

カテゴリー: 組織・人事
公開日 2024.01.09
前回のコラムではタイ人が就職したい企業の特徴について解説しましたが、今回はタイ人が会社を辞める理由について考察していきます。
求職サイトJobsDBが実施した調査結果によると、「従業員が不幸せに感じる理由(会社を辞める理由)」は、
1. 経営陣に能力がないと感じる時
2. キャリアパスが不明確、成長の見込みがない
3. 研修など自己成長の機会を与えてもらえない
4. 直属の上司に能力がないと感じる時
5. 職場環境が良くないと感じる時(肌に合わない)――
の5つが挙げられました。
能力があり上昇志向の高いタイ人の場合、日系企業には彼らの望むポストや昇進のチャンスが少ない、あるいは年功序列の人事評価制度により昇進に時間がかかり過ぎるため、たとえ日本語のスキルが生かせなくても、もっとキャリアパスがあり、自己成長ができるタイ企業やその他の外資系企業へ転職したというケースも少なくありません。
タイ人はすぐに辞めてしまうから研修の機会を与えても無駄と考えている人もいるかもしれません。しかし、優秀な人材が多い会社ほど各ステージに応じた研修を用意し、成長の機会を与えています。実際に私の会社でも研修の機会を増やしたところ、面白いことにラクに働きたい人ほど居心地が悪くなり辞めていき、結果として残った社員のパフォーマンスが向上しました。
また、在タイ日系企業が抱える問題点の一つとして「従業員のジョブホッピング」がよく挙げられますが、タイや欧米企業では、ジョブホッピング自体を問題として捉えておらず、むしろジョブホッピングに耐えられる組織・人事体制を整えることにフォーカスしています。皆さんの会社はいかがでしょうか。問題をタイ人や環境のせいにしていないでしょうか。何か課題に直面した際に「なぜタイ人はこうなのか」「やっぱりタイ人だから」という思考になった場合、少し立ち止まって「どうしたらタイ人にやってもらえるだろうか」など自分から変わるように努力することも重要です。


Mediator Co., Ltd.
Chief Executive Officer
ガンタトーン・ワンナワス
在日経験通算10年。2004年埼玉大学工学部卒業後、在京タイ王国大使館工業部へ入館。タイ国の王室関係者や省庁関係者のアテンドや通訳を行い、タイ帰国後の2009年にメディエーターを設立。日本政府機関や日系企業のプロジェクトをコーディネート。日本人駐在員やタイ人従業員に向けて異文化をテーマとした講演・セミナーを実施(講演実績、延べ12,000人以上)。





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