ArayZ No.77 2018年5月発行知的財産 最新情報(後編)
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カテゴリー: 会計・法務
公開日 2018.05.21
目次
現在、メコン地域において「国際幹線道路」の開発計画が進んでおり、「東西経済回廊」や「南部経済回廊」、「南北経済回廊」を通じた物流の増加が期待されている。一方で、陸路を通じた模倣品・海賊版の流入・流出も増えるのではと懸念されている。
「陸路を通じた国境では模倣品・海賊版を差し止めることが難しい」とされる理由はいくつかあるものの、税関からの聞き取り調査によれば、①模倣品・海賊版はX線装置では判定不可能であり、実際に開梱してみないと分からない。開梱した場合であっても真贋判定の情報が地方の現場職員まで行き届いていない、②麻薬、武器などを差し止めるプライオリティのほうが高い、③現場職員はきちんと貨物検査を実施しているものの、正規の国境付近に密輸ポイントがあり、模倣品・海賊版は同密輸ポイントを通じて流入・流出してしまう、とのことである。
そこで、メコン地域を結ぶ「東西経済回廊」を通じた物流において重要な拠点の一つとなる「タイ国境都市メーソート」、「ミャンマー国境都市ミャワディ」の現場視察を実行し、実際の貨物検査の状況調査に加えて、国境付近にあるとされる密輸ポイントを探ってみることとした。 事前調査により、タイと国境を接するミャンマーのリバーサイドでは、タイでは非合法とされるカジノが複数開設されており、ギャンブルを求める人々がタイ側から頻繁に行き来していることが分かっていた。同カジノ付近に密輸ポイントが存在するのではないかと当たりをつけて、今回は、グーグルマップの詳細表示によって発見した「ミャワディコンプレックス(MyawaddyComplex)」付近の視察を敢行することとした。
ドンムアン空港からメーソート空港(Mae Sot Airport)に空路で移動した後、予め手配したミャンマーナンバーのミニバンに乗り込み、「タイ・ミャンマー友好橋(Thai-MyanmarFriendshipBridge)」から越境してミャワディコンプレックスへと向かった。
陸路でタイからミャンマーへ入国するには、ミャンマービザを予め取得しておくか、イミグレーションでパスポートを預けて代わりにテンポラリーボーダーパスを受け取る方法がある。今回は、500タイバーツを支払い、テンポラリーボーダーパスを受け取ることで国境を通過することとした。
友好橋を通過中、タイ(メーソート)からミャンマー(ミャワディ)へ移動する大型トラックが並んでおり渋滞していた。タイ・ミャンマー国境の事情に精通しているミャンマー人ドライバーによると、タイで生産された砂糖をミャンマーへ運ぶトラックが比較的多いとのこと。タイは世界有数の砂糖生産国だ。一般車は車道中央線に沿って走行することができ、スムーズに国境を通過することに成功した。
タイ・ミャンマー側ともに、税関職員が輸出入申告書を確認している様子は見られたものの、実際に貨物を開梱している様子は窺えなかった。後日の調査によれば、タイ・ミャンマーともに国境から道なりに暫く進んだところで「税関によるチェックポイント」がいくつか設定されており、正規の国境を通過せず、密輸された貨物も含めて同チェックポイントでの監視を強化していることが分かった。
△タイ国境(メーソート)の様子
△受け取ったテンポラリーボーダーパス
△友好橋を渡っている様子を車中から撮影
ミャンマーの国境都市ミャワディに辿り着くと街並みは一変し、メーソートよりも多くの店が並んでおり賑わいを見せていた。タイからミャンマーへの物流が多いためであろう、ミャンマー側の国境都市のほうが栄えている。中国・ベトナム国境でも同様に、ベトナム側の国境都市で街が賑わっていたことを思い出した。携帯電話ショップや両替所が所狭しと並んでいるほか、大手コンビニエンスストアを模倣したとみられる店も見られた。
友好橋からミャワディの街並みに沿って続く大通りから横道にそれると、一変して舗装されていない道路となる。凹凸の激しい道で車両が20~30m進むのも困難な状態が続く。なんとかミャワディコンプレックスの入口まで辿り着くと、また一変して舗装されたモール街が現れた。
△知的財産法が存在しないミャンマーでは、現在、法的措置を取ることは難しい
△ミャワディコンプレックスまでの険しい道
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THAIBIZ編集部
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