ラオスにおける住居登記について

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ラオスにおける住居登記について

公開日 2025.09.02

背景

ラオスでは、これまで土地の登記制度は存在していましたが、土地の上にある住居や建物単体については、登記制度が存在していませんでした。

しかし、2023年に発行された「コンドミニアムに関する首相令(No.352)」(以下、「コンドミニアム法」)により、初めて「コンドミニアムのユニットにかかる区分所有権」の概念が導入され、外国人や外国法人でもコンドミニアムの区分所有権を取得することが可能となりました。

今回ラオス政府は、2024年12月11日付で「住居に関する法令(No.71)(以下「住居法」)」を発行し、2025年3月1日より施行されました。

これにより、ラオス初となる住居登記制度がつくられ、国内の建物に関する所有関係が明確化されることとなります。

特に、ラオスでは外国人が土地を所有することはできないため、今後は土地使用権と建物所有権との関係を正確に契約で整理し、建物について必要な登記をすることが外国人投資家にとって一層重要となります。

住居の種類について

住居法において定義される「住居」には、以下の6種類の建物が含まれます。

なお、これらに加えて、省庁、事務所、銀行、ホテル、ゲストハウス、工場、倉庫、学校、病院、寺院、教会、商業施設、公共施設なども含まれます。

住居の種類(住居法第11条)

1. 一般住宅(戸建て、半戸建て)レンガ造り、半レンガ半木造、木造、高床式店舗兼住宅、地床式住宅、その他、別荘、商用/サービス用として建てられた住宅
2. 集合住宅2部屋以上が連結、4階建て以下の住宅や建物
3. 分譲住宅販売、賃貸、リースを目的として建設した住居で、インフラ(アクセス路、水道、電気、運動場、公共施設、セキュリティシステムなど)設備を住人が共同で使用するタイプの住居
4. 寮生徒、学生、公務員、社員が居住する建物(有料無料を問わない)
5. アパートメントインフラ設備が整った複数の部屋と階数のある建物。アパートの所有者のみが所有権を有しており、月または年単位で賃貸を目的として建設した建物
6. コンドミニアムインフラ設備が整った複数のユニットと高層階の建物。コンドミニアム開発事業者が土地の登記を行い、各ユニットは国籍問わず所有権を個人、法人、団体へ販売又は譲渡することが可能

住居の登記について

住居の登記は、公共事業運輸省が所管しており、棟単位・建物単位・ユニット単位での登記が可能です(住居法第23条)。

登記を行うことで、個人または法人による住居所有が正式に証明されるとともに、住居の管理、検査、使用状況に関する情報が公的に記録されます(住居法第23条)。

なお、コンドミニアムのユニットに関する区分所有権の登記については、コンドミニアムの権利証に関する規定やコンドミニアムの管理機能に関して規定した「コンドミニアム法」に基づき登記することが可能です。

県レベルの天然資源管理局(旧天然資源環境省1)が管轄であり、当局からユニット登記書及び権利証が発行されます(コンドミニアム法第20条)。但し、経済特区の中に建設したコンドミニアムは、経済特区委員会がユニット区分所有権の登記を行います(コンドミニアム法第19条)。

住居の登記に必要な書類は以下の通りです。

住居登記に必要な書類(住居法第24条)

1. 公共事業運輸省所定の申請書
2. ファミリーブック、IDカードまたは住所証明書のコピー、法人の場合は企業登録書の写し
3. 土地権原書または土地使用許可証の写し
4. 建設許可証の写し
5. 建築物の真正性証明書の写し
6. 所在地および住居の地図
7. 住居の所有者であることを証明する書類の写し

上記書類一式を提出後、関連省庁(農業環境省、治安維持省など)が書類審査および実地検分を行った後、すべての情報が真正であることが確認されると、5営業日以内に「住居登記証明証」が発行されます(住居法第27条)。

  1. 1 2025年3月に実施された省庁再編に伴い、従来の天然資源環境省と農林省が統合され、新省庁「農林環境省」が設立されました。 ↩︎

One Asia Lawyers

内野 里美 氏

One Asia Lawyers ラオス事務所に駐在。ラオス国内で15年以上の実務経験を有する。ラオス語を駆使し、現地弁護士と協働して法律調査や進出日系企業に対して各種サポートを行う。
satomi.uchino@oneasia.legal

One Asia Lawyers

藪本 雄登 氏

One Asia Lawyers Group創業者、前身JBL Mekongグループを2011年に設立、メコン地域及びインドを統括。タイやインドに10年間以上に亘る駐在・実務経験を有し、各国の現地弁護士と協働して法律調査や進出日系企業の各種法的サポートを行う。
yuto.yabumoto@oneasia.legal

One Asia Lawyers

日本と東南アジア・インドをつなぐワン・ストップでシームレスな法律のプラットフォーム

M&A / 統括会社設立・アジア子会社再編 / 紛争解決 / コンプライアンス対応・不正調査 インフラ輸出・投資 / エネルギー・資源関連 不動産 労働法 知的財産 etc

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E-mail:yuto.yabumoto@oneasia.legal

Website : https://oneasia.legal/

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