自動車部品フォーチュン・パーツがパートナー募集 〜廃棄物などからの低炭素製品、革新的ペレット開発など

自動車部品フォーチュン・パーツがパートナー募集 〜廃棄物などからの低炭素製品、革新的ペレット開発など

公開日 2024.10.28

TJRIでは7月24日、タイ企業のニーズを日本企業向けに発信するオンライン説明会「Open Innovation Talk」の第28回として、1991年創業で世界各国の顧客向けに低炭素製品などを開発・販売している自動車部品メーカーであるフォーチュン・パーツ・インダストリー(FPI)の執行委員会および持続可能性開発担当マネジャー、サルダー・シリパッタラプリーチャー博士に登壇いただき、環境に配慮した製造工程や今後の方向性、日本企業との協業機会について話を聞いた。

「サーキュラー・リビング」に基づいて設計

Q. FPIの事業概要は

サルダー氏:FPIは金型設計・製造から塗装、そしてプラスチック製品を中心とする総合自動車部品メーカーだ。当社の製品数は80万点以上で、世界各国の顧客ニーズに応える製品を開発し、約145カ国に輸出している。例えば、シベリアに輸出される製品は零下40℃までの寒さに耐えることができる。欧州に輸出される製品は、欧州で2050年までに温室効果ガス排出の実質ゼロ達成を目指す政策である「欧州グリーンディール」を順守した低炭素と持続可能性を重視している。

Q. 製造はどのような方針と工程で行っているか

サルダー氏:製造工程は次の5つの段階がある。

(1)新製品を開発するためのアイデアを集め、「サーキュラー・リビング(資源を効率的に活用し、廃棄物を最小限に抑える生活)」のコンセプトに基づいた製品を開発する

(2)アイデアを組織、製造工程、製品に反映させる

(3)どのアイデアを開発、製品化するかを選ぶ。再利用可能またはリサイクル可能な設計に基づいて製品を開発し、最小限の素材と化学物質を使用する

(4)アイデアからプロトタイプを制作する

(5)実際に製造し、販売する

われわれの製造工程は、化石燃料からバイオマス燃料への転換や、バージンのプラスチックペレットから再生ペレットへの転換など、サーキュラー・リビング戦略に基づいて設計されている。さらに、射出成形、めっき、塗装の工程についてはタイ温室効果ガス管理機構(TGO)の「カーボンフットプリントマーク」を取得する予定だ。

低炭素製品の普及を目指し、開発に注力

Q. FPIの強みと今後の方向性は

サルダー氏:当社の強みは次の3分野だ。

(1)Circular Design:プラスチックペレットや化学物質の原材料の受け入れから製造、輸送、使用、使用後の廃棄に至るまで、サーキュラー・デザインに基づき設計する。さらに、製品寿命の延長や再生プラスチックペレットの活用、多くの自動車モデルへの使用可能性、軽量化、化学物質の使用量と天然資源の消費量の最小化、廃棄物の削減にも注力

(2)Circular Supplies:再生可能エネルギーを35%以上使用することを目指す。また、再生プラスチックペレットの使用比率は現在の82%から2030年までに93%以上を目指す

(3)Resource Recovery:廃棄物の埋め立てゼロを目指す。FPIを100%ゼロ・ウェイストに導くために、再使用(リサイクル)システムを新製品開発のガイドラインとして設計

また、当社は欧州連合(EU)のRoHS指令(特定有害物質の使用を制限する規制)、REACH規則(化学物質の登録、評価、認可、制限に関する規則)や循環型経済の原則を順守する。ライフサイクル全体で廃棄物と温室効果ガス(GHG)の排出を抑制する製品を認証するタイの「サーキュラーマーク」、再生プラスチックペレットを100%使用した環境に配慮した製品を認証する「サーキュラーアップサイクル」の基準に適合した製品を開発している。

サプライチェーンの中間に位置する当社は、需要側と供給側がともに低炭素で持続可能な社会を実現できるように、低炭素製品に関する知識や理解を顧客やパートナーに広めていくつもりだ。例えば、金型による製造と比べると、3Dプリンターによるプロトタイプの制作は、GHGの排出を63%削減できることを顧客に伝える。

Q. 現在の製造工程をどのように改善していくか

サルダー氏:製造工程の改善は、次の通りに行われている。

(1)射出成形:再生プラスチックペレットを使用し、製造工程内で再使用することにも重点を置く

(2)めっき:廃水処理量を削減するため、化学物質の使用可能期限を3カ月から4カ月に延長する。また、日本企業の協力によりめっき工程でパラジウムの回収にも取り組んでいる

(3)塗装:使用済みシンナーを再使用するなどリサイクルを強化している

廃棄物を積極活用し低炭素製品を開発 

Q. 日本企業との協業はあるか

サルダー氏:当社のソンポン・タナーダムロンサック最高経営責任者(CEO)がタイ自動車部品製造業協会(TAPMA)の会長であるため、会員である日本企業と一緒にサステナビリティの知識の普及に取り組んでいる。ただ、製造分野で日本企業との協業はまだない。

Q. どのような分野で協業パートナーを求めているか

サルダー氏:日本企業との協業の可能性がある分野は次の通りだ。

(1)海洋廃棄物やパイナップル繊維などの農業廃棄物の材料を混合した革新的なプラスチックペレットの開発

(2)ニッケルやクロム、パラジウム、フライアッシュ(石炭を燃焼する際に生じる灰の一種)などの廃棄物や副産物を活用し、低炭素製品を開発するパートナー

・熱を反射する屋根用塗料を製造するためにクロムの活用を研究している。塗料メーカーや建設業界の需要側と、顔料の原材料である銅などの供給者との協業

(3)バイオマス燃料などを使用する吸収式冷却機(Absorption Chiller)技術をもつパートナー
 

>>FPIの協業パートナー募集詳細はこちら

THAIBIZ編集部

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