カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2022.07.12
世界銀行は6月29日に発表した「タイ経済モニター」最新版で、2022年のタイ成長率を2.9%と予測し、昨年12月時点の3.9%から下方修正した。このリポートのタイトルは「Building Back Greener: The Circular Economy」だ。バイオ・循環型・グリーン(BCG)というそのままの表現ではないものの、世銀もタイ政府が掲げた「BCG経済モデル」というコンセプトを評価したかのようだ。同リポートは、ロシアとウクライナの戦争や中国の都市封鎖が悪影響を与える一方で、民間消費と観光業の回復が下支え要因になっていると指摘。「より循環型(Circular)の経済アプローチが成長を促進し、その経済成長はより持続可能で、外的ショックへの耐性が強いものになる」と見方を示している。
モデル分析によると、「循環型経済への移行加速が、2030年までに国内総生産(GDP)を約1.2%押し上げ、16万人分の新規雇用(全労働人口の約0.3%)を創出する」と予測。さらに、商品相場の高騰や変動を抑制し、2030年までに温室効果ガスを約5%削減することができるだろうとの見通しを示した。世銀の上級エコノミスト、ジェイミー・フリアス氏は「国内市場での資源需要の高まりに伴いタイは、政策ソリューションに循環型経済アプローチを加えた。これは、資源依存型経済から経済成長を切り離すことを可能にする」と述べた。
スイスの国際経営開発研究所(IMD)が先月発表した2022年の世界競争力ランキングで、タイは33位となり前年の28位から5ランク順位を下げたが、この競争力ランキングに関連してタイと経営管理協会(TMA)が7月7日にバンコク市内で開催した会議の内容をザ・スタンダードが7日伝えている。IMDのアルトゥロ・ブリス所長は、現代の世界は過去とは異なる不確実性の時代だとした上で、「昔は3~5年の期間で議論していたが、今は毎月確認していかなければならない」と強調。最新のIMD調査で経営者らの最大の懸念はインフレ、戦争、地政学であることが示されたとの認識を示した。さらに同所長は、タイの現在の主要課題は「生産性」であり、市場のニーズにあったスキルを持つ人材を輩出できるよう教育システムを刷新することだと述べた。
日用品大手サハグループによる大規模展示即売会「第26回サハグループ・フェア」が6月30日~7月3日の4日間、バンコクの大型国際展示場BITECで開催された。2020年、2021年は新型コロナウイルス流行の影響でオンラインのみのイベントだったため、現場開催は3年ぶり。30日の開会式では、衣類や化粧品などの販売を手掛けるICCインターナショナルのタマラット社長兼会長が登壇。「今回のイベントではBCGモデルの製品も展示されている。例えば生産工程を見直した製品や原料を環境に優しいものに変えた製品もある。ライオンは、使い捨てプラスチックを減らすための洗剤の詰め替えができるRefill Stationという自動販売機を開発した」とアピールした。開会式では来賓のスラユット元暫定首相もあいさつした。
9日付バンコク・ポスト(ビジネス1面)によると、タイ政府は8日、東部経済回廊(EEC)への投資を促進するためのセミナーを開催した。EEC事務局などが共催したこの会議には日本、ドイツ、フランス、オランダの大使や、各国の在タイ商工会議所が参加。EECのカニット事務局長は、「いかに協業してターゲット産業向けのプロジェクトを前進させるかについて議論を意見交換をした」と説明。各国当局者は「EECイノベーション(EECi)」の構築とともに、高速大容量規格「5G」やデジタル技術、バイオ・循環型・グリーン(BCG)製造業を開発するための主要プロジェクトでの協力を望んでいる」と述べた。
TJRI編集部
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