カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2024.02.27
タイ投資委員会(BOI)は21日、セター首相が委員長を務める電気自動車政策委員会(EV Board)が、タイのEVエコシステムの拡充とタイのEV製造ハブとしての地位強化を目的に、商用の大型トラックやバスのEV化促進策としてのEV購入企業への税制優遇策を承認したと発表した。さらにタイ国内でのバッテリーセル製造とエネルギー貯蔵システム(ESS)整備を促進するための競争力強化基金からの金融支援計画も承認した。
今回のEV化促進策は具体的には、タイ国以内で生産された大型商用バッテリーEV(BEV)を購入した企業に対し、実際の購入額の2倍までを所得から控除し、実質的に法人税を減額する。また輸入BEVを購入した場合でも購入額の1.5倍までを所得から控除できるようにする。この優遇措置は2025年12月末まで有効としている。
一方、バッテリーセル製造とESS整備に投資する企業に対する金融支援策は、①EVメーカー向けのバッテリー生産を主導する企業②EVやESSに使われるバッテリーへのバッテリーセルの明確生産計画を提示③バッテリーの重量エネルギー密度は最低15Wh/kg④特定の条件下で充放電を1000回以上繰り返せる-などが条件になっているという。関心のある企業は2027年末までの投資計画を提案する必要があるという。
BOIはまた、EV乗用車に対する促進策の最新状況として、2024年1月末時点で、自動車税の減税や補助金支給を受けたBEVの乗用車よピックアップの登録台数は7万8554台で、支援対象メーカー数は14社だったことを明らかにした。
タイ中央銀行が2月7日の金融政策委員会(MPC)で政策金利の1日物レポ金利を2.50%で据え置くことを決めた。一方で、タイ国家経済社会開発委員会(NESDC)が19日発表した2023年の国内総生産(GDP)速報値は、前年比1.9%増と、前年の2.5%増から大幅に低下し、市場予想を下回った。2月のMPCの前から、セター首相はタイ中銀にあからさまに利下げを求めていたが、景気の減速感が急速に高まる中でタイ中銀への利下げの可能性は高まっている。本来先進国では中銀の金融政策決定は政治からは独立していなければならないとされている。
そうした中で2月23日付バンコク・ポストは9面の論説記事で、タイの中銀の独立性について論じている。同記事は「中銀の独立性の賛成者にとって、セター首相兼財務相とタイ中銀のセタプット総裁の現在の軋轢は非常に明快だ」と話を始める。そして改めて中銀の独立性(CBI)の根拠などを説明した上で、先進国では広範に採用されたモデルになっているとする一方、2008~2009年の世界金融危機後には、中銀マンは世界的なデフレ圧力に対処できず、CBIは魅力を失ったと振り返る。一方で、タイ中銀はこれまでも法的に独立していたことはなく、「1942年の設立以来、王制に基づく道徳的権威と官僚の能力に依存してきた」と指摘。さらにタイ中銀の統治権限は世界のCBIトレンドとは対照的に、1990年初めには政治化され、商業銀行と政治家の既得権益化し、金融部門と為替レートの混乱をもたらし、1997~1998年のアジア通貨危機につながったとの見方を示している。同記事は最近のタイの政治・経済状況を概観した上で、「タイ中銀は依然、政治の影響を受けているのが真実だ」とし、タイ中銀にとって、道徳の権限を取り戻すためには、総裁は現在の政治を無視しなければならない。・・・セタプット氏のマクロ経済の経験は疑いない。タイ中銀は今は、景気刺激のため年内に2回の利下げを期待しているマーケットの声を聞かなければならない」と結論付けている。
2月24日付バンコク・ポスト(1面)によると、タイ財務省間接税局のエクニティー長官は観光業振興と国内消費の喚起を目的にアルコール税とパブやバーなどを含む夜間の娯楽施設に対する税金の税率を23日から引き下げたことを明らかにした。今年1月2日の閣議決定を受けたもので、アルコール飲料の価格低下により、特に外国人旅行者の消費喚起を目指す。具体的にはワインやスパークリングの従価税率を10%から5%に引き下げた一方、100度アルコール1リットル当たりの従量税を1500バーツから1000バーツに引き下げた。他の果実酒に関してはそれぞれ0%、900バーツとした。また、国内蒸留酒(度数7度未満)の従価税は10%から0%に引き下げ、従量税は150バーツとした。また、夜間の娯楽施設に対する税率は23日から今年12月末まで10%から5%に引き下げた。
TJRI編集部
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