

公開日 2025.12.09 Sponsored
目次
DITは、「空気で答えを出す会社」として、微小粒子状物質「PM2.5」をはじめとするタイの大気汚染問題に対し、室内空気質(Indoor Air Quality:IAQ)改善に取り組んでいる。同社は、タイ室内空気質協会(IAQ Association Thailand)の会長を務めるパパット・ポンキアットクン助教授と連携し、政府機関も巻き込みながら、新しい建物内空気基準「IAQ Star」の制定を推進。2026年1月からの運用開始を予定し、ASEAN諸国への横展開も見据えている。
ここでは、DIT R&D部門の日夏和久氏、イッティ・プーヴァラウォン氏、およびパパット助教授の対談インタビューを通じて、安心して快適に過ごせるためのIAQ改善をどのように実現していくのか、その未来像を描き出す。
Q. DITとパパット助教授の関わりについて教えてください


パパット・ポンキアットクン 助教授
IAQ Association Thailand
President
30年以上にわたりIAQ研究に従事し、PM2.5問題の解決にも注力。政府機関への知識共有やデータ提供に加え、病院・学校へのクリーンルーム寄贈など幅広い社会貢献活動も展開している。キングモンクット工科大学トンブリ校(KMUTT)環境工学科主任。
パパット助教授:私はキングモンクット工科大学トンブリ校(KMUTT)環境工学科の主任であるとともに、タイ室内空気質協会の会長も務めています。同協会は、IAQの改善を目指す有志グループから始まった団体であり、設立当初からDITには重要なパートナーとして研究事業や実証実験にご協力いただいてきました。そこで得られた知見やデータは政府機関への情報提供にも活用しており、協会の活動を推進するうえで大きな力となっています。


日夏 和久 氏
Daikin Industries(Thailand)Ltd.
Research & Development Division
Director
2005年のR&Dセンター設立時から2012年までエンジニアとして勤務。その後、ダイキン工業本社勤務を経て2021年に再びタイへ赴任。現在はマーケティングや商品企画を担当するとともに、IAQ StarなどのASEANのIAQ改善の取り組みにも従事。
日夏氏:ダイキンは「空気で答えを出す会社」として、単に温度を管理するだけでなく、湿度や気流、空気清浄を含めた総合的な空気質の向上に取り組んでいます。室内の空気質は、屋外と密接に関連しています。焼き畑に起因するPM2.5などの大気汚染問題については、IAQへの影響も考え、引き続き改善に取り組むことが重要です。
こうした問題意識を持つ中で、タイにおけるIAQの第一人者であるパパット助教授と出会い、2015年頃から、より安心して快適に過ごせる室内の空気環境づくりに向けた協力関係を築き始めました。


イッティ・プーヴァラウォン 氏
Daikin Industries(Thailand)Ltd.
Research & Development Division
Manager
2005年、R&Dセンターにエンジニアとして入社。現在はマネジャーとして勤務し、空気質改善を主に、商品企画やアドボカシー活動に従事。IAQ Starの取り組みにも積極的に参画。
イッティ氏:私はこれまで、深刻化する大気汚染問題を目の当たりにして、空気質の改善には冷房機能だけでは不十分だと痛感してきました。機械工学の枠を超え、環境・健康・意識改革といった多様な分野の知見を融合し、人々の生活の質に真に寄与する製品やソリューションを開発することが不可欠だと感じています。こうした観点から、パパット助教授との連携は、当社にとって非常に重要な取り組みだと考えています。
Q. 「IAQ Star」について、詳しく教えていただけますか
パパット助教授:現在タイには空気質に関する複数のガイドラインがありますが、どれも十分な基準とは言えない状況です。IAQ Starは、こうした課題を踏まえて新たに策定した基準で、その出発点は「タイ人の空気質への理解と関心が不足している」という問題意識にありました。一般的に、人々は涼しさや快適性のみを求める傾向があり、IAQ向上のための知識や意識については、改善の余地が大きいと考えています。
IAQ Starは、温度だけでなく有害な粉じんや化学物質が基準内に収まっているか、良質で清浄な空気質を維持できるかを5段階で評価する指標です。当協会としては、オフィスや学校、フィットネスジムなどの公共施設への導入を推進し、利用者が安心して快適に過ごせる空気環境の整備を目指しています。人々に「清浄な空気の価値」を理解してもらい、それを求める意識を広めていくことが目的です
Q. DITの役割は
イッティ氏:このような取り組みには政府機関の協力が不可欠ですが、彼らは屋外の空気質データは保有しているものの、室内のデータは持っておらず、政府がIAQの課題を認識できない問題がありました。そこで当社が室内データを提供し、パパット助教授が分析して具体的なIAQ課題を提示することで政府機関の理解促進を図り、私たちの活動に巻き込むことが可能になりました。
私たち民間企業だけでは政府を動かすことは困難ですが、パパット助教授が架け橋となってくださったお陰で、この取り組みをスピーディーに推進できたと思います。
日夏氏:理想的な基準を設定することは容易ですが、全項目において高い数値を満たすには相当なエネルギーが必要です。そのため、ダイキンの技術を用いて、どこまで数値を改善できるかを実証実験で検証し、その結果をもとにパパット助教授が基準を決定しました。
例えば、「エアコンは26度以下の温度に設定」という基準があった場合でも、ダイキンの空調システムで「27度でも快適に過ごせる」ことを示せれば、ガイドラインもそれに応じて変更しています。
このように、IAQ Starで優秀な評価を取得するには、清浄な空気環境の確保とエネルギー効率の最適化を両立させる必要があり、そのためにはダイキンの提案する換気を含めた省エネ空調システムが重要です。
特にタイの建物で顕著にみられる「冷やしすぎ」の問題には、人々の意識改革も重要であり、タイ社会への訴求といった観点でもダイキンの役割は大きいと考えています。こうしたダイキンの関わりは、カーボンニュートラル社会への貢献にもつながります。
Q. IAQ Star推進における課題は
パパット助教授:これまで7年間にわたりIAQガイドラインを推進し、多くの機関から支援を受けてきました。しかし、監視体制の構築や測定機器の設置など、依然として課題が残っており、一部の機関とは合意に至っていません。来年1月の運営開始はゴールではなく、むしろスタートラインだと考えています。
日夏氏:学校や幼稚園などの公共施設には、空気質改善のための予算がなく、政府においても、その重要性は理解されているものの、依然として予算制約が大きな課題となっています。
例えば「大気汚染の改善が健康の向上につながり、将来的には医療費の削減に寄与する」といった観点から保健省と議論を重ねるなど、IAQ改善に充てる予算の確保方法を現在も調整している段階です。
Q. 今後の展望についてお聞かせください
日夏氏:ダイキンは、IAQ改善の取り組みを他のASEAN諸国でも推進しています。まずはタイをモデルケースとして位置づけ、成功事例を他国へ広げる方針です。この分野を担うR&D部門をタイに構えていることから、同国での実証は極めて重要であり、将来的にはASEAN全体への拡大を視野に入れています。
パパット助教授:当面の目標は、100〜200棟がIAQ Starを取得することです。さらに、3年以上にわたり高水準な空気質を維持した建物には「IAQ Star 5つ星」を付与する予定です。こうした最高ランクの建物が増え、世界に広がっていくことを期待しています。
人々が安心して快適に過ごせる空気環境を実現するため、今後もDITの皆さまと足並をそろえ、協力していきたいと考えています。


Daikin Industries(Thailand) Ltd.
E-mail:info@dit.daikin.co.jp
Website:www.daikinthai.com/en


THAIBIZ編集部





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