カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2024.02.19
バンコク日本人商工会議所(JCC)は2月15日、「2024年新年景気討論会」を開催した。基調講演ではまずJCC金融保険部会長を務めるアユタヤ銀行副頭取(日系・多国籍企業部門長)の大久保文世氏がタイ経済の見通しについて、同行は2024年のタイ国内総生産(GDP)伸び率についてタイ中央銀行の予想値2.5~3.0%よりも高めの3.4%と予測していることを明らかにした。ただこれは昨年11月時点の予想で、今後、若干下方修正の余地があるだろうとコメントした。観光産業については、外国人観光客数は2025年にコロナ前の水準に回復する見込みとする一方、2023年冬季(11月~2月)の中国からタイへの便数は2019年同期の半分以下(41%)にとどまるなど回復は鈍いと説明した。
続いて、JCC経済調査会長を務める日本貿易振興機構(ジェトロ)バンコク事務所の黒田淳一郎氏が在タイ日系企業の動向として、JCCが行った2023年下期日系企業景気動向調査と、ジェトロの2023年度アジア・オセアニア進出日系企業調査のポイントを報告した。JCC調査の業況感DIは2023年上期がマイナス10、同下期(見通し)はマイナス16と悪化するが、2024年上期(見通し)はプラス10に改善するとした。ジェトロ調査ではタイ国内、周辺国への事業展開に対する見通しでは、進出先上位は、①ベトナム②インドネシア③バンコク首都圏④インド⑤東部経済回廊(EEC)-などの順だった。また今後1~2年の事業展開の方向性では、在タイ日系企業(595社)の42%が拡大、54%が現状維持と回答した。また、拡大する機能に関する質問のうち地域統括機能を挙げた在タイ日系企業の比率は5.6%で全体の5位と前回の8位から上昇したとと紹介。地域統括機能拡大の国別ランキングのトップは依然シンガポールで、2位が香港・マカオだった。
このほか、自動車部会報告ではJCC会頭・自動車部会長の山下典昭氏が、2023年の全市場における「xEV」の構成比について、ハイブリッド車(HEV)が12%(前年8%)、バッテリーEV(BEV)が10%(同1.3%)と拡大した結果、xEVの構成比は24%(同10%)まで高まったと説明。また、2024年の国内市場見通しでは4輪が75万~80万台と前年(77万6000台)比3%減~3%増、2輪が168万~188万台と前年(185万6000台)比9%減~1%増と予想した。さらに2024年の輸出見通しは、前年(111万7000台)比3%増の1150万台とした。
2月16日付バンコク・ポスト(ビジネス1面)によると、タイ投資委員会(BOI)はバンコク首都圏の3空港を結ぶ高速鉄道整備事業を前進させるための投資促進恩典を延長することで合意した。同プロジェクトの建設を請け負ったタイ財閥チャロン・ポカパン(CP)グループ主導の企業連合の運営会社アジア・エラ・ワン(AERA1)に提供された投資恩典は今年1月22日に期限切れとなっていた。AERA1が求めていた同恩典の期限を5月22日まで延長する要請は、プロジェクトの遅れが同インフラ整備計画と投資家信頼感に影響を与えかねないとして東部経済回廊(EEC)事務局とタイ国鉄(SRT)はいったん拒否。しかし、BOIはAERA1とEEC事務局との会合後、「開発計画とプロジェクトを前進させる意志が明確に示された」として恩典の4カ月延長に合意したという。
2月16日付バンコク・ポスト(ビジネス3面)によると、タイ商務省外国貿易局は、東南アジア諸国連合(ASEAN)・中国自由貿易協定(ACFTA)を利用した中国向けの砂糖加工輸出先の品(シロップ、人工甘味料など、粗糖は除く)の輸出が過去10年間で年率145%増加したことを明らかにした。同局のロンナロン局長は、中国は引き続きタイの農産物輸出は42%を占める主要市場だと指摘。一方、中国の2023年の砂糖加工品の輸入額は9億8300万ドルで、このうちタイからの輸入は前年比103%増の8億5400万ドルと全体の86.9%を占めたという。
2月16日付バンコク・ポスト(1面)によると、アルコール飲料管理委員会は15日、午後2時から5時までのアルコール類販売禁止措置の撤廃してほしいとの民間部門からの要請を拒否し、同措置を継続することを決定した。アルコール販売時間の延長は健康や社会福祉に影響を与えるためという。同委員会の事務局長を務めるタイ保健省疾病管理局のトンチャイ局長は、保健省、観光スポーツ省、内務省、財務省、社会開発・人間安全保障省の代表者や社会学や経済学の専門家が同委員会で協議した結果、アルコール飲料が社会に与える悪影響を防ぐ特別措置は必要だとの見解で合意したと述べた。
TJRI編集部
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