カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2022.07.05
ロシアとウクライナの戦争長期化によって、食料価格高騰だけでなく、世界のエネルギー危機も深刻化しつつある。英誌エコノミストは6月23日号の巻頭で「エネルギー危機を解決する正しい方法」と題する記事を掲載している。「今年のエネルギー危機は1973年、1979年の中東石油危機以来、最も深刻だ」と書き出し、このいわゆるオイルショック時と同様に「短期的な痛みをもたらすだけでなく、長期的にはエネルギー産業を変容させるだろう」と概観する。短期的な痛みは燃料価格や電力料金の高騰であり、大半の国が経済成長率の低下、インフレ、生活水準の悪化、そして政治混乱に直面しているという。さらに、長期的には「もし各国政府が不適切な対応をした場合、化石燃料への回帰につながり、気候変動を安定化させるのが困難になるだろう」と警告し、各国政府はエネルギー供給の安全保障と気候の安全保障を両立させる困難な道を歩まなければならないとしている。
同記事は、欧州、米国、中東など世界各地のエネルギー危機の現状を紹介しているが、その中では、中国、インドの国営鉱山会社の石炭採掘量が過去最高水準になりつつあるとの説明が印象的だ。そしてこうした混乱は理解できるものの、クリーンエネルギーへの移行が止まった場合は災厄につながる可能性があると警鐘を鳴らす。
その上で、「優先すべきは比較的クリーンな天然ガスなどの化石燃料プロジェクトを進める方法を見つける」ことだが、2050年までに二酸化炭素(CO2)排出量を大幅に削減するという目標に合わせるためには稼働期間を15~20年に圧縮する必要があると提案。さらに、こうしたプロジェクトを「CO2の吸収、貯蔵を通じてよりクリーンにする」ことも選択肢の一つだとしている。ただ、こうした対応も、気候変動対策でこれまで最も成功した事例である再生可能エネルギーへの迅速な移行を緩めることを意味するわけではないとくぎを刺している。
こうしたエネルギー・食糧危機に対し、タイ政府は安全保障を強化するための特別メカニズムを整備することを検討していると7月2日付バンコク・ポストが1面で伝えている。同記事によると、タイ国家安全保障会議(NSC)のスポン事務局長は、NSCは4日に会合を開き、エネルギーと食料の安全保障について、短期、中期、長期の計画の見直しを協議すると表明。特にエネルギー安全保障ではすべての政府機関が緊急事態の備えなければならないと強調した。
また6月29日付のバンコク・ポスト(ビジネス4面)は、不動産サービス会社CBREのコンビニエンスストアに関するリポート紹介している。それによると新型コロナウイルス流行に伴う生活スタイルの変化の結果、消費者の日常生活の中でコンビニの重要性が一段と増しているという。CBREタイランドの小売業界担当のジャリヤ氏は、「タイのコンビニエンスストア市場は2社の寡占状態で、彼らは依然カバーエリア拡大のため戦略的な拡大を続けている」と指摘。市場での競争激化を生き残るため、コンビニ大手は独自の製品提供により差別化を図っているとし、「ロータスズ・ゴー・フレッシュ」は旧ロータス・エクスプレスに比べ、生鮮食品や即席食品を10%増やしている事例を紹介した。
タイ取引競争委員会(OTCC)のデータによると、2021年のコンビニ市場のシェアは、CPグループのセブンイレブンが73.6%と圧倒的で、続いてロータスズ・ゴー・フレッシュが9.45%、ファミリーマートとトップスデイリーを傘下に持つセントラル・グループが4.8%と3位で、その他が12.16%になっている。
TJRI編集部
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