カテゴリー: ニュース
公開日 2023.12.13
12月6日付バンコク・ポスト紙(ビジネス1面)は、タイ政府観光庁(TAT)などが地方の所得向上を目的に「セカンダリー・シティーズ」への旅行促進を支援しているものの、大半の外国人観光客は依然、バンコク、プーケット、パタヤ、チェンマイなどの主要観光地に集中おり、東北部「イサーン」地方の訪問を検討する旅行者は少ないと伝えている。
TATは先月、「China International Travel Mart 2023」で中国人によるタイへの旅行の活発化を期待してタイ東北部旅行のプロモーション活動をスタートさせた。また、タイ政府は今週、タイの最貧県とされる東北部ノンブアラムプー県での初の移動閣議を開催した。
東北部の観光業者は、タイ政府が観光業振興を優先することを望み、その開発計画では特に弱点とされる公共インフラなどを対象とすることに期待しているという。ノンカイ観光評議会のナルモン副会長は、ノンカイ県の観光業は、国境貿易の低迷とラオス通貨キップの急落に打撃を受けていると指摘。これらの要因が地域経済を支えているラオスからの旅行者の減少につながっているという。特にコストを気にしないラオス人は、ノンカイを素通りして、バンコクやプーケットなどいの主要観光都市を訪問する傾向があるという。
一方、コンケン観光評議会のポッポン会長は、タイ政府が「ソフトパワー」を通じた経済活性化を約束していることは正しい方向だとした上で、コンケンは地域の観光業を振興するために、特色ある文化を活用できると指摘。具体的には「イサーン料理」「Mudmee Silk」「モーラム(イサーンの伝統音楽)」「イサーン式マッサージ」などであり、これらは外国人観光客にほとんど知られていないとの見方を示した。
トヨタ自動車は12月8日、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催中の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)の関連イベントで、タイ財閥チャロン・ポカパン(CP)グループとトヨタ自動車、商用車の脱炭素化に取り組む「コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ」(CJPT)の3者がバイオガス由来の水素製造パイロットプロジェクトでタイ初の「バイオ水素」を1日当たり2キログラムの供給することに成功したと発表した。このプロジェクトではトヨタ自動車がサムットプラカン県にある同社のアジア本部敷地内に、タイ初のバイオガス原料の水素製造装置を設置し、CPグループの養鶏場からの廃棄物を使ってバイオ水素を製造する最初のトライアルが完了したという。
さらにこの3者はバイオ水素を長距離輸送向けに供給する次のトライアルをスタートさせ、最終的にはCPグループのタイ国内での配送トラックなどに導入するという。また、もう1つの試験プロジェクトとして、トヨタ自動車はタイの農業支援を目的に燃料電池を駆動力とするドローンを開発し、CPグループの農家の播種、施肥などに活用したことも明らかにした。
12月6日付バンコク・ポスト(ビジネス1面)は、タイのナショナル・クレジット・ビューロー(NCB)は、電気自動車(EV)の価値が、内燃機関(ICE)車よりも速いスピードで低下していると指摘し、EV向けローンの質に対する懸念を表明した。特に中国ブランドのEVにおける競争激化と販売キャンペーンにより、購入者に対するローン提供が急増。しかし、中古EV価格の下落率が中古ICE車の下落率よりも大きいことが自動車ローン提供業者のリスクを高めているという。このためNCBのスラポン会長は今後、NCBはEV購入ローン資産の質を注意深く見守っていくと強調。「EVバッテリーに関わるトラブルで、中古EVの価値は大幅に下落している。特に5年以上経過したEVの価値の下落はICE車よりもより迅速だ」と警告した。
英エコノミスト誌12月2日号は、ビジネス面で「米国のEV革命は停滞しているのか」という記事を掲載している。同記事は「米国民はバッテリーでは走らないが、『automobile』を長年愛してきた」と指摘。今年7月にピュー・リサーチ・センターが実施した世論調査では、電気自動車(EV)購入を検討している米国民は5分の2未満で、「充電ネットワークの拡大やEV車種の増加にもかかわらず、その比率は1年前と比較して若干低下している」と説明した。
そして、2023年第3四半期のバッテリーEV(BEV)が全自動車販売台数に占めるシェアは8%で、今年これまでのEV販売台数(ハイブリッド車除く)は100万台未満で、欧州での販売台数の半分強だと報告。一方、中国の販売台数は米国の4倍だ。また米ゼネラル・モーターズ(GM)の今年7~9月の米国内でのEV販売台数は2万台、内燃機関(ICE)車は60万台となり、ディーラーの平均在庫日数はEVが92日間で、ICEは同52日間だったと紹介している。
TJRI編集部
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