【年始特集】アジア景況感、半導体に望み ~楽観は28.5%に拡大、駐在員調査~

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【年始特集】アジア景況感、半導体に望み ~楽観は28.5%に拡大、駐在員調査~

公開日 2026.01.15

NNA掲載:2026年1月5日

NNAがアジアの日系企業駐在員らを対象に実施した調査で、駐在する国・地域の2026年上半期(1~6月)の景気が25年下半期(7~12月)から横ばいになるとの回答が半数近くを占めた。改善を見込む回答は28.5%で、1年前の調査から小幅に拡大した。国・地域別ではインドで7割以上が楽観的な見通しを示したほか、世界的な半導体需要を背景に台湾や韓国でも景気改善を見込むとの予想が目立った。

インドは製造業が好調なほか、旺盛な内需も景気を底上げする=インド・グルガオン(NNA撮影)

26年上半期の景気が25年下半期から「横ばい」になるとの回答は48.7%で、1年前の47.8%から小幅に拡大した。26年上半期の景気が改善すると予想したのは、全体で28.5%。このうち、「緩やかに上昇する」との回答は26.3%で、「上昇する」は2.2%だった。1年前の調査では改善するとの見通しは27.5%で、楽観的な見通しがわずかに強まっているようだ。「緩やかに下降」(17.1%)と「下降」(4.6%)は合わせて21.7%で、1年前の23.6%から悲観的なトーンがやや弱まっている。

国・地域別では、インドで12.1%が「上昇」、60.6%が「緩やかに上昇」と回答し、楽観的な見通しの割合はダントツとなった。アジア開発銀行(ADB)はインドの25/26年度(25年4月~26年3月)の国内総生産(GDP)成長率が7.2%になると予想。自動車や半導体、スマートフォンなどの生産を中心に製造業が活発であることに加え、25年9月には物品・サービス税(GST)の減税に踏み切ったことで、内需の拡大も期待される。米国からは高率の関税を課されているものの、「内需中心であり、あまりネガティブな要素が見つからない」(電機・電子・半導体)状況にある。

ベトナムでは5.0%が「上昇」、57.5%が「緩やかに上昇」と回答し、合わせて62.5%が楽観的な見通しを示した。「引き続き他国からの生産シフトが見込まれる」(電機・電子・半導体)ことで、「25年後半の景気を引き継ぐ」(石油・化学・エネルギー)との期待は強い。タイは楽観が22.5%、横ばいが57.5%、悲観が20.1%だった。タイ国内では通貨バーツ高に加えてカンボジアとの軍事衝突を抱え、26年2月には下院総選挙を控える。それでも現状では景気に大きな変化はないとの見方が大半を占めた。

現地のマーケットは成熟しているものの、楽観的な見通しが目立ったのが台湾(38.9%)と韓国(60.0%)だ。台湾と韓国は半導体のサプライチェーン(供給網)でともに重要な役割を担う。「トランプ関税による先行き不安が解消されつつある」(韓国/電機・電子・半導体)ことや、「半導体業界の強い需要は継続」(台湾/電機・電子・半導体)することが期待できることで、楽観的な見通しが強まっているようだ。台湾は国際協力銀行(JBIC)が発表した「中長期的な有望投資先」(25年度版)で11位となり、前年から順位を3つ上げている。

悲観的な見通し、中国で最多

反対に、悲観的な見通しが最も多かったのは中国で33.1%。楽観的な見通し(11.3%)を大きく上回った。中国は米国との対立が常態化し、ここ数カ月は日本との関係も悪化していることで、日系企業にとっての事業環境は厳しさを増している。「撤退や規模縮小を進めている企業が周りにある」(その他製造)との声も出ている。

東南アジアでは、インドネシア(28.9%)とフィリピン(29.4%)で悲観的な見通しが強かった。インドネシアは楽観的な見通しが20.6%、フィリピンは26.4%で、ともに悲観が楽観を上回った。両国では人口ボーナス期が続いており25年1~9月の経済成長率はともに5%台を記録している。それでも「一昨年からの需要高止まりが徐々に落ち着いてくると想定している。大規模農産地『フードエステート』などの大型工事も政府の予算削減で進捗(しんちょく)が読めない」(インドネシア/機械・機械部品)ことや、「利下げで景気刺激を試みるも、根本的な景気対策がない」(フィリピン/石油・化学・エネルギー)ことなどが先行きに影を落としているようだ。

業種別では、「建設・不動産」が41.3%が楽観的な見通しを示して最大だった。これに「電機・電子・半導体」が37.7%で続いた。「貿易・商社」は25.0%が楽観、横ばいが59.1%、悲観が14.8%。「四輪・二輪・部品」は楽観が29.0%、横ばいは52.0%、悲観は18.0%だった。

25年下期の景気、フィリピンで悪化顕著

駐在国・地域の25年下半期の景気について、25年上半期との比較では、「横ばい」が最も多く40.6%。これに「緩やかに下降」が24.4%、「緩やかに上昇」が20.0%で続いた。

国・地域別で「上昇」の割合が多かったのは、やはりインドで27.3%。これに台湾が11.1%、ベトナムが7.5%で続いた。「緩やかに上昇」も合わせるとインドは69.7%、ベトナムは55.0%で多かった。台湾は38.9%だった。韓国は「上昇」はなかったものの、「緩やかに上昇」は45.0%。マレーシアは「上昇」と「緩やかに上昇」が36.0%で、「横ばい」と同率。「下降」と「緩やかに下降」を合わせた28.0%を上回っている。タイは「上昇」と「緩やかに上昇」が合わせて15.0%だったのに対し、「横ばい」が43.8%、「下降」と「緩やかに下降」が41.3%と低調だった。

「下降」と「緩やかに下降」を合わせた「悪化」の割合が最も大きかったのはフィリピンで55.9%。インドネシアが49.5%でこれに続き、中国は44.4%だった。

フィリピンでは台風による洪水の影響に加え、政府の汚職問題が景気の足を引っ張っているとの指摘が多く見られた。実際、「汚職スキャンダルによる政府資金の拠出凍結や、国外からの民間投資などの減退」(建設・不動産)といった「実害」も出ているようだ。インドネシアは「デモや災害もあり、停滞しているように感じる」(建設・不動産)との指摘があるように、自動車販売が減少するなど、消費が低迷傾向にあるとの声が多かった。

業種別では、「四輪・二輪・部品」で21.0%が景気改善と回答。38.0%が横ばい、40.0%が悪化したと回答し、改善を大きく上回った。このほか、「電機・電子・半導体」で景気が改善したのは28.6%、横ばいは45.5%、悪化は26.0%だった。「貿易・商社」は改善が28.4%、横ばいが38.6%。悪化は32.9%だった。

<アンケートの概要>
調査は2025年12月8日から17日にかけて、アジア太平洋地域の駐在員らにインターネットで実施し、15カ国・地域の589人が回答した。業種の内訳は製造業が44.5%、非製造業が50.4%だった。国・地域別の内訳は中国142件、インドネシア107件、タイ80件、ベトナム40件、フィリピン34件、インド33件、オーストラリア32件、香港30件、マレーシア25件、シンガポール22件、韓国20件、台湾18件など。数値は四捨五入したものであり、合計が100%にならないことがある。

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