在しなかった。第51号通知及びそれに関連する一連の通知によりミャンマーでオンライン上で商品を販売し、またはサービスを提供する事業を行う場合には商業省に登録する必要が生じることとなった。日本と同様、ミャンマーにおいても信頼性の低いサイトがあることから、消費者の観点からは望ましい規制と解される。

もっとも、商品のみならずサービスの提供についても登録対象となっており、登録義務のあるサイトか否かをどのように判断するのか明確でなく、今後の運用を注視する必要がある。

ミャンマー法令データベース(MLDB)

TNY国際法律事務所が運営するミャンマー法令データベース。ミャンマー唯一のミャンマー法を年代別、法分野別に分類した形で確認でき、かつ、ビジネスに関連する1537の法律と854の規則等を英訳し、英語にて法令の内容を確認できる。ミャンマーが独立した1948年以降から現在までのすべての法律に加え、ビルマ法典に収録されたすべての法律を収録している。

http://www.myanmarlawdb.com/

寄稿者プロフィール
  • 堤 雄史 プロフィール写真
  • TNY国際法律事務所共同代表弁護士
    堤 雄史(つつみ ゆうじ)

    会社設立、合弁契約書及び雇用契約書等の各種契約書の作成、M&A、紛争解決、商標登記等のミャンマー法に関するサービスを提供している。ミャンマー法令データベース(http://www.myanmarlawdb.com/)事業も運営している。TNYグループとして、11ヵ国13ヵ所(東京、大阪、佐賀、ミャンマー、タイ、マレーシア、メキシコ、エストニア、フィリピン、イスラエル、バングラデシュ、ベトナム、イギリス)に拠点を有する。

    Email:[email protected]
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TNY国際法律事務所 (ミャンマー)
代表弁護士

堤 雄史 氏

会社設立、合弁契約書および雇用契約書などの各種契約書の作成、M&A、紛争解決、商標登記等のミャンマー法に関するサービスを提供している。ミャンマー法令データベース(www.myanmarlawdb.com)事業も運営している。

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