ラオスにおける登録資本金について

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ラオスにおける登録資本金について

公開日 2026.02.02

ラオスにおける会社の登録資本金は、現金出資および現物出資の両方が認められており、出資額の合計は企業登録書(Enterprise Registration Certificate:ERC)に記載されています。出資者は、払込期限までに資本金を全額払い込む義務があり、かつ資金がラオス国内の商業銀行に存在する必要があります。

商工業省は、特に「出資金がラオス国内にあること」を徹底させるために、2025年9月9日付で「企業の登録資本金の払込みに関する大臣合意(No. 2025)(以下「合意」)」を発出し、登録資本金の種類、払込期限、増資・減資、出資義務不履行時の措置および罰則規定等を定めました。

なお、既存の会社については、合意施行日から1年以内に、合意の規定に従った会社の状態に整備する必要があります(合意第21条)。

登録資本金の払込に関する法令とその解釈

登録資本金の払込みについて規定する主な法令は以下のとおりです。

会社法(No.33)(2022年12月29日施行)

  • 第101条において、登録資本金の払込み期限は「株主総会で合意した期日までに」と規定されている。
  • 第173条において、一人株主の場合「企業登録後全額を払込む」と規定されている。
  • 具体的な払込期限は明示されていない。

投資奨励法(No.62)(2024年6月28日施行)

  • 第53条において、外国人投資家が一般事業(コンセッション事業以外)に投資する場合、「投資関連許可証取得後90日以内に登録資本金総額の30%を送金し、残額は事業許可又は投資許可取得後1年以内に払込む」と規定されている。

企業の登録資本金の払込に関する大臣合意(No.2025)(2025年9月9日施行)

  • 登録資本金の種類、払込期限、増資・減資、出資義務不履行時の措置および罰則を定める。
  • 第6条において、「登録資本金は企業登録後1年以内に全額を払込むこと」と規定し、別途規定がある場合を除外している。

しかしながら、上記、会社法、投資奨励法、合意間で矛盾が生じることになります。この点に関して、商工業省法務課へのヒアリングより、実務的には、以下のように解釈されます。

  • 原則として、企業登録後 1年以内 に株主総会で合意した期日までに払込むこと。
  • 投資奨励法第53条の「30%先払、残額1年以内」規定は、一般事業の外国投資家に適用されるが、第53条自体が必ずしも広く認識・徹底されていない実情を鑑み、最終的には合意第6条の「1年以内払込」が原則となる。

また、商工業省企業登録局のウェブサイト上では、今回の合意の発行背景について次のように説明されています。「実務上、ERCには登録資本金の額が明示されているものの、実際には、その額のとおりに払込が完了していない会社も多く存在する。今回の合意は、企業に対して 1年以内に全額を払込むことを明確に通知するために発出されたものである。」

以上のとおり投資奨励法と商工業での実務上の取扱いに相違がありますが、外国投資家においては、投資関連許可証取得後90日以内に登録資本金総額の30%を送金し、残額を企業登録後1年以内に払込む」と投資奨励法に規定されているため、特段の理由がない限りこの規定に沿って、資本金を払込むことが望ましいといえます。

出資金に関する新たな規定について

(1)現金出資の場合

外国籍株主で、ラオス国外に居住する者は、資本金を海外からラオス国内の法人口座に送金する必要があります。法人口座への着金が確認された後、ラオス中央銀行(The Bank of Lao PDR:BOL)より資本金輸入証明書(Capital Importation Certificate:CIC)を取得することが義務付けられています(合意第7条)。

他方、外国籍株主であってもラオス国内に居住し、ラオス国内で収入を得る個人、または利益を有する法人で、本国へ資金を送還していない場合には、通貨の種類を問わず、ラオス国内の商業銀行から法人口座へ出資金を送金することが可能です。この場合、過去3年間の残高証明書をBOLに提出し、国内資金をもって登録資本金に充当した旨の証明書を発行してもらう必要があります(合意第7条)。

(2)現物出資の場合

現物出資については、金銭換算額を提示する必要があり、その額は登録資本金総額の50%を超えることはできません。出資者がラオス国籍、またはラオスに永住する外国人である場合には、当該現物の所有権を法人名義に変更する必要があります。また、出資者が外国籍である場合には、現金出資と同様に、BOLよりCICを取得する必要があります(合意第8条)。

登録資本金未払込の場合の罰則規程

各株主が全額を出資しなかった場合の一般的な弊害については、会社法に別途規定があります。本合意に基づく具体的な罰則規定は以下のとおりです。

(1) 課徴金

各株主が持分に応じた出資を履行しない場合、会社には500,000キープの課徴金が科されるとともに、当局による指導および書面による調書記録が作成されます。かかる措置を受けた会社は、調書記録の日から起算して60日以内に、未払出資分の払込を完了するか、企業登録情報の更新申請(減資、株主変更等)を行うか、または会社を清算する必要があります(合意第16条)。

上記措置に従わない場合、会社にはさらに5,000,000キープの課徴金が科され、2回目の調書記録の日から起算して60日以内に、同様に未払出資分の払込、企業登録情報の更新申請、または会社清算を行わなければなりません。

(2)企業登録書の使用一時停止

二度にわたる改善措置に応じない会社に対しては、商工業省企業登録管理局により、ERCの使用が一時的に停止されます(合意第17条)。

One Asia Lawyers

内野 里美 氏

One Asia Lawyers ラオス事務所に駐在。ラオス国内で15年以上の実務経験を有する。ラオス語を駆使し、現地弁護士と協働して法律調査や進出日系企業に対して各種サポートを行う。
satomi.uchino@oneasia.legal

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