カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2022.09.27
タイ輸出入銀行は22日、バンコク市内のホテルで「ベトナム・イン・フォーカス2022:Dream Journey」と題するセミナーを開催し、タイの産業界と「ネクスト・ノーマル」の国際市場との連携を促進するとともに、将来の製造拠点を強化するためにベトナムを主要パートナーとみなす財務省の政策を支持する方針を明らかにした。
同セミナーではまずアーコム財務相が、ポストコロナの「ネクスト・ノーマル」時代における世界経済の回復では、人口が約1億人、経済成長率が約7%という経済発展余地が大きく、新たなフロンティアであるベトナムのような国に新たなビジネスチャンスがあると概観した。そして、ベトナムはタイにとって、米国、中国、日本に次ぐ4番目の輸出先であり、輸入元としては10位で、タイとベトナムの貿易額は1992年の1億5000万ドルから、現在の200憶ドルまで、年率約20%のペースで急増してきたと説明。さらにベトナム政府の自由貿易と外国直接投資(FDI)促進策もあり、ベトナムへの投資国としてタイは8番目だと述べた。さらに、タイ輸銀は、バイオ・循環型・グリーン(BCG)経済モデルにおける将来産業の発展促進に合わせ、そのノウハウ、金融ツールを活用してタイの起業家にとっての「タイ開発銀行」としての役割を果たそうとしているとの認識を示した。
一方、タイ輸銀のラック総裁は、かつてはタイの競合国だったベトナムは現在、タイが依存度を高めている「主要なビジネス相手国」になったと指摘。ベトナムは2012年にはタイのビジネス相手国としては15位だったが、2017年以後は5位となっており、投資先としては10年前の10位から4位まで上昇していると報告した。
また同総裁は、工業分野の発展とともに急増している電力需要に対応するために再生可能エネルギー投資を促進するというベトナム政府の政策にタイ企業が対応できるようにするために、ベトナムのBCG産業のサプライチェーンにタイ企業が参入する支援を強化していると説明。具体的にはタイ輸銀はクリーンエネルギー発電所、石油化学、卸売り、小売りなどの産業分野で総額173憶バーツ超のベトナムへの投資を支援していることを明らかにした。
アジア開発銀行(ADB)は21日発表した「アジア開発アウトルック(ADO)2022」改訂版で、タイの今年の国内総生産(GDP)伸び率予想を今年4月時点の3.0%から2.9%に小幅下方修正した。また2023年の成長率予想も4.5%から4.2%に引き下げた。ロシアのウクライナ侵攻に伴う世界の商品価格の上昇や、タイの貿易相手国経済成長の鈍化、国内投資の減少、消費者の購買力を低下させているインフレ率の上昇が主な原因としている。
同リポートは、海外需要は拡大が続いているものの、ペースは減速しているとし、2022年の物品・サービス輸出の伸び率予想を6.1%から5.9%に、2023年の同予想も9.4%から8.4%に下方修正した。半導体の供給途絶が今年いっぱいは続く見込みで、今年の自動車部品や一部電子製品の輸出も減少するだろうとしている。一方、世界のエネルギーと商品価格の大幅上昇を受けて、今年のインフレ率予想を3.3%から6.3%に大幅上方修正した。2023年は2.7%に低下すると予想した。このほか、今年のGDPに占める経常収支の比率はマイナス2%と前回予想の黒字から赤字に転換する見込み。商品輸入価格の上昇が主な原因としている。
22日付のバンコク・ポスト紙(ビジネス2面)は、タイのエネルギー政策当局はガソリンにエタノールを10%混合した燃料であるガソホール「E10」の代わりに同20%混合した「E20」を標準品とする方針だと伝えた。E10は徐々に廃止するという。E10はドライバーにはそのオクタン価により「ガソホール91」や「ガソホール95」という名称でも知られている。今回の方針は、サトウキビやキャッサバをとするエタノールの国内生産を支援するのが狙いだ。
TJRI編集部
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