カテゴリー: 会計・法務
公開日 2015.09.12
知的財産制度は、人間の知的創造活動によって創作されたアイディア、ネーミングなどを創作した人だけが独占的に実施できる権利を与えることでそのアイディア、ネーミングなどを財産として保護するという制度である。例えば、新製品を開発した場合にその新製品に用いられた新しい技術(発明)は知的財産の一つである。この技術について特許権を取得すれば、自社だけがその技術を利用することができ、他人はその技術を利用することができない。以下、知的財産の代表的なものを簡単に説明する。
【特許】
特許制度は、新しい技術に関するアイディアつまり発明を保護するための制度で、各国の特許庁に特許出願し、審査において所定の方式要件及び実体要件(発明が新しいものか、など)を満たしていると判断されれば特許権が発生する。権利期間は日本やタイをはじめとして、出願日から20年としている国が多い。
【実用新案(小特許)】
実用新案制度は、発明というほどではないちょっとした改良などの考案を保護するための制度で、各国の特許庁に実用新案登録出願し、所定の要件を満たしていると判断されれば実用新案権(小特許権)が発生する。日本と同様に実体要件の審査を行わずに実用新案登録する国も多い。また、実用新案権の権利期間は特許権に比べて短い国が多い。
【意匠】
意匠制度は、デザインを保護するための制度で、各国の特許庁に意匠登録出願し、所定の要件を満たしていると判断されれば意匠権が発生する。フィリピンのように実体要件審査せずに登録する国もあるが、タイや日本のように実体審査を行う国もある。また、意匠権の権利期間は国によって色々であるが、例えばタイでは出願日から10年、マレーシアでは出願日から25年である。
【商標】
商標制度は、自社の商品・サービスを示すためのマーク、つまり商標を保護するための制度で、商品・サービスを販売・提供する企業(事業者)の業務における信用を保護して産業の発達に貢献するとともに、商品、サービスを購入・利用する消費者を保護しようというもの。各国の特許庁などに商標登録出願し、所定の方式要件および実体要件を満たしていると判断されれば商標権が発生する。
権利期間は更新が可能であり、更新を続ければ永遠に同じ商標権を使用することができる。
【著作権】
著作権制度は、思想や感情を創作的に表現した文芸、学術、美術、音楽といった著作物などを保護するための制度。
著作物が創作された時から自動的に著作権が発生し、原則として著作者の死後50年間権利が保護される。
「〝特許権〞、〝実用新案権〞、〝意匠権〞、〝商標権〞の4つを産業財産権といい、これらの産業財産権は出願を行い、登録されることで初めて権利が発生することになりますが、著作権は著作物が誕生した瞬間に発生します」(高田氏)。
これらの知的財産制度の下では、権利を取得していれば自社の技術・商標などを模倣している模倣品に対して何らかのアクションを取ることが可能である。しかしながら権利を取得していなければ、模倣品に対して何のアクションも取ることができず、さらに他人が同一の内容について権利を取得してしまうリスクなども発生する。この場合、自己の製品が他人の権利を侵害してしまうという事態になるので設計変更、商品名の変更などが必要となる。
「権利の取得には費用も時間もかかりますので、その国における事業展開を考慮しつつ、費用対効果を精査して権利を取得しないという判断をすることもあるかとは思います。ただ、知財について争いが生じた場合には権利の取得よりもはるかに多くの費用、時間がかかりますので、事業活動を円滑に行うためには、自社製品の核となる技術や商品名などについて予め調査を行うとともに、権利取得されることをお勧めします」(金森氏)。
※出典:ジェトロ、特許庁作成資料
次ページ:アセアン各国における知的保護の現状
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