PwC タイ税務スタディ 利益送金税の取扱い

PwC タイ税務スタディ 利益送金税の取扱い

公開日 2017.05.31


松下 駿太郎
Manager
2009年にあらた監査法人に入所、日本において製造業を中心に約5年間監査業務に従事。
2015年9月にPwCタイに赴任。タイ国日本企業の会計監査、内部統制監査などの監査業務のサポートだけでなく、会社設立やビジネスライセンス取得、事業再編などを税務および法務面でサポートしている。日本国公認会計士。
+66(0)2 344 1466(直通)、+66(0)98 282 1372(携帯)
matsushita.shuntaro@th.pwc.com

<質問>

タイ支店が得意先と販売取引を行っていますが、商品対価はタイの得意先から日本本社に直接支払われます。
得意先からの支払いについて、タイ支店からの利益送金とみなされますか?

タイで事業を営む外国法人の支店は、タイにおける事業から生じた課税所得に対して、歳入法典第66条によりタイの法人税が課されます。さらに、税引後利益を海外本社に移転する場合には、歳入法典第70条bisにより10%の利益送金税が課されます。すなわち、支店が税引後利益もしくは利益とみなされる額から積み立てた金額を海外に送金/処分する場合、その金額に対して10%の所得税を課すことが定められています。この場合には、タイ支店は送金等を行った月の末日から7日以内に「Phor Ngor Dor 54」により申告・納税を行う義務があります。

利益送金税の対象範囲は広く、実際に利益送金を行う場合だけではなく、間接的な利益送金行為も適用対象とされます。そのため、支店の内部留保額を本社勘定に振替記帳を行った場合でも、本店への利益送金と解釈され、その時点で課税されます。
さらに、歳入局は「利益とみなされる額」について拡大解釈する傾向にあり、支店に利益が生じている状況で本店に移転されるいかなる金額(例:本社借入金の元本返済、本社費用の支店への不当な付替)も含むとしています。タイ支店が利益相当額を自ら送金しなくとも、他者が代わりに本店に送金した場合も課税対象とされる可能性があります。

本問の場合、タイ支店が得意先に商品を販売し、その代金支払が得意先から本社に直接なされています。従って、該当年度において支店に課税所得がある場合、上記の解釈により支店の課税所得の範囲内の金額は、支店から本店への利益送金とみなされ、利益送金税の対象となります(最高裁判例仏暦2541年1445号)。

このように支店の得意先から本店へ直接対価を支払う場合、その利益送金税の申告納付について実務的な問題が生じます。法令上、利益送金税は送金月の末日から7日以内に申告納税しなくてはなりませんが、支店は事業年度末を迎えるまで、最終的に課税所得が生じるかどうかが分かりません。すなわち、得意先から本店への送金時点では、支店は所定の期限内に利益送金税の申告納税ができません。そこで歳入局はこのような場合には期限を緩和し、支店は事業年度末日から7日以内に申告納税すればよいとしています(タックスルーリング Kor Khor 0802/4997号(1993年3月1日))。

さらに歳入局は、年間課税所得の計算は通常時間を要するものであるため、利益送金税の申告納税を、法人税申告期限(事業年度末日以降150日)と実際の申告日のうち早い方から7日以内まで、利益送金税の納税期限を延期することを容認している模様です。この点についての公式見解は公表されていませんので、事前に歳入局の承認を受けることをお勧めします。
類似の事例として、本質問と同じ状況で、支店が最終的に損失を計上する(課税所得が生じない)例が考えられます。この場合には、得意先が日本本社に送金した商品代金は、支店からの利益送金とはみなされず、支店が利益送金税を申告納税する義務はありません。

次ページ:駐在員事務所に係る税務

THAIBIZ編集部

Recommend オススメ記事

Recent 新着記事

Ranking ランキング

TOP

SHARE