カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2020.05.10
グラフィックデザイナーや教員など、ファッションや飲食業界とは無縁であった若者5名によって約40年前にバンコクで創業されたGreyhound(グレイハウンド)。ファッション産業を生活スタイル産業へと昇華させ、自らを「スタイルプレゼンター」と定義する同社の取り組みについて、創業経営者であるバヌ氏に聞いた(聞き手:藤岡資正)。
創業者はそれぞれが異なる分野に携わってたが、皆に共通していたのが、「ファッションが好きで、買い物や食事など生活に関わるあらゆるものをオシャレにしたい」という想いであった。
バヌ氏は振り返る。「当たり前ですが、欧米と比べても、40年前のバンコクはオシャレとは縁遠い街でした。いくつかの伝統的ブランドは百貨店で買うことができましたが、あまり興味が惹かれるものやお洒落でワクワクするショップがなかったので、自分たちの趣味の延長線上で、グレイハウンドを立ち上げました」。
バヌ氏は定番といわれるベーシックなモノに少し捻りを加えることが好きだ。デザインの信念を聞くと、「ベーシックかつシンプルであること。そこに少しの創造性が加わると、作品を興味深くし、面白くもする」。グレイハウンドが展開するレストランも基本的なタイ料理やデザートにアクセントやデザイン性を加えることで多くの顧客を魅了している。
グレイハウンドの創造性の源泉は「多様性」にあるという。現在のスタッフも、ファッションデザインよりも、グラフィックデザイン、製品デザイン、インテリアデザイン、美術家などが多い。「日常生活を楽しく、芸術的に」という価値を追求しながら、多様な美意識を有したデザイナーが共に創造性を発揮している。
基本的にデザインはチームで行うが、「かなり古いブランドなので、若い人に積極的に参加してもらい、新しいアイデアを持ち込んでほしい。グレイハウンドとは何か、というアイデンティティを軸に、若者の流行や感性を組み合わせながら、新たなデザインを創造することに挑戦しています」と、バヌ氏。
「伝統を守りながら、トレンディーであること。それがなければ、時代遅れになるか、もしくはグレイハウンドらしさをなくしてしまいます。このバランス感覚がとても重要です。だから新しい世代は私たちにとって、とても重要なのです」。
欧米の広告代理店の経営者としても華々しい実績を残すバヌ氏。近年は、海外へも事業展開をし、家具大手のイケアともコラボレーションを開始している。40年の歴史を継承しつつ、流行を取り入れるという、「不易流行」の実践を垣間見ることができた。
略歴
Bhanu Inkawat(グレイハウンド・ファウンダー)チュラロンコン大学付属学校を経て、ロンドンのハロー工芸大学にてグラフィックデザインを学ぶ。欧米大手広告代理店に勤めながら、友人らと1980年にグレイハウンドを立ち上げ、現在タイ国内に16ヵ所のアパレル店舗、ロンドン、シンガポール、中国などに18ヵ所のカフェを展開。タイを代表するクリエーターとして現在に至る。
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