

公開日 2025.12.09 Sponsored
目次
タイ初の物流イノベーション拠点となる「T-Innovation Center」。その最大の特徴は、手動・半自動のマテリアルハンドリング機器から完全自動化ソリューションまで網羅的に「見て・触れて・体験できる」ことだ。同センターの立ち上げを率いたのが、トヨタマテリアルハンドリング(タイランド)副マネージングディレクターの寺岡紀治氏である。ここからは、同氏のインタビューとともに同センターの全貌に迫る。


◎寺岡 紀治 氏
Toyota Material Handling (Thailand) Co., Ltd.
Deputy Managing Director
1996年に豊田自動織機入社。営業、企画、人事、米国赴任を経て、2012年より繊維機械事業部の営業企画GM兼海外子会社(米国・スイス・ブラジル)社長を務める。2017年よりL&Fカンパニー物流ソリューションにて海外エンジニアリング室長。2023年2月より現職。
同社が物流自動化ソリューション事業に本格参入したのは2018年。「当初は日本で実績のある自社製品の販売に注力していた。しかし、タイの顧客は良い製品であればブランドにこだわらないという考え方が主流で、販売は苦戦していた」と寺岡氏は振り返る。
転機となったのが、米国で物流ソリューション業界を牽引するバスティアン(豊田自動織機の100%子会社)のインド支社との連携だった。バスティアンは、世界に300社以上のパートナーを抱え、顧客のニーズに応じて複数メーカーの機器を組み合わせる「統合ソリューション」を提供している。
「バスティアンの成功モデルをタイにも根付かせたい。そのために必要だったのが、統合ソリューションを『見せる場』と『実証実験の場』を兼ね備えた拠点だった」と同氏は説明する。こうしてT-Innovation Center構想は始動した。
同センターの目玉の一つが、9社のパートナー企業から提供された11の物流機器を実際に接続し、一つのシステムとして稼働させているデモエリアだ。


タイ、中国、インドなど、タイ市場に適した機器を厳選し、コストパフォーマンスと柔軟なカスタマイズ性を重視した構成となっている。さらに、段階的に自動化への投資イメージができるよう、作業工程別に機器を配置しており、訪問者は倉庫内の動線をたどりながら一連の自動化プロセスを体験できる(図表1)。
異なるメーカーの製品を統合して動かすことは、高度な技術を要する。「業界関係者でなければ理解できないほど複雑で難しい作業だ。通常のプロジェクトで扱う機器は2〜3台程度だが、ここでは11台の機器を連携させている」と寺岡氏は自信をにじませた。


倉庫の自動化と聞けば、大規模投資をイメージする企業も多い。しかし、スモールステップで始めることも十分可能だ。
「自動化システムは全てを一気に導入する必要はない。企業の課題や投資規模に応じて部分的・段階的に導入していくのが一般的だ。たとえば、簡易型無人搬送車(AGV)の導入はその第一歩だ」と寺岡氏は語る。
簡易型AGVはパレットなどの搬送作業を自動化する小型車両だ。エクセルベースの簡単なプログラムでルート設定ができ、導入ハードルが低い。すぐに稼働でき、人件費の削減にも直結する。「簡易型AGVの導入をきっかけに、顧客が自動化の仕組みを学び、次の工程への展開を検討する。このような段階的なアプローチこそが、現実的な自動化の進め方だ」と同氏は説明する。


人手が最も集中するピッキング・仕分け工程だけを自動化する選択肢もある。保管スペースの不足に悩む企業は、通路幅の狭い高層ラックを備えた倉庫システム(Very Narrow Aisle:VNA)から始めるケースもある。
同センターで行われる、高さ12メートルのVNAに対応した専用フォークリフト(VNAトラック)のデモンストレーションは、オープニングイベントでも来場者の注目を集めた。3方向にフォークを動かし、狭い通路で自在にパレットを扱う様子は、空間活用の可能性を視覚的に示すものだ。

自動化がもたらす効果は、省人化・省スペースによるコスト削減だけでなく、限られたリソースを戦略的に再配置し、企業の競争力そのものを高めることにある。
「タイでは日系企業に限らず、地場企業も日本式の物流オペレーションを学び、採用していることが多く、改善の余地は大きい」と寺岡氏は指摘する。一方、「小売業界ではまだ自動化システムの導入は限定的だ。しかし、Eコマースの拡大により今後の成長が期待される」と見通す。
「当社の社名はトヨタの名を冠している。トヨタブランドは、タイを含めこの地域の方々から信頼があると同時に期待値も高い」と寺岡氏は語る。「われわれは、異なるメーカーの機器を統合し、一つの物流ソリューションとして提供している。たとえそれが自社製品でなくても、顧客の課題解決に最適な機器をトヨタ基準で選定・統合し、品質と安全性を保証する。それがわれわれの最大の付加価値だ」と付け加えた。
T-Innovation Centerは、トヨタの「統合品質」を目に見える形で証明する場であり、タイ市場におけるトヨタの物流トータルソリューションの新たな拠点だ。しかし、それは単なるショールームではない。倉庫の課題を持つ企業にとって、自社の次の一歩を具体的に描くための場所となるだろう。
物流の未来を、見て・触れて・体験する「T-Innovation Center」
T-Innovation Centerは、マテリアルハンドリング機器から完全自動化システムまで包括的に体験できる場です。現場の課題や導入規模に応じた最適なソリューションを専門スタッフが個別にご案内します。見学・ご相談は下記までお気軽にお問い合わせください。


Toyota Material Handling(Thailand)Co., Ltd.
57 Moo 6 Racha Thewa Sub District, Bang Phi District, Samut Prakan 10540
TEL:02-494-9155
E-mail:info@tmhth.toyota-industries.com
Website:https://toyota-material-handling.co.th


THAIBIZ編集部
岡部真由美





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