カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2014.09.27
Saha Lawson Co., Ltd.
マネージング・ダイレクターの田村比鏡氏
ローソンと山梨県のタッグキャンペーンは、インドネシアにはじまる。
ローソンはタイよりも早い段階からインドネシアへ進出しており、ジャカルタには約60店舗を展開。
昨年、インドネシアで訪日観光客の誘致に取り組んでいた山梨県から現地のローソンへオファーがあり、店舗を活用した「富士山PRキャンペーン」が行われた。同社海外事業グループの市川伸氏は、「日常の生活の中で、多くの方の目に直接触れる場所(店舗)とし
て、当社にお声掛けいただいたものと考えています。店内で富士山=山梨県をアピールし、応募の中から抽選で『富士山旅行』が当たるという内容で、大変多くのお客様から反響をいただきました」と話す。
インドネシアでのキャンペーンでは、通常の応募キャンペーンに比べ2倍以上の反響が得られたという。山梨県が今年度の訪日観光客誘致事業対象国をタイまで拡大することを決定、インドネシアでのご縁もあり、タイでもSaha Lawson社とのタッグが実現。タイでは既に多数の企業が日本旅行を賞品にしたキャンペーンを展開しているため、より魅力的な賞品を用意すべくH.I.S. TOURS社とタイヤマハモーター社へ打診、協業に至った。
また、「より多くのお客様に富士山を知っていただけるよう」と、キャンペーン期間も8月15日〜11月15日の3ヵ月間と、同社が通常行っているキャンペーンに比べ長めに設定している。
山梨県知事の横内正明氏
山梨県は海外、中でもタイからのインバウンド誘致に向けてどのような活動、アピールしているのだろうか。同県が行っている誘致方法について、山梨県国際交流課の新井 純氏に伺った。
「山梨県は世界遺産・富士山の北麓に広がる山紫水明の自治体で、日本のシンボル〝富士山〞を持ちながら、実際は『富士山は知っているけど、山梨県について多くは知らない』という方がまだまだ多いのが実情です。〝富士の国やまなし〞をコピーに日本国内外で誘客活動を行っていますが、まだまだ露出度が足りないと感じていました」。
そんな中、もともと日本国内において地産地消・観光PR・防災時の連携など包括的な協力体制を構築しているローソンが展開する、インドネシアの店舗で「富士山PRキャンペーン」を実施。日本発のコンビニエンスストアで富士山を前面に押し出し〝富士の国や
まなし〞を一般消費者に大いにPRできる手法を見出した。ガルーダ・インドネシア航空とも連携協定を結び、県内でのサイクルツアーを実施しているほか、生産量と品質で日本一を誇るブドウを生かしたワインやジュースが機内で提供されている。
今年度はこの手法をタイでも用い、タイのLAWSON108 店舗と、最初の1ヵ月間は主要なバス停50ヵ所で同キャンペーンを告知。また、H.I.S. TOURS 社のサイアムとパタヤ店舗では、山梨県が提案・支援した富士山のライブ映像が配信されている。民間企業だけでなく、大学間の連携交流も行っており、県内の大学とインドネシアでは4校、タイでも1校と協定を締結しており、観光客の増加のみならず、親日的で勤勉なタイの学生が山梨県へ留学し、自身が山梨ファンの情報発信源となり、交流の輪が広がっていくことに大きな期待を寄せているという。
インバウンドの観光客に向けては、NTT東日本などと連携した「富士山Free Wi-Fiプロジェクト」がある。NTT東日本のWi-Fiスポットでは、専用カードに記載されたIDとパスワードを入力することでWi-Fiを14日間無料で提供している。もともと「山梨Free Wi-Fiプロジェクト」として開始したものが好評でWi-Fiスポットも増えたことから、隣接する静岡県にも連携を呼びかけ、静岡も参加した同プロジェクトに昇華した。
2007年度からは知事が中国、香港、台湾、韓国、アメリカ、シンガポール、タイ、インドネシアでトップセールスとして、旅行関係事業者やメディアを通じたさまざまなPRを実施。また、現地旅行会社やメディアを山梨県へ招請し、実際に山梨県の観光地や文
化・郷土食もPRするFAMトリップ(Familiarization Trip :招待視察旅行)なども積極的に行っている。
インバウンドの強化エリアとしてアセアンへも力を注いでおり、4年ほど前から、タイのTITF、シンガポールのNATAS、マレーシアのMATTAなどアセアンの主要な旅行博覧会に出展。タイについては、タイ王国政府工業省との連携協定に基づき、今年バンコクにビジネス・サポート・デスクを開設したところだ。来訪者の多い中国・台湾・香港・韓国といった東アジア諸国の自治体などとも関係を強化しており、今後も同様の取り組みを続けていく予定だという。
H.I.S. TOURS CO.,LTD
マネージング・ダイレクターの中村謙志氏
H.I.S. TOURS 社は賞品として、東京行きの往復航空券を提供している。今回の協業に至った経緯について、同社の鈴木淳氏に伺った。
「〝日本のローソン〞をタイにPRしたいというLAWSON108 社の思いと、当社のタイ人向け日本行きプロモーションの方向性が合致したことから今回タイアップさせていただくことになりました。当社でもタイ人向けの訪日旅行を強化しており、昨年からBTS駅
構内、MRT構内、ショッピングセンター内など人通りの多いところに10店舗以上出店してきました。これは単に店舗を増やすだけでなく、お客様の利便性の促進と店舗自体も広告としての役割も担う我が社の広告戦略です。また、ブランドアンバサダーにタイで大人気の芸能人・ボーイさんを起用し、彼とともに訪日旅行のプロモーションを行っています。今後は、バンコクのほかに地方都市へも出店を考えており、すでにチェンマイ、シラチャーの店舗は、タイ人向けにリニューアルオープンしました」。
ただ、迎え入れる日本側、送り出すタイ側にもさまざまな課題も発生しているという。「7月から日本のバス規定が厳しく変わりました。バス・チャーター代も倍ぐらいに値上がりし、バスの確保にも苦労しています。また、特に東京都内の宿泊施設は、稼働率が高くなっており、商品造成する際に宿泊施設の確保にも困難を極めています。タイ側の課題
としては、 去年のビザ免除により訪日旅行がブームになり、各社の競争が激しくなってきており、価格競争も激化、訪日旅行マーケットの価格下落が深刻になってきています。当社としては価格だけでなく、品質・内容にこだわり、次回も当社をご利用していただけるより良い商品を造成し先導していくつもりです。そのために、日本の自治体、県などから観光誘致のために、FAMトリップの実施に協力してもらっています。当社がタイの旅行会社、メディアなどを集め、売り込みたい観光、食事、ホテルを盛り込んだモデルツアーを実際に体験してもらい、タイに戻ってから旅行会社が商品を作り、販売。メディアは旅行雑誌などに旅行の内容を紹介するといったものです。今後も、こういったFAMトリップを積極的に企画し、より良い商品をタイの皆様に届けていきたいと考えています」。
ヤマハの新しいモビリティ“TRICITY(トリシティ)”
Saha Lawson Co., Ltd.
2170 3rd Floor, Bangkok Tower, New Petchburi Road, Bangkapi,
Huaykawang, Bangkok, 10310
02-308-0700
THAIBIZ編集部
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