部品大手、EV恩恵まだ軽微 ~生産規模小さく、販売会社は増益~

最新記事やイベント情報はメールマガジンで毎日配信中

部品大手、EV恩恵まだ軽微 ~生産規模小さく、販売会社は増益~

公開日 2026.02.13

NNA掲載:2025年12月12日

タイで電気自動車(EV)の販売台数が急伸している一方、地場自動車部品の大手企業がEVの普及で受ける恩恵は現状で大きくない。タイは東南アジアの自動車生産ハブとなっているものの、EVの生産台数規模がまだ小さいことから、EV関連部品は収益源の柱とはなっていないという。他方で、中国系EVブランドを取り扱う販売会社は売り上げを伸ばしており、自動車関連企業の間でも製販によって業績に差が出ている。

タイの自動車部品最大手アーピコ・ハイテックは、BYD向けにも部品を供給しているが、EV部品が売上高全体に占める割合はまだ低いという=11月、ノンタブリ県(NNA撮影)

「われわれが生産する自動車部品の95%はEVに流用できる」。タイ証券取引所(SET)に上場している部品最大手アーピコ・ハイテックのIR担当責任者のポチャレー氏は、11月下旬に開いた事業説明会でこう強調した。

同社はEV向けに金属成形・組み立て部品や鋳造・機械加工部品を手がけており、比亜迪(BYD)や重慶長安汽車、いすゞ自動車などに納入している。

だが、アーピコの自動車部品事業の売上高に占めるEV関連の割合は5%程度だという。その理由として、EVに使用する部品数が、内燃機関(ICE)車よりも少ないことや、EV生産台数の規模がまだ大きくないことを挙げた。さらに、ベトナムのビンファストにも供給してきたが、第4四半期(10~12月)に終了するという。

アーピコの2025年1~9月期連結決算は、売上高が前年同期比4.8%減の196億8,000万バーツ(約965億円)、純利益が0.2%減の6億3,000万バーツ。売上高の内訳は、相手先ブランドによる生産(OEM)の自動車部品が0.7%減の138億9,600万バーツ、自動車ディーラー事業は14.6%減の54億7,200万バーツとなった。

アーピコは、タイ、マレーシア、中国、ポルトガルに工場を構えている。OEM自動車部品の売上高に占める納入先別の比率は◇いすゞ自動車=22%◇米デーナ=8%◇マツダと米フォード・モーターの合弁会社オートアライアンス・タイランド(AAT)=6%◇ドイツのコンチネンタル=5%◇米アメリカン・アクスル・アンド・マニュファクチャリング(AAM)=5%◇フォード=4%――。

タイ工業連盟(FTI)によると、1~10月の自動車生産台数は前年同期比2.8%減の121万1,486台。このうち、EVの生産台数(乗用車とピックアップトラック)は6.3倍の5万831台で、全体に占める比率は4%にとどまる。

同期の自動車輸出台数は9.5%減の77万2,095台で、EVはわずか3,737台だった。

タイのEV生産について、アーピコのイエップ・シー・チュアン最高経営責任者(CEO)は事業説明会で、「中国ブランドのEV生産規模がまだ小さい」と指摘。その上で、「将来的には50万台規模に引き上げられ、半分以上が輸出向けになると考えている」と述べた。

高級EVの販社、「好感得ている」

一方、EVの販売に注力するディーラーは、販売台数の増加に伴って業績が上向いている。SET上場企業で、高級自動車ブランドのディーラー事業などを手がけるミレニアム・グループ・コーポレーション(アジア、MGC=アジア=)の25年1~9月期連結決算は、売上高が2.2%増の146億7,000万バーツ、純利益は7.2倍の3億6,000万バーツだった。

このうち、自動車販売部門の売上高は、3.1%増の104億2,300万バーツ。ドイツのBMWのほか、中国の新興EVメーカーの広州小鵬汽車科技(Xpeng)や吉利汽車(ジーリー)傘下の高級EVブランド「ZEEKR」の好調な販売が増収につながった。同部門の売上高に占めるXpengの比率は11%、ZEEKRは3%となった。

MGC(アジア)のサンハウットCEOは、11月下旬の事業説明会で、「Xpengのような高級EVは好感を得ている」と述べた。同社傘下のXモビリティー(タイランド)が運営するXpengのディーラーは現在15店で、来年3月末までに21店へ拡大する計画だという。

タイ運輸省陸運局によると、Xpengの1~11月の新規登録台数は前年同期比26倍の2,576台、ZEEKRは17倍の2,395台だった。

MGC(アジア)の傘下企業がディーラーを手がけるXpengのEV「G6」の外観と内装
=11月、ノンタブリ県(NNA撮影)
MGC(アジア)の傘下企業がディーラーを手がけるZEEKRのEV「7X」の外観と内装
=11月、ノンタブリ県(NNA撮影)

上場車関連、1~9月は減収増益最多

SETに上場する自動車関連企業14社の25年1~9月期決算は、増収が3社にとどまった一方、増益(黒字化含む)は11社だった。

部品製造大手のソンブーン・アドバンス・テクノロジーやPCSマシン・グループ・ホールディングは減収だったものの、生産効率の向上や売上原価管理の効率化を図ったことで増益となった。

>>本連載「タイビジネスインサイト」の記事一覧はこちら

NNA ASIA

12カ国・地域から1日300本のアジア発のビジネスニュースを発信。累計100万本以上の圧倒的な情報量で日系企業のビジネス拡大に貢献します。

NNAの購読について詳細はこちら

Recommend オススメ記事

Recent 新着記事

Ranking ランキング

TOP

SHARE