カテゴリー: ニュース, 食品・小売・サービス
公開日 2025.01.21
タイ投資委員会(BOI)は1月13日、2024年の投資奨励申請額が前年比35%増の1兆1,400億バーツ(330億ドル)に達し、2014年以来の高水準となったと発表した。データセンターとクラウドサービス、半導体、電子産業の外国直接投資(FDI)が寄与した。タイへの投資は今年も勢いを増す見通しだという。
部門別ランキングでは、データセンターやクラウドサービスを含むデジタルが投資申請件数150件、金額2,430億バーツで初めてトップとなった。主なプロジェクトには、米国のアルファベット傘下のグーグルやオーストラリアのネクストディーシー(NextDC)など、大手テクノロジー企業やクラウドサービス企業による大規模データセンター設立の申請が含まれる。2位は電子・電気機器で、407件、2,317億バーツ。3位は自動車(309件、1,024億バーツ)、4位は農業・食品(329件、876億バーツ)、5位は石油化学・化学品(235件、491億バーツ)と続いた。
国・地域別では、シンガポールがトップで、デジタルサービスと電子機器製造業を中心に申請件数305件、金額は3,570億バーツに上った。2位は中国で、プリント基板(PCB)と自動車産業を中心に810件、1,746億、3位は香港(177件、823億バーツ)、4位は台湾(126件、500億バーツ)と続き、日本は5位(271件、491億バーツ)だった。
BOIのナリット長官は、「タイ政府のデジタル分野やスマートエレクトロニクス産業の積極的な投資奨励策に対する、投資家の反応は上々だった」と述べ、「昨年12月、国家半導体・先端電子機器政策委員会(半導体委員会)が設立された。現在の地政学的状況におけるリスク分散の観点から、今年はこの傾向がさらに強まるだろう」と続けた。
半導体委員会は、新たなFDIの波に備え、2029年までに5,000億バーツの投資を誘致するために、同部門の戦略的枠組みと熟練労働者育成の枠組みを承認した。
1月15日付バンコク・ポストによると、タイ政府は1月13日に閣議で、経済特区(SEZ)の法人税を20%から10%に引き下げる勅令案を原則承認した。
タイのSEZは国内地域の経済格差を縮め、発展を促進、近隣諸国との貿易と投資を強化するために2015年に設立。今回の減税措置は、本社の所在地を問わずSEZ政策委員会が指定する産業で、対象区域内で事業を展開する法人に適用される。期間は2035年まで。
政府はこれにより、商品生産やサービス提供、雇用を促進する狙い。国税局のピンサーイ・スラサワディ局長は、「近隣諸国とのつながりが強化され、タイの競争力が高まることを期待する」と述べた。
対象となる区域は、北部ターク県、同チェンライ県、東北部ムックダーハーン県、同ノーンカーイ県、同ナコーンパノム県、東部サケーオ県、同トラート県、南部ソンクラー県、同ナラティワート県、西部カンチャナブリ県の10ヶ所。
1月15日付バンコク・ポストによると、タイ下院が、酒類製造を自由化する法案を可決。ぺートンタン首相は、「タイのアルコール飲料の寡占状態を緩和し、地方経済を支援していく」と述べた。
本法案は、個人事業主や協同組合、農民団体などがあらゆる種類の酒類を製造・販売するライセンスを取得できるようにするものである。出席議員420名中415名が賛成票を投じ、ほぼ全会一致で承認された。同法案は今後、上院で審議される予定。
タイのビール・蒸留酒市場は長年、タイ・ビバレッジとシンハー・グループ(ブンロード・ブリュワリー)の2大企業がシェア90%以上を占める寡占状態にあった。新しい法案が成立すれば、小規模生産者の参入機会が増え、また、レストランやバーは外国人観光客に多様なアルコール飲料を提供できるようになる。
タイの酒類生産規制をめぐっては、小規模生産者参入のハードルを下げようと、2022年に最低資本金と生産能力要件が撤廃されていた。自宅でクラフトビールを製造し逮捕された経歴を持つ、酒類自由化を提唱してきたタオピポップ・リムジットラコーン議員は、「物品税局および関連機関が適切なタイミングで規則を制定すれば、法案は10月までに施行される可能性がある」と話した。
1月17日、タイの工業団地開発大手アマタ・コーポレーションが、創業50周年を記念する式典を開催した。アマタが開発運営する工場団地は、トヨタや三菱電機、ソニーなど日本をはじめとする1,500以上のグローバル製造企業が拠点を構えており、タイ経済の成長を支えてきた。創業者であるヴィクロム・クロマディット会長兼最高経営責任者(CEO)は式典で、「地政学的な変化や貿易戦争が進行する中、今年はASEAN地域での新たな投資の波が到来する重要な機会だ」との見通しを示した。
また、「アマタはタイ、ベトナム、ラオスで投資を拡大し、次世代産業に対応することを目指している。例えば、電気自動車(EV)やEVバッテリー、データセンターといった産業だ。ベトナムでは、北部のフート省での新工業団地の開発を検討中で、この地域は中国へと続く鉄道ネットワークに接続する戦略的な立地となる。一方ラオスでは、13万ライ(1ライ=1,600平方メートル)のうち、第1フェーズとして6,000ライの開発計画を進めている。これら取り組みにより、アマタはASEAN地域での主要な生産拠点としての役割をさらに強化していく」と訴えた。
THAIBIZ編集部
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