タイの洪水、自動車生産に波及 トヨタ・ホンダ・三菱が一時停止

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タイの洪水、自動車生産に波及 トヨタ・ホンダ・三菱が一時停止

公開日 2026.10.09

【NNA掲載:2026年10月2日】

タイ各地で続く洪水の影響が自動車産業に広がっている。トヨタ自動車やホンダ、三菱自動車は国内の完成車生産を一時停止した。部品メーカーの被災や物流の混乱、従業員の出勤難が生産に波及している。部品メーカーなどが入居する東部チョンブリ県のアマタシティー・チョンブリ工業団地では道路の冠水が深刻で、1日時点でも水位が高いエリアがある。被災した部品工場の復旧状況が今後の完成車生産を左右しそうだ。

アマタシティー・チョンブリ工業団地で冠水した道路を走る車両=1日、チョンブリ県(NNA撮影)

トヨタのタイ法人タイ国トヨタ自動車(TMT)の担当者は1日、NNAに対し、サプライヤーからの部品調達や輸送への影響で操業を停止した工場があったと認めた。工場への浸水はなかったという。

クルンテープ・トゥラキットの1日の報道によると、タイ工業連盟(FTI)自動車部会のスワット部会長は、TMTの東部チャチュンサオ県の2工場が9月30日に生産を停止したと明かした。周辺地域の道路の冠水でバスによる送迎ができず、従業員が出勤できなかったという。生産ラインの停止はその1日のみで、減産分は休日の振り替えや残業を増やすことで取り戻すとしている。

ホンダのアジア・大洋州地域事業を統括するアジアン・ホンダ・モーターの広報担当者は、タイ法人ホンダオートモービル(タイランド)の東部プラチンブリ県の四輪工場で9月30日から10月2日まで完成車の生産を一時見合わせていると明らかにした。工場への浸水や従業員の通勤環境に問題はないが、一部部品の納入が遅れているため。一方、タイ・ホンダが首都バンコク東部ラクラバンに置く二輪工場は、従業員の通勤路が冠水したため、9月28~29日は生産を一時停止。30日から通常稼働している。今後リカバリー生産を行うことで、国内販売や輸出への大きな影響はないとみている。

三菱自動車のタイ法人ミツビシ・モーターズ・タイランド(MMTh)もチョンブリ県の3工場について、9月29日夜から10月3日朝まで操業停止を決めている。自社工場への直接被害はないが、一部サプライヤーで工場浸水や周辺道路の冠水が発生し、部品調達に支障が出ている。タイで生産する全車種の生産が一時停止している。3日以降の操業はサプライヤーの復旧状況などをみて判断する。5日に予定していた新型「パジェロ」のラインオフ式典も中止した。

タイ日産自動車(NMT)の広報担当者は「一部の施設やサプライヤーで局地的に影響が生じた」とした。ただ、1日時点では復旧作業が進み、生産も再開しているという。

中国系の奇瑞汽車(チェリー)は東部ラヨーン県に生産工場を持つ。広報担当者によると、部品の納入に1~2日程度の遅れが生じているという。

部品工場に浸水被害

サプライヤー側の被害も明らかになってきた。クルンテープ・トゥラキットが1日、タイ工業団地公社(IEAT)のスメート総裁の話として報じたところによると、アマタシティー・チョンブリ工業団地では土手の決壊でフェーズ7~10に水が流れ込み、約34工場が影響を受けた。1日午前時点でフェーズ7~9では30~70センチメートルの浸水が残っているという。

NNAの取材に応じた日系自動車部品メーカーによると、同工業団地にある取引先の部品工場が浸水し、生産ラインが停止した。同工場内ではポンプによる排水が進んでいるものの、周辺道路は1日時点でも冠水し、車両が入れない状態が続いているという。設備の被災状況はこれから本格的に確認する段階で、機械の買い替えが必要になれば、復旧に最長3カ月程度かかる可能性もあるとみる。

同社の担当者は「自動車は部品が1つ欠けるだけでも完成しない。被災した部品工場の数自体は多くないとみられるが、サプライチェーン(供給網)を通じて完成車生産にまで影響が及ぶことは確かだ」と指摘した。

走行困難になった二輪車と、呼び止める警察車両=1日、サムットプラカン県(NNA撮影)

年産目標は維持見通し

一方、現時点では影響が出ていないメーカーもある。いすゞ自動車はバンコク東郊サムットプラカン県とチャチュンサオ県にある2工場とも通常稼働しており、これまで操業停止はないと回答した。中国系の比亜迪(BYD)、MG(名爵)、長城汽車(GWM)、重慶長安汽車も生産への影響はないと答えた。

FTI自動車部会のスラポン広報担当は、洪水が長期化または悪化すれば年間生産台数が目標を下回る可能性があるとする一方、現時点で生産目標を修正する可能性は低いとの見方を示した。各メーカーの生産設備には余力があり、洪水収束後に増産して減産分を取り戻せるためだ。

自動車業界関係者は、「完成車メーカーは、生産への影響は1週間とみている」とコメント。数十社で生産設備全体が水没した2011年のチャオプラヤ川流域の大洪水の時とは状況が異なり、今回は数社が20~30センチ浸水しただけだという。長期的な部品供給問題には発展しないとの見方だ。

前述の日系部品メーカーの担当者は「今回の洪水は2011年の大洪水とは全く性質が違う」と話す。11年は河川の氾濫によるもので、地域が限定されていた一方、今回の原因は排水能力を上回る豪雨によるものだとの見方を示す。「被災した工場はこのような状況になることを全く予測できていなかったのではないだろうか」と推測した。

バンコク東郊の冠水した道路では排水作業が行われていた=1日、サムットプラカン県(NNA撮影)

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