カテゴリー: ビジネス・経済
公開日 2017.11.17
天野敦夫 あまの あつお
内モンゴルで遊牧民たちが飲んでいた乳酸菌で発酵させた酸乳の力を実感した三島海雲が研究を重ね、1919年に商品化した「カルピス」。発売後は長年にわたり希釈用商品を販売していたが、RTD(Ready To Drink)商品の広がりを機に、1974年「カルピスソーダ」を、91年には「カルピスウォーター」を発売する。
現在は北アメリカ、ヨーロッパ、中国、台湾、マレーシア、ベトナム、ミャンマー、インドネシア、そしてタイで「カルピス」商品を販売している。タイには97年に進出し、 「カルピスソーダ」から販売を開始。2009年にはペットボトル入りの「カルピスラクト」(日本の「カルピスウォーター」)の現地生産販売に着手するも、11年の大洪水で工場を閉鎖。13年、タイ現地の大手飲料メーカーであるオソサパとの合弁で、新たにカルピスオソサパ社を設立。14年にはアユタヤ県で新工場を稼働開始し、現在、タイ工場で生産した商品はベトナムやミャンマーにも輸出している。
14年からはミニサイズのプラスチックボトル商品でラインナップを拡大し、今年11月には、1本あたり75ミリリットル入りの希釈用商品をレストラン向けにローンチした。希釈用商品は、まずバンコクを中心に広い販売網を持つ日系の食品卸、アサンサービス社を通じて日系レストランから展開し、小売販売に加えて飲食店ルートからも「カルピス」の認知を広めていきたい考えだ。
昨年からカルピスオソサパ社に赴任した、台湾での駐在経験を持つ天野氏は「進出当時、タイは日本と同様に、既にRTD飲料が広く浸透していたため希釈用ではなく、新市場を開拓するために似通った製品がまったくなかった、乳性の炭酸飲料(当時の「カルピコソーダ」)から展開を始めたと聞いています」と話す。
「ただ、台湾では希釈用商品も展開しています。レストラン向けに1・5リットルのペットボトル入り製品を販売しており、中国にも輸出しています。台湾では発売時に日系レストランでドリンクメニューに採用してもらったところ、これが火付け役となり、3~5年でローカルのレストランにも顧客が広がっていきました。今では年間約1600万杯のカルピスが、台湾のレストランで消費されている計算になります。タイには台湾以上の人口と日系レストランがあり、ブランドも少しずつ浸透してきました。商品を現地生産できる工場もあり、『カルピス』の原点である希釈用商品の販売を始めるのは、今からでも遅くないと考えました」。
タイで生産販売する希釈用商品の容量は、オペレーションしやすいよう飲食店が1オーダーごとに商品を1本使いきれるポーションに設定している。日系レストランにとって「カルピス」は馴染みのある商材で、メニュー開発はお手の物。テスト販売に協力してもらった日系レストランでは、オリジナルメニューの開発や販売で積極的な協力を得られたことが、最終的な决めてになったという。
2016年度のジェトロ(日本貿易振興機構)調査によれば、タイ国内の日本食レストラン数は約2700軒。在留邦人と日本食レストランの多さを足掛かりに、タイ現地市場へのさらなる浸透を図る。
Calpis Osotspa Co., Ltd..
6th Floor, White Group Building 1, 75 Soi Rubia,
Sukhumvit 42 Rd., Prakanong, Klongtoey, Bangkok 10110
02-381-9941
www.calpis-lacto.com
THAIBIZ編集部
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