カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2017.10.31
目次
Thamnai Ratchakotra氏
Beer Thip Brewery Managing Director Acting
TCCグループは現在、飲料・食品、不動産、保険・金融、消費財、小売の5事業を柱に展開しています。飲料事業を担うThai Beverageもまた、ビール、蒸留酒(モルトウイスキーやスピリッツ)、ノンアルコール飲料の製造販売を軸に、資材・物流会社など100社以上を傘下に持つ企業グループです。
TCCグループを大きく成長させたビール事業では、チャローン・シリワダナパクディ会長の方針で、最先端の充填機械やロボットなどの設備は積極的に導入しており、少人数で高い生産効率を実現しています。昔は量を売ることに重きを置いていましたが、今は鮮度重視に切り替えました。十分な生産キャパシティでお客様に作りたてを提供できる体制を整えています。
2008年、タイで緑茶ブームを起こしたOISHIの買収をきっかけに、食品製造販売と飲食店事業に参入しました。11年にはアメリカのペプシコと販売代理店契約を結んでいた飲料メーカーのスース・ムックを、13年にはシンガポールの不動産、飲料総合企業であるフレーザー&ニーブ(F&N)を買収。F&Nの販売ルートを利用し、生産拠点的にも物流的にも優位にある海外市場の主戦場・ASEANでの展開を強化していくつもりです。
タイではビール1本あたり70%が税金として徴収されており、Thai Beverageからの納税がタイ政府の全収入のうち4%を占めています。アルコールの販売規制や広告活動の制限も厳しく、容易な市場とは言えません。
このような中で、長年注力しているのが、プロスポーツ関連のスポンサー事業などを通じたブランディングです。また、定期的に消費者調査を行うことで、常に工夫と変化を続けています。主力商品であるChang Classicは、アルコール度数を従来の5.5%から5.2%に下げることで飲みやすくリニューアルを行うと同時に、ボトルの色をブラウンからグリーンに、さらにラベルのデザインも新たに変更し、リニューアルから6ヵ月でシェアを20%から40%まで引き上げることに成功しました。Chang、ARCHA、Federbrauの3ブランドでビール業界のトップを獲るのが、2020年までの目標です。
Wichit Chindasombatcharoen氏
Beer Thip Brewery Vice President Technical Services and Support
CPグループとサハグループが、商品やサービスから事業を伸ばすオーガニックグロースのビジネスモデルであるのに対し、TCCグループは買収による事業拡大と多角化で急成長した財閥です。
創始者であるチャローン・シリワダナパクディ氏は、経済界だけでなく政界、王室関係にも強い人脈を持ち、1985年ウイスキー醸造事業民営化のタイミングでライセンスを取得。91年にThai Beverageを設立し、Changブランドでビール市場に参入して5年でSinghaのシェアを追い抜きました。
Q. 急成長したChangビールの販売戦略とは?
A. タイでは一人あたり、年間30リットルのビールを消費していると言われています。また、アジアでは韓国に次いで2番目に蒸留酒の消費が多い国であり、特に地方では蒸留酒の文化が根強く、一人あたり、年間10リットルのウイスキーを消費しています。当社は元々ウイスキーから生産を始め、Chang発売当初はウイスキーに無料でビールを付けたり、低価格で販売する戦略で急激に成長しました。販売網はTT(トラディショナルトレード)、MT(モダントレード)、飲食店の順に多く、販売代理店を通した取引が70%以上を占めており、今も注力しているのはTTでの販売です。
Jitchai Nimitpanya氏
Deputy Chief, Executive Officer
1979年、個人・法人向けの引越しサービスから事業を始めた当社は、タイで初めて書類の保管管理サービスの提供を始めた会社でもあります(※)。お客様からのリクエストをきっかけに物流事業に参入し、93年には3PL(サードパーティロジスティクス)として、配送サービス、ITシステムによる供給管理サービス、自動車保管管理サービス、保管管理ソフトの開発、コールドチェーン物流など、タイ国内における総合物流サービスを網羅するようになりました。
2003年には、30年間有効なレムチャバン深海港で危険物取扱の資格をタイで唯一取得。この管理ノウハウは他社にはない強みであると自負しています。2014年からはビジネス領域を拡大し、隣接国であるカンボジア、ラオス、ミャンマーでも事業を開始しています。
※タイには会社関係書類を10年間保管しなければならない法律がある
食品と自動車の保管管理を行う保税倉庫は、タイ国内最大級の規模を誇り、保管管理のサービス以外にも仕分けや再梱包、ラベリングなどのサービスを請け負っています。中でも3つの食品用倉庫には加工スペースを設けており、GMPなどの国際認証も取得済みです。輸入食材に40%の割合でタイ産の食材を加え「Made in Thailand」にするスキームを利用すれば、税金対策も可能です。顧客の多くは日系企業で、エビフライや焼き魚といった水産加工品を生産しています。
自動車の輸出入管理にはITシステムを導入し、顧客側にも同じシステムを導入することで、どの車体がどこに保管されているのか、日本の本社からも確認できる仕組みを確立しました。
また、2017年には、日産自動車などと事業を行うサイアムモーターと合弁会社を設立し、下請け企業で製造された自動車部品をメーカーに輸送する新事業を開始しました。これまでバンコク港でのみ行っていたLCL(Less than Container Load、1つのコンテナに複数の貨物を混載する)サービスを、自動車関連企業の多いエリアにあるレムチャバン深海港でも提供を開始。B to C向けには、ECの発展に合わせてバイク便を活用した個別配送のエクスプレスサービスもローンチしています。今後はEEC(東部経済回廊)における物流ニーズの高まりを見据え、陸路、海路、空路などで自前のノウハウをいかに活かせるか検討していくつもりです。
国外事業に関しては、自前ではなく提携先と現地展開しています。カンボジア、ラオス、ミャンマーに保冷倉庫(非保税倉庫)があり、カンボジアの倉庫は現在フル稼働中です。各国における食品の定温輸送と越境物流は順調に伸びています。今後はインドネシアへの進出も視野に入れており、東南アジア市場での展開を拡大していく考えです。
Chonchaya Pavaratn氏
Assistant Vice President Corporate Communications
JWDグループはタイの大手総合物流企業で、数年前にはタイ証券取引所(SET)にも上場を果たしました。引越しと書類の保管管理サービスから事業をスタートし、現在では倉庫管理用のITシステムを自前で開発。また保冷倉庫とコールドチェーン物流で、メコンエリアで伸びる食品物流需要を掴み、タイだけでなく近隣国での事業も拡大しています。
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THAIBIZ編集部
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