カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2023.03.10
タイは、製造業や自動車産業をはじめとした日系企業が数多く進出し、駐在員だけでなく現地採用で働く人も多い国です。アメリカ・中国・オーストラリアに次ぐ在留邦人数のタイでは、約8万人の日本人が暮らしています。(海外在留邦人数統計調査 令和4年10月1日現在 厚生労働省より引用)
日本人にとって同じアジア圏のタイは、基本的に住みやすいといわれていますが、生活する上で困ることはあるのでしょうか?
今回は、気候・言葉・生活面などから、タイ駐在で困りがちなことや解決策について紹介します。
目次
タイは年間の平均気温が約29度で、日本人にとっては真夏のような気候です。
ただ、一年中夏といっても、正確には暑季(3〜5月頃)、雨季(6〜10月頃)、乾季(11~2月頃)の3つの季節があります。
年間を通して日本より雨が多く高温多湿の気候なため、ジメジメと蒸し暑く、過ごしにくいと感じることもあるでしょう。 また、特に雨季には、日本のゲリラ豪雨よりも激しいスコールによって道路が冠水することも多く、交通渋滞も深刻化するため、移動が困難になるケースも少なくありません。
雨季に徒歩で移動する際には、傘やレインコートに加え、携帯長靴(コンパクトに折りたためる長靴)を常備しておくと安心です。ちなみに、不衛生な水により冠水した道路をサンダルなどで歩くことは、怪我や破傷風のリスクがあるためお勧めできません。
ビジネスシーンや有名レストラン、ホテルなどでは英語が通じても、地域や場所によってはタイ語が話せないと困る場面にも多く遭遇するでしょう。また、社用車のドライバーにも英語が通じない、というケースは珍しくありません。
そのため、日常生活で使う最低限のタイ語は、赴任前もしくは赴任直後にある程度勉強しておくことをお勧めします。例えば、挨拶、食事の注文方法、時間、数字などは覚えておくと便利です。
家族でタイに駐在する場合は、パートナーや子どもが困らないように、家族でタイ語を勉強したり、日本人の多いエリアに住むなどの工夫が必要かもしれません。
また、日本とは異なる宗教・文化によるマナーの違いもあるため、言葉だけでなくタイの文化について学んでおくことも大切です。
雨季に限らず、バンコクでは慢性的な交通渋滞が社会問題と化しています。特に夕方や週末の渋滞は深刻で、タクシーなどもなかなかつかまらない場合が多いです。社用車で移動することが多い駐在員も、出退勤や外勤の移動時には、余裕を持ったスケジュールで動くとよいでしょう。
忙しい駐在員は、渋滞に巻き込まれて長時間車内で過ごすことになる場合に備え、仕事用の資料の読み込みや勉強など「渋滞中はこれをする」と決めておくと、イライラせずに済むかもしれません。
タイは交通ルールが整っておらず、運転技術を身につけないまま運転するタイ人も多くいます。危険運転や無免許運転による交通事故が日常的に起きているため、駐在中はなるべく自分で運転するのは控えましょう。
社用車を使えない場合は、なるべくバスや電車などの公共交通機関を使って移動するのが安全でしょう。公共交通機関と比べると安全性は低くなりますが、タクシー・バイクタクシー・トゥクトゥクなども多く走っています。
急な雷雨や災害時以外でも、突然の停電が稀に発生します。
照明だけでなく、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、エレベーター、インターネットなど、あらゆるものがストップしてしまうので、常に停電に備えておくことをお勧めします。
タイのインターネット環境は、日本ほどの高速通信は難しいものの大分改善されてきています。
しかし、地域や居住マンションなどによっても通信事情が変わるため、快適なネット環境が得られないことや、日本のサイトにつながりにくいなどのストレスを感じることもあります。海外から日本のサイトにアクセスする際には、日本サーバーのあるVPNなどを利用するのが便利です。
また、停電していなくても、仕事中に職場全体のインターネットアクセスが切れてしまうハプニングも珍しくありません。スマートフォンのテザリング機能を利用するなど、なるべく仕事に支障をきたさないための備えをしておきましょう。
タイには公立病院と私立病院がありますが、私立病院は医療レベルが高く通訳の人がいるため、医療費が高額になります。
公立病院のほうが安く治療が受けられ医療レベルも悪くありませんが、タイ語しか通じないことが多いデメリットがあります。会社からの福利厚生として海外医療保険をかけている駐在員は、費用の心配が不要なので、私立病院を受診する人が圧倒的多数です。
バンコクは比較的治安が良いものの、タイでは、スリ・置き引き・ひったくり・ぼったくりといったトラブルが日常的に発生しています。
最近では、外国人に「お金を見せてほしい」と声を掛けられ、財布を出した瞬間に取られたり、ベビーカーに乗せた子どもの世話をしている隙にスリに遭ったり、日中の街なかで被害に遭うケースも多く、駐在員だけでなく家族も注意して生活する必要があります。
タイの水道水は衛生上、飲料水としての利用はお勧めできません。日本は軟水でタイは硬水と、水質自体も異なります。
水が汚れているのは、水道管に錆びやすい材料が使われていることが原因です。水道水で野菜を洗うこと、炊飯やスープ用に水道水を使用することも避けたほうがよいでしょう。
浄水器やウォーターサーバーの用意があると安心して生活できます。
タイでの駐在生活で、万が一の際にも困らないための対策・解決策を以下にまとめました。
タイは温暖な気候で親日家も多く、駐在員にとって暮らしやすい国です。日本とは異なる気候や言葉、生活の違いなどから困ることもありますが、解決策を知っておくこと、事前に準備をしておくことで、だいたいの困りごとは回避できるでしょう。
住み慣れない土地での駐在生活は、想像以上にエネルギーが要ることです。生活面での困りごとやトラブルはなるべく軽減し、安心して仕事に集中できる環境をまずは整えましょう。
THAIBIZ編集部
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